マッキンゼー社員の4割がAI?2.5万体の「AIエージェント」が変えるコンサルの働き方

2026年1月16日、Business Insider Japanなどの報道により、世界最高峰の戦略コンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーの驚くべき実態が明らかになりました。
同社の包括管理パートナーであるボブ・スターンフェルズ氏が、ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)などのインタビューで語ったところによると、全従業員約6万人のうち、実に約2万5000人が人間ではなく「AIエージェント」であるというのです。
エリート集団として知られるマッキンゼーの働き方が、根本から変わりつつあることを示しています。
「ツール」ではなく「デジタルの同僚」
これまで企業で導入されてきたAIの多くは、人間が質問を投げかけると答えてくれる「チャットボット(受動的なツール)」でした。しかし、マッキンゼーが導入している2万5000体のAIは異なります。
自律的に動くデジタル従業員
これらは「デジタル同僚(Digital Colleagues)」と定義され、自律的に考え、行動するデジタル従業員です。人間からの指示を待つだけでなく、与えられた目標に対して自ら計画を立て、リサーチを行い、資料のドラフトを作成し、アドバイザリー業務を支援します。
150万時間の業務削減を実現
スターンフェルズ氏が語った実績は衝撃的です。この大規模な業務自動化事例により、過去1年間で削減された業務時間は約150万時間に達しました。これは単純計算で、数百人分の年間労働時間に匹敵します。
AIエージェントが下調べやデータ整理といった「作業」を肩代わりすることで、人間のコンサルタントはクライアントとの対話や戦略的思考といった「本質的な価値」に集中できるようになったのです。
コンサルティングのビジネスモデルが変わる
社員の約4割がAIエージェントという現状は、マッキンゼーのビジネスモデルそのものを変えようとしています。
「時間売り」からの脱却
従来、コンサルティング業界は「優秀なコンサルタントの時間(人月単価)」を売るビジネスでした。しかし、AIエージェントが瞬時に成果物を出すようになれば、時間を対価にするモデルは成立しなくなります。
成果共有型へのシフト
実際、同社ではAI主導の変革プロジェクトが全ビジネスの40%を占めるに至っています。これに伴い、報酬体系も従来の「時間課金」から、AIと共に生み出した「成果をシェアするモデル」へとシフトしつつあると語られています。
AI時代に「人間」に求められる3つのスキル
AIが同僚として優秀になればなるほど、「では、人間は何をすればいいのか?」という問いが生まれます。スターンフェルズ氏は、AI時代に人間がAIに勝る、そして磨くべきスキルとして以下の3つを挙げています。
人間にしかできない3つの領域
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志を抱く能力 (Capacity to dream): AIは課題解決は得意ですが、「何を成し遂げたいか」というビジョンや意志を持つことはできません。
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判断力 (Judgment): 倫理的な観点や複雑な文脈を読み解き、最終的な意思決定を下すのは人間の役割です。
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真の創造性 (True creativity): 既存データの組み合わせではない、0から1を生み出す創造性は依然として人間の領域です。
学歴よりも「AIと協働できるか」
この変化は採用基準にも表れています。マッキンゼーは従来の学歴重視の採用から、GitHub上の開発実績や、AIと協働して課題解決できるエンジニアリング能力(Dynamic Talent)を重視する方針へ転換しています。AI人材採用の定義が、「AIを作れる人」から「AIを使いこなして成果を出せる人」へと広がっているのです。
まとめ
マッキンゼー・アンド・カンパニーの事例は、AIエージェントの導入が「実験」のフェーズを終え、企業の「戦力」として不可欠な存在になったことを証明しています。
今後1年半以内に、全従業員が1人あたり最低1つのAIエージェントを持つ体制を目指すという同社。マッキンゼー AI活用の本気度は、これからのすべてのビジネスパーソンにとって、「AIを部下・同僚としてマネジメントする能力」が必須スキルになる未来を暗示しています。





