【徹底比較】GLM-5 vs Claude Opus 4.6|エージェント性能で凌駕する高コスパAI

2026年2月、AI業界に新たな衝撃が走りました。
中国Z.ai(旧Zhipu AI)が発表した最新のフラッグシップモデル「GLM-5」が、エージェント能力において、同月に発表されたばかりの競合「Claude Opus 4.6」を一部のベンチマークで凌駕したのです。
本記事では、複雑なシステムエンジニアリングや長期的なタスク実行に特化した次世代LLM「GLM-5」について、そのスペック、性能、そして最大のライバルであるClaude Opus 4.6との比較を通して、両者の強みと最適な使い分けについて解説します。
目次
1. GLM-5とは:Z.aiが放つ「エージェント特化型」次世代LLM
GLM-5は、中国のAIスタートアップZ.ai(旧 Zhipu AI)が2026年2月11日に発表した、次世代の大規模言語モデル(LLM)です。これまでのモデルが主に「対話の賢さ」を追求してきたのに対し、GLM-5は複雑なシステム設計や、完了までに長時間を要するタスクを自律的に遂行する「エージェント能力」に特化して設計された点が最大の特徴です。
Z.ai(旧 Zhipu AI / 智譜AI)とは?
GLM-5を開発したZ.aiは、中国の名門・清華大学コンピュータ科学技術系の研究グループ(KEG)からスピンオフした、世界トップクラスの技術力を誇るAIスタートアップです。「中国版OpenAI」の筆頭候補と目され、2026年1月には香港市場への上場を果たしました。同社はLLMだけでなく、画像生成、ビデオ生成(CogVideo)など、フルスタックの生成AI技術を自社開発しており、その成果の多くをオープンソース(オープンウェイト)で公開する戦略で、世界中の開発者コミュニティから強い支持を集めています。
「Agentic Engineering」構想の核となるモデル
Z.aiは現在、単なるAIとの対話を超え、AIが自律的にシステム設計や複雑な業務を完遂する「Agentic Engineering(エージェント工学)」という概念を掲げています。GLM-5はまさにこの構想の中核を担うモデルです。人間がゴールだけを示せば、AI自身が計画を立て、必要なツール(ブラウザ、コードエディタ、Officeソフトなど)を操作し、途中で発生したエラーも自己修正しながら、最終的な成果物を生み出す——そのような「自律型AIエージェント」の実現を目指して開発されました。

2. GLM-5の主要スペックと特徴
GLM-5は、巨大なモデルサイズと効率的な推論を両立させる高度なアーキテクチャを採用しています。
主なスペックとアーキテクチャ
パラメータ数
総パラメータ数は7440億 (744B)という超巨大モデルですが、専門家モデルを組み合わせる「Mixture-of-Experts (MoE)」構造を採用。推論時にアクティブになるのは約400億 (40B)パラメータのみで、計算効率と性能を両立しています。
コンテキストウィンドウ
最大20万(200K)トークンの入力に対応。DeepSeek Sparse Attention (DSA) の統合により、長文処理時のコストを大幅に抑制しています。
出力能力
最大12.8万(128K)トークンという、業界トップクラスの連続出力が可能で、長文のレポートやコードも途切れずに生成できます。
ライセンス
MITライセンスの下、オープンウェイトで公開されており、商用・非商用問わず自由度の高い利用が可能です。
特徴的な機能
エージェントモード
プロンプトやソース資料から、直接 .docx, .pdf, .xlsx 形式のオフィス文書を生成するネイティブ機能を備えています。
ディープデバッグ
ログを分析して根本原因を特定し、プログラムが正常に動作するまで反復的にコードを修正する「自己修正能力」に長けています。
ハルシネーションの抑制
事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」の発生率が極めて低く、信頼性の高い出力を実現します。

