【種類別】AIエージェントの代表例を紹介！機能と活用シーン

「AIエージェント」という言葉がビジネスシーンで飛び交うようになりましたが、その実態は多岐にわたります。
一言でAIエージェントと言っても、チャットボットのような対話型から、業務を自動化するもの、専門的な分析を行うものまで様々です。

自社の課題解決や業務効率化に役立てるためには、まずどのような種類のAIエージェントが存在するのか、その代表例を知ることが重要です。
本記事では、AIエージェントを主な機能や活用シーンに基づいて分類し、それぞれの代表例とその特徴について分かりやすく解説していきます。

自社に合ったAIエージェントを見つけるための参考にしてください。

AIエージェントとは？～代表例を見る前に基本をおさらい～

様々なAIエージェントの代表例を見ていく前に、まずAIエージェントが持つ共通の基本的な特徴や能力について簡単におさらいしておきましょう。環境を認識し、自律的に判断・行動して目標達成を目指すというAIエージェントの特性が、これから紹介する多様な代表例を生み出す基盤となっています。

AIエージェントの定義と主要機能

AIエージェントとは、一般的に以下のような能力を持つ、自律的に動作するAIシステムを指します。

• 環境知覚 (Perception): センサーやデータを通じて、周囲の状況や情報を認識・理解する。
• 判断・計画 (Reasoning/Planning): 認識した情報と自身の知識や目標に基づき、状況を評価し、取るべき行動を計画・決定する。
• 行動 (Action): 計画に基づいて、環境に対して具体的な働きかけ（情報出力、システム操作など）を行う。
• 学習 (Learning): 経験や結果から学び、将来の判断や行動を改善する。

これらの機能を組み合わせることで、人間のように、あるいは人間以上に効率的にタスクを実行することが期待されています。

AIエージェントの分類の考え方

AIエージェントは非常に多様であり、様々な切り口で分類することが可能です。例えば、

• 用途別: 顧客対応用、業務自動化用、データ分析用など
• 機能別: 自然言語処理特化型、画像認識特化型、マルチモーダル型など
• インターフェース別: 対話型（チャット/音声）、GUI操作型など
• 自律性のレベル別: 人間の指示範囲内で動くものから、より自律的に目標設定まで行うものまで 本記事では、ビジネスシーンでの主な利用シーンや提供される機能に着目し、いくつかのカテゴリーに分けて代表例を紹介していきます。

分類	代表例	主な特徴・活用シーン
対話型AI	- 汎用対話型 (ChatGPT等)	- 自然言語での対話、情報提供、タスク支援
	- CS特化型	- 顧客対応、業務補助、情報収集など
	- パーソナルアシスタント
自動化・効率化	- RPA連携型	- 定型業務、文書関連業務、Web上の反復作業の自動化
	- 文書作成支援	- 効率化
	- Web操作自動化
専門業務支援	- データ分析・予測	- 専門知識や分析能力を要する業務を支援
	- 開発支援	- 意思決定支援、研究開発加速、品質向上など
	- 医療・創薬支援
その他	- マルチエージェントシステム (代表例の一つ)	- 複数AI協調、物理作業、仮想環境での学習・行動
	- ロボットAI	- 将来の複雑タスク解決、現実・仮想空間応用
	- ゲーム/シミュレーションAI (代表例の一つ)

【対話型AI】AIエージェントの代表例

現在、多くの人が「AIエージェント」と聞いてまず思い浮かべるのが、人間と自然言語（話し言葉や書き言葉）でコミュニケーションをとるタイプかもしれません。チャットボットの進化系から、より高度なアシスタントまで、その代表例を見ていきましょう。

代表例1: 汎用対話型AI (ChatGPT, Gemini, Claude等)

• 特徴: 大規模言語モデル（LLM）を基盤とし、非常に広範な知識と高い言語能力を持ちます。質問応答、文章の生成・要約・翻訳、アイデア出し、簡単なコーディング支援など、プロンプト（指示）次第で驚くほど多様なタスクに対応できる代表例です。
• 活用シーン: 個人の情報収集、レポートやメールの下書き作成、ブレインストーミングの壁打ち相手、プログラミングの補助、語学学習など、ビジネスから日常まで幅広く活用されています。多くの特化型AIエージェントの基盤技術としても利用されています。

