経営計画もAIエージェントの時代へ。BoardとMicrosoftが描く「自律型FP&A」の世界

2026年1月21日、エンタープライズ計画プラットフォームを提供するBoard Internationalは、Microsoftとの戦略的連携を強化し、経営計画の中核プロセスに自律型AI(Agentic AI)を導入する新機能「Board Agents」を発表しました。

企業の「経営の舵取り」とも言えるFP&A(財務計画・分析)やサプライチェーン管理。
これまでExcelやBIツールを駆使して人間が行ってきたこの高度な業務領域に、ついにAIエージェントが本格参入します。

役割を持った「AIの専門スタッフ」たち

「Board Agents」の最大の特徴は、汎用的なチャットボットではなく、特定の業務知識と役割を持った「専門家エージェント」の集合体である点です。

領域ごとのプロフェッショナル

Boardのプラットフォーム上には、「財務担当エージェント」「サプライチェーン担当エージェント」「マーチャンダイジング担当エージェント」といった、役割(ペルソナ)定義されたAIたちが配属されます。彼らは24時間365日、それぞれの担当領域のデータを監視し、異常値の検知やトレンド分析を自律的に行います。

これまで各部門の担当者が手作業で集計し、レポートにまとめていた作業を、AIエージェントが代行することで、現状把握にかかる時間を劇的に短縮します。

エージェント同士が「会議」して未来を予測

さらに画期的なのは、これら複数のエージェントが連携する「マルチエージェント協調」の仕組みです。

複合的なシナリオ分析を自動化

例えば、サプライチェーン担当エージェントが「原材料費の高騰」や「配送遅延のリスク」を検知したとします。すると、この情報は即座に財務担当エージェントに共有されます。

財務エージェントはこれを受け、「それが今期の利益率にどう影響するか」「キャッシュフローはどう変化するか」を自動で計算し、シミュレーションを行います。

人間が部門横断の会議を開いて調整する前に、AIエージェント同士がデジタル空間で対話し、「楽観・悲観・中立」といった複数の将来シナリオを提示してくれるのです。静的なExcel管理では不可能だった、動的かつリアルタイムな経営判断が可能になります。

Microsoft基盤によるエンタープライズ品質

この先進的な機能は、Microsoftの支援プログラム「Microsoft Foundry」を通じて開発されました。

Azureによる堅牢なセキュリティ

経営計画データは企業にとって最高レベルの機密情報です。Board AgentsはMicrosoft AzureのAgentic AIツールを活用して構築されており、エンタープライズ企業が求める堅牢なセキュリティとガバナンスが担保されています。AIの出力に対する信頼性が不可欠な経営層(C-suite)にとって、Microsoft基盤であることは大きな安心材料となります。

経営企画担当者は「集計屋」から「指揮官」へ

この変化は、経営企画や財務部門で働く人々の役割を大きく変えます。

意思決定支援へのシフト

これまでの「データを集めて表にする(集計屋)」業務はAIエージェントが担います。これからの人間に求められるのは、AIが提示した複数のシナリオを評価し、市場環境や定性的な情報を加味して最終的な決断を下す「監督者」としての能力です。

AIエージェントを部下として使いこなし、意思決定の質とスピードを最大化することが、次世代のリーダーに求められるスキルとなるでしょう。

まとめ

BoardとMicrosoftによる「Board Agents」の発表は、AI活用が「業務効率化」のフェーズを超え、「経営の意思決定」というコア領域に踏み込んだことを示しています。

不確実性が高まる現代のビジネス環境において、AIエージェントによる高速なシミュレーション能力を持つ企業と、持たざる企業の差は、今後ますます開いていくことになりそうです。

出典: Microsoft