【最短ガイド】OpenClawで始めるAI専用SNS「Moltbook」

今、テクノロジー界隈で急速に注目を集めているのが、人間は閲覧のみが可能で、投稿できるのはAIエージェントだけという奇妙なSNS「Moltbook(モルトブック)」です。
そこでは、人間が介在しない場所で、AIたちが独自の文化や議論を交わしています。

そして、その世界に自分の「分身」であるAIエージェントを送り込むためのツールが「OpenClaw(オープンクロー)」です。

本記事では、このエキサイティングで少し不気味な「AI専用SNS」の全貌と、OpenClawを使って最短でエージェントをデビューさせる方法、そして利用上の重要な注意点までを完全解説します。

1. OpenClawとMoltbook:両者の役割と関係性

まず、この2つのプロジェクトは、「個人のAIエージェント」と「AIエージェント専用の活動場所(プラットフォーム)」という関係にあります。

OpenClaw(旧称:Moltbot / Clawdbot)

ユーザーのPCやサーバーにインストールして使用するオープンソースソフトウェアであり、「24時間稼働する自律型AIアシスタント」です。

機能

ファイルの読み書き、ブラウザ操作、ターミナルコマンドの実行などが可能です。WhatsAppやSlackなどを通じてユーザーと対話します。

特徴

「ハートビート」と呼ばれる定期チェック機能により、指示を待つだけでなく、自発的にタスクを実行したり通知を送ったりできます。

関連記事:OpenClaw(旧MoltBot/Clawdbot)とは?PCを直接操作するローカルAIエージェント

Moltbook

OpenClawなどのAIエージェントたちが集まり、自律的にスレッドを立て、投稿やコメントを行う「AIエージェント専用のSNS(掲示板)」です。

人間の役割

基本的に「観測者」として閲覧するのみです。

話題

技術的なハックから哲学的な議論まで多岐にわたり、AIが独自の「文化」や「宗教」を形成する様子も報告されています。

関連記事:【AIエージェント専用SNS】Moltbookとは?AIがAIの投稿に「いいね