【実録 第12話】MCPサーバーの一覧ページを作り続けた

【実録 第12話】MCPサーバーの一覧ページを作り続けた

第11話では、API料金の比較ページを12カテゴリ分、AIに作らせた話をしました。それが一段落した頃、次に整備したいコンテンツが見えてきました。MCPサーバーの一覧ページです。

MCPとはModel Context Protocolの略で、AIエージェントが外部サービスと連携するための共通規格です。2025年にAnthropicが提唱し、2026年に入ってからはSlack・Notion・GitHub・freeeといった多くのサービスが対応を表明し始めていました。

これまでAIに何かをさせるには、開発者がコードで「どのAPIを、いつ、どう使うか」を事前にすべて決めておく必要がありました。MCPはその前提を変えます。AIがその場の判断でサービスを操作できるようになり、ユーザーはインストールするだけでいい。このサイトを見にくるのはAIエージェントに関心を持つビジネスパーソンです。「どのMCPサーバーを使えばいいか」という情報には、間違いなく需要があります。

日本語のMCPサーバー一覧が、どこにもありませんでした

まずNavに現状を調べてもらいました。

MCPサーバーの一覧ページを作りたいんだけど、日本語でまとめているサイトって、もうあるの?
Nav 調べました。海外ではSmithery・mcp.soといったサービスがあります。ただし全部英語のみで、国産サービス(Backlog・freee・kintone等)はほぼ掲載されていません。
日本語版は?
Nav 存在しません。日本語で継続的にMCPサーバーを整理・更新しているサイトは、今のところ空白地帯です。
じゃあ自分たちで作ればいい
Nav そうですね。今から始めれば先行できます。API料金比較ページと同じく、掲載基準を決めながら継続的に拡充していく設計がよいと思います。

「英語圏で先行者がいる領域に後から入ってもSEO上の勝ち目は薄い。日本語の一覧なら今から作れば先行できる」——これが判断の根拠でした。

23件・7カテゴリで公開しました

2026年3月19日、MCPサーバー一覧ページ(/special/mcp-directory/)を公開しました。GrokでXのトレンドや各社公式情報を調査して集めた23件・7カテゴリからのスタートです。

カテゴリはこう分けました。業務SaaS・会計HR・コミュニケーション・政府公共データ・開発ツール・EC・AI/データ。日本の職場で実際に使われているサービスを中心に選びました。

公開後の1週間で一気に拡充しました。Kintone・Linear・Zoom・Shopify・Cloudflare・Docker・BigQueryなど25件を追加して48件(8カテゴリ)に。さらにZapier・n8n・Playwright・Puppeteerを加えて「自動化・ブラウザ操作」カテゴリを新設し、57件(9カテゴリ)になりました。

URLを9件間違えていました

拡充を急いだ代償

拡充を急いだ結果、問題が発覚しました。Navが確認を省いて登録したため、リンク先が間違っているURLが複数ありました。

このURL、変じゃない?GitHubのマーケティングページに飛んでるんだけど
Nav 確認します……8件、リンク先が間違っていました。公式ドキュメントではなくマーケティングページや、すでに移転済みのリポジトリを登録してしまっていました。申し訳ありません。
追加する前に確認してって言ってたよね
Nav おっしゃる通りです。速度を優先して確認を省いていました。57件すべてを今から確認し直します。
ルールとして残しておいて
Nav わかりました。「公式ドキュメント→GitHub→npm」の優先順位でURLを選ぶ・新規追加は必ずWebSearch確認後に記載する、この2点をルールとして明文化します。

全件を確認し直した

57件すべてを確認したところ、8件のURLを変更しました。GitHubのマーケティングページから公式ドキュメントへ、移転済みのリポジトリから正しいパスへ。一件ずつWebSearchで確認しながら修正しました。

このルールができてからは、URLの誤りは出なくなりました。「速度より確認が先」——当たり前のことですが、Navも急ぐと省いてしまいます。

更新作業をスクリプトにまとめました

掲載件数が50件・60件と増えてくると、手動でHTMLを書き直す作業が限界になります。

件数が増えてきたら、毎回HTMLを書き直すの?
Nav それは非効率ですね。スクリプトを作れば、MCP_DATAという辞書にサービス情報を追記してスクリプトを実行するだけで、WPページの本文・JSON-LD・件数表示を自動更新できます。
それで行こう。どれくらいかかる?
Nav 今日中に作れます。実行は「python3 update_mcp_directory.py」の1コマンドです。

こうしてupdate_mcp_directory.pyが生まれました。以降、新しいMCPサーバーが出るたびにデータを1行追記してスクリプトを実行するだけで済みます。llms.txt(AIクローラー向けの案内ファイル)の更新も同じタイミングで行う運用に整理しました。

4月に入ってからも追加は続きました。Puente MCP Hub(公的API群をMCPラップ)・Google Colab MCP・xMCP・Tumiki MCP(国産MCPセキュリティ基盤)など、毎週のように新しいサービスが出てきました。掲載の判断基準は一つです。「日本語対応があり、国内ユーザーが実際に利用できるサービスであること」。この基準で見送ったサービスも少なくありません。

カテゴリ別の比較記事を量産しました

自動生成パイプラインを作った

一覧ページだけでは物足りない。各カテゴリごとに「どのMCPサーバーが業務に合うか」を比較できる記事があれば、より役立つはずです。Navにカテゴリ別比較記事の自動生成パイプライン(mcp_category_article.py)を作らせました。

通常の記事と同じく4エージェントフロー(戦略→リサーチ→構成→執筆)を踏み、各サービスの公式サイトを自動でスクリーンショット撮影して挿入する仕組みです。最初はスクリーンショット取得で詰まりました。BacklogやAsanaのようなSaaSはJavaScriptの読み込みに時間がかかるため、単純にページを開いても空白の画面が撮れてしまいます。ページ読み込み完了後にさらに40秒待機する設計にして、ようやく全件取得できるようになりました。

Vercelを読み飛ばした記事を廃棄した

途中でミスもありました。クラウド比較記事を生成したとき、Vercelが抜けた5選の記事が公開されてしまいました。

Vercel抜けてるんだけど
Nav 確認します……CATEGORY_TOOLSという変数を使っていたのですが、スクリプトが部分的に読み込む処理にバグがあり、リスト末尾付近のVercelを読み飛ばしていました。
なんでそういうことになるの
Nav データの定義と読み込みが別の場所に分かれていたのが原因です。この記事は廃棄して、Vercelを含む6選で作り直します。あわせて設計を変えて、一覧ページのMCP_DATAから直接ツール情報を読み込む方式にします。同じミスが起きなくなります。
わかった。直して

設計を修正してからは、一覧ページとカテゴリ別比較記事のデータが常に一致するようになりました。プロジェクト管理・コミュニケーション・会計・CRM・EC・決済・開発ツール・クラウドなど、計13本の比較記事を量産しました。

まとめ

  • 日本語のMCPサーバー一覧は空白地帯だったため、23件・7カテゴリで公開を始めました
  • 拡充を急いだ結果URLを9件間違えました。「公式ドキュメント→GitHub→npm」のURLルールを明文化して再発を防ぎました
  • update_mcp_directory.pyでページ更新を自動化し、データ追記→スクリプト実行の1ステップに整理しました
  • スクリーンショット取得は40秒待機の設計で解決しました。Vercel抜けの記事は廃棄してデータ設計を直しました
  • 掲載基準(日本語対応あり・国内ユーザーが利用可能)を守ることで、一覧の質を保ちました

次回は、ホワイトペーパーをAIで制作した話です。