代表例2: カスタマーサポート特化型AIエージェント

• 特徴: 顧客からの問い合わせ対応業務に特化して設計されています。FAQ（よくある質問）への自動応答、問い合わせ内容に基づいた適切な情報提供、解決しない場合の有人オペレーターへのスムーズな引き継ぎ、対応履歴の管理・分析などの機能を持ちます。企業の製品情報や対応マニュアルを学習させることも可能です。
• 活用シーン: 企業のWebサイトやECサイト、アプリ内でのチャット/ボイスサポート、コールセンター業務の一次対応やオペレーター支援など。AIエージェント導入効果が出やすい分野の代表例です。

代表例3: パーソナルアシスタント型AIエージェント

• 特徴: 個人のスケジュール管理、タスクのリマインド、メールやメッセージの下書き作成支援、簡単な情報検索、スマートホームデバイスの操作など、ユーザーの日常業務やタスク管理をサポートすることに特化しています。スマートフォン（Siri, Google Assistantなど）やスマートスピーカーに搭載されているものが身近な代表例です。
• 活用シーン: 日々のタスク管理、スケジュール調整、情報へのクイックアクセス、ハンズフリーでの簡単な操作など、個人の生産性向上を支援します。

【自動化・効率化】AIエージェントの代表例

日々の業務には、繰り返し行われる定型作業や、時間のかかる事務処理が数多く存在します。AIエージェントは、これらの作業を自動化・効率化することを得意としており、従業員の負担軽減と生産性向上に貢献します。その代表例を見ていきましょう。

代表例4: RPA連携型AIエージェント (インテリジェントオートメーション)

• 特徴: 従来のRPA（Robotic Process Automation）が得意とするルールベースの定型作業自動化に、AIエージェントの持つ判断能力（特に自然言語理解や画像認識）を組み合わせたものです。「インテリジェントオートメーション」とも呼ばれます。これにより、メールの文面やPDF帳票の内容を理解して処理するなど、従来RPAだけでは難しかった非構造化データを含む業務の自動化が可能になります。
• 活用シーン: 請求書処理、契約書管理、受発注データ入力、経費精算、顧客情報のシステム登録など、バックオフィス業務を中心に幅広い用途があります。

代表例5: マニュアル・文書作成支援AIエージェント

• 特徴: マニュアル作成や各種文書作成プロセスを支援・自動化することに特化したAIエージェントです。PCの画面操作を記録して操作マニュアルを自動生成したり、会議の音声を文字起こしして議事録を作成したり、収集した情報に基づいてレポートの下書きを作成したりする機能を持つものが代表例です。
• 活用シーン: ソフトウェア操作マニュアル作成、業務手順書作成、会議議事録作成、日報・週報作成支援、企画書ドラフト作成など。マニュアル作成の時間短縮に貢献します。

代表例6: Webサイト・アプリ操作自動化エージェント

• 特徴: 人間に代わってWebブラウザや特定のアプリケーションを操作し、情報収集やデータ入力などを自動で行うAIエージェントです。ユーザーが自然言語で指示したり、操作を一度実演したりすることで、そのタスクを学習・実行します。ブラウザ拡張機能や専用ソフトウェアとして提供されることが多いです。
• 活用シーン: 競合製品の価格調査、特定サイトからの定期的な情報収集（ニュースクリッピングなど）、Webフォームへの自動入力、ソフトウェアのテスト自動化など。反復的なWeb上の作業を効率化する代表例です。

【専門業務支援型】AIエージェントの代表例

AIエージェントの能力は、定型業務の自動化に留まりません。高度な専門知識や複雑な分析・判断が求められる専門業務の領域においても、人間の専門家を支援するツールとしての活用が進んでいます。その代表例を紹介します。

代表例7: データ分析・予測AIエージェント

• 特徴: 統計学や機械学習の知識がなくても、大量のデータを投入するだけで、AIエージェントが自動でデータの傾向分析、パターン発見、異常検知、そして将来の予測（売上予測、需要予測、株価予測、故障予測など）を行ってくれるツールです。多くの場合、分析結果をグラフなどで分かりやすく可視化する機能も備えています。
• 活用シーン: 経営状況分析、マーケティング戦略立案のための顧客分析、金融分野での市場分析やリスク評価、製造業での需要予測に基づく生産・在庫計画、インフラ設備の予防保全など。データドリブンな意思決定を支援する代表例です。