3. 卓越した性能:Claude Opus 4.6との比較
GLM-5は、特に自律的なタスク遂行能力において、米国の主要モデルに匹敵、あるいは凌駕する性能を示しています。最大のライバルであるClaude Opus 4.6との比較を見てみましょう。
スペックとベンチマーク比較
| 項目 | Claude Opus 4.6 (Anthropic) | GLM-5 (Z.ai) |
| 提供形態 | プロプライエタリ(独占的API/チャット) | オープンウェイト (MITライセンス) |
| コンテキスト長 | 20万(ベータ版で100万) | 20万 |
| 最大出力 | 12.8万トークン | 12.8万トークン |
| SWE-bench Verified (コード) | 80.8% (業界最高水準) | 77.8% (肉薄する実力) |
| BrowseComp (Web操作) | 37.0% | 75.9% (圧倒的性能) |
| API価格 (1M入力/出力) | $5.00 / $25.00 | $1.00 / $3.20 (約1/5〜1/8) |
比較から見える両者の強みと使い分け
Claude Opus 4.6:究極の「建築家」と「安全性」
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強み: 構造的な問題発見、大規模コードベースの依存関係把握に優れます。複数のエージェントが協調する「Agent Teams」機能を持ち、複雑な組織的タスクに適しています。堅牢なガードレールによる高い安全性も特徴です。
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適切なユーザー:
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堅牢性と信頼性が最優先されるエンタープライズ開発。
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ミスが許されない、リスクの高い大規模システムの変更やリファクタリング。
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GLM-5:最強の「実行者」と「高コスパ・自由度」
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強み: Webブラウジングやツール使用を伴う「エージェント的タスク」でClaudeを圧倒します。MITライセンスによる自由なデプロイ・微調整が可能で、APIコストも競合の約6分の1〜10分の1と非常に安価です。
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適切なユーザー:
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コストを抑えつつトップクラスの性能を利用したいスタートアップや個人開発者。
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Web調査、ツール操作、Office文書生成など、実務的なアクションを多用する自律エージェントの構築。
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セキュリティポリシー上、自社環境(オンプレミス)でモデルを動かす必要がある企業。
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4. GLM-5の使い方:APIからローカル実行まで
GLM-5はその高性能さゆえに、利用方法も多岐にわたります。ここでは初心者でも始めやすいAPI利用と、上級者向けのローカル実行について解説します。
APIでの手軽な利用(初心者向け)
最も簡単にGLM-5を試す方法は、クラウド経由で提供されるAPIを利用することです。
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Z.ai公式プラットフォーム: Z.aiが提供する「BigModel」プラットフォームに登録し、APIキーを取得して利用します。開発者向けのドキュメントも充実しています。
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サードパーティプロバイダー: 「Together AI」などのAIプラットフォームでもGLM-5がホストされています。これらのサービスを利用すれば、他のモデルと同じインターフェースで手軽にGLM-5を呼び出すことができます。
ローカル環境での実行(中・上級者向け)
GLM-5はオープンウェイトモデルであるため、モデルデータをダウンロードして自分のPCやサーバーで動かすことができます。
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量子化モデルの利用: フルサイズのモデルは巨大すぎるため、通常は1-bitから8-bitに軽量化(量子化)されたモデルを使用します。
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実行ツールの活用: 「Unsloth」などのLLM実行・調整ツールを使用することで、Macのユニファイドメモリや、NVIDIA/Huawei製のGPUを搭載した環境上で効率的に動作させることが可能です。

5. 結論:どちらを選ぶべきか?
「正解」の精度と安全性が最優先のプロジェクトであれば、Claude Opus 4.6が依然として無難な選択肢となるでしょう。
しかし、大量のタスクを安価に、かつ自律的に回したい、あるいはモデルを自由自在にカスタマイズして自社環境で運用したいのであれば、GLM-5が圧倒的に有利な選択肢となります。
GLM-5の登場は、AIエージェントの実用化を加速させ、開発者にとっての選択肢を大きく広げることになるでしょう。




