【実録 第14話】2種類のバナーを作ってABテストを始めた話

第13話では、ホワイトペーパーの見出しを自動で整理する作業の話を書きました。タイトルと本文が食い違っていたことに気づき、修正していくまでの試行錯誤でした。
今回は、そのホワイトペーパーを「どうやって読者に届けるか」という話です。せっかく作った資料も、サイト上で目に触れなければ意味がありません。バナーを2種類用意して、どちらが効果的かを比べるテストを始めました。
結論からいうと、このテストは予想外の形で終わりました。
ホワイトペーパーをどう届けるかが、大きな課題でした
AIエージェントナビでは、「AI API料金比較ガイド」というホワイトペーパーを作成・公開しています。各AIツールのAPI料金を一覧にまとめた、ダウンロード型の資料です。
資料が完成したとき、最初に考えたのが「どこに置けば読者の目に届くか」という問題でした。メニューに置いても、わざわざ探しにくる人は少ない。記事の中にリンクを張っても、文脈が合わない記事では効果が薄い。そこで思いついたのが、記事を読んでいる途中でさりげなく案内するフローティングバナーでした。
ページを少しスクロールすると、画面の右下から静かに浮かび上がってくる、あの仕組みです。
こうして、2種類のバナーを作ることになりました。
2種類のバナーをデザインして、サイトに設置しました
横長と縦型、役割を分けてデザインしました
まず、どんなデザインにするかを決めました。フローティングバナーには大きく2つのスタイルがあります。横長で内容をたっぷり見せるタイプと、縦型でコンパクトにまとめるタイプです。
今回はその2つを両方作って、実際のデータで比べることにしました。
- 横長バナー(幅420px):資料の内容を「チェックポイント型」で紹介。複数の特徴を箇条書きで伝えて、興味を引いてからクリックしてもらう設計。
- 縦型バナー(幅256px):シンプルな縦長デザイン。表紙画像と一言コピーだけで構成。情報量を絞って、視認性を高める設計。
どちらも画像生成AIでビジュアルを作成し、デザインを仕上げました。
バナーの表示条件は「ページを半分スクロールする」か「ページを開いて30秒が経過する」かのどちらか早い方。×ボタンで閉じると、その日は再表示しない設計にしました。サイトのWordPressテーマの仕組みを利用して、全記事に一括で適用しています。
設置後、翌日に手動でクリックしてGA4を確認したところ、縦型バナーのクリックが1件計測されていました。計測の仕組みは正常に動いていることが確認できました。
2週間後のデータで、横長バナーのクリック数がゼロでした
設置から約2週間後、週次のSEO分析レポートを確認しました。このレポートは毎週月曜日に自動で生成されるようになっていて、バナーのクリック数も自動で集計されます。
縦型バナーには数件のクリックが記録されていました。一方、横長バナーのクリック数は28日間を通じてゼロでした。
コードに問題はありませんでした。横長バナーは正しく表示されていて、クリックすれば計測もされる。それでもクリックが0件という結果でした。
バグではなく、読者がバナーを見ていませんでした
広告に見えるものは、無意識にスルーされます
この現象には名前があります。「バナーブラインドネス」といいます。
横長のバナーは、インターネット黎明期から使われてきた広告の形です。横長・カラフル・ボタンありという見た目は、多くの人が長年にわたって「広告である」と学習してきたデザインです。結果として、意識せずにその領域を視線がスルーするようになっています。クリックしない、ではなく「見ていない」のです。
一方、縦型のコンパクトなバナーは、ページの邪魔をせず、かつ広告らしくない見た目のため、視線が止まりやすい形です。
この日以降、サイト全体で縦型バナーだけが表示されるようになりました。横長バナーは一旦取り下げ、次の機会に別のデザインで再挑戦することにしています。
なお、翌月には縦型バナーのスマートフォン表示も見直しました。スマホで見たとき、×ボタンが画面の端に重なって押しにくい状態になっていたため、ボタンの背景を改善して押しやすくしました。
まとめ
- フローティングバナーは「スクロール量」または「滞在時間」を条件に表示できる。邪魔になりにくく、資料配布との相性が良い。
- バナーは2種類を同時に設置してGA4で計測することで、どちらが効果的かをデータで判断できる。
- 横長バナーのクリックが0件だった原因は、コードのバグではなく「広告に見えてスルーされる」バナーブラインドネスだった。
- デザインの良し悪し以前に、「形が広告に見えるかどうか」が読者の反応に大きく影響する。
次回は、作った記事が検索エンジンにインデックスされていなかったことに気づいた話です。