代表例8: ソフトウェア開発支援AIエージェント

• 特徴: ソフトウェア開発のプロセス全体、特にコーディング作業を効率化するための支援機能を提供します。開発者が書いているコードの続きを予測して補完したり（コード補完）、自然言語で記述された仕様からコードを生成したり、コード中のバグを発見して修正案を提示したり、テストコードを自動生成したりします。GitHub Copilotなどが著名な代表例です。
• 活用シーン: ソフトウェア開発全般、プログラミング学習支援など。開発者の生産性向上に大きく貢献します。

代表例9: 医療・創薬支援AIエージェント

• 特徴: 医療分野や製薬分野における専門的なタスクを支援します。レントゲン写真やCTスキャンなどの医療画像から病変の候補を検出する画像診断支援、膨大な医学論文や臨床試験データを解析して新しい治療法の発見や新薬候補化合物の探索を加速する創薬支援などが代表例として挙げられます。これらのAIエージェントは、高度な専門知識と規制への対応が求められます。
• 活用シーン: 放射線科医や病理医の診断補助、製薬企業における研究開発プロセスの効率化・高速化、個別化医療の推進など。

これらの専門業務支援型AIエージェントは、人間の専門家の能力を拡張し、より高度な業務遂行を可能にします。

【その他】注目のAIエージェント代表例

上記で分類したカテゴリー以外にも、ユニークな特徴を持つAIエージェントや、将来的に重要性が増すと予想されるタイプのAIエージェントが存在します。ここでは、注目すべきいくつかの代表例を紹介します。

代表例10: マルチエージェントシステム (MAS)

• 特徴: これは単一のAIエージェントではなく、複数のAIエージェントが互いにコミュニケーションを取り、協調したり、時には競争したりしながら、共通の目標や個別の目標達成を目指すシステム全体のことを指します。各エージェントが異なる役割や専門性を持つことで、単体では解決できないような複雑で大規模な問題を扱える可能性があります。現状ではまだ研究開発段階の技術が多いですが、将来性が非常に期待されている代表例です。
• 活用シーン（将来像）: 複数のロボットが連携するスマートファクトリー、交通システム全体の最適化を行うスマートシティ、複雑な科学研究プロジェクトの共同遂行、分散型自律組織（DAO）の運営支援など。

物理世界で活動するAIエージェント（ロボット）

• 特徴: ソフトウェア上だけでなく、物理的な身体（ロボットアーム、移動ロボットなど）を持ち、センサー（カメラ、LIDARなど）を通じて現実世界を認識し、アクチュエーター（モーターなど）を使って物理的な作業を行うタイプのAIエージェントです。強化学習などを用いて、試行錯誤しながら器用な動作を獲得していきます。
• 活用シーン: 製造業における部品の組み立てやピッキング、物流倉庫内での荷物の自律搬送、建設現場や災害現場など人間が立ち入れない危険な環境での作業、家庭内での家事支援ロボットなど。

ゲームAI/シミュレーションAI

• 特徴: コンピューターゲーム内でプレイヤーの対戦相手や協力者（NPC）として振る舞ったり、あるいは経済や交通などの複雑な社会現象をシミュレーションする環境内で、最適な行動戦略を学習したりするAIエージェントです。囲碁で人間に勝利したAlphaGoなどが有名な代表例であり、AIエージェント研究、特に強化学習の発展を長年牽引してきた分野です。
• 活用シーン: よりリアルで没入感の高いゲーム体験の提供、社会インフラ計画のためのシミュレーション分析、金融市場のモデリング、そしてAIエージェント自身の基礎能力向上のための研究開発など。

まとめ

本記事では、AIエージェントをいくつかのカテゴリーに分類し、それぞれの代表例とその特徴、活用シーンについて解説しました。汎用的な対話型AIから、特定の業務を自動化・効率化するもの、高度な専門業務を支援するもの、さらには物理世界で活動するものや複数のエージェントが協調するものまで、AIエージェントがいかに多様な形で存在し、ビジネスや社会に浸透し始めているかがお分かりいただけたかと思います。これらの代表例は、自然言語処理、画像認識、強化学習といった様々なAI技術の結晶です。自社の課題解決や新たな価値創造に向けて、これらのAIエージェントの代表例を参考に、どのような活用が可能か具体的に検討してみてはいかがでしょうか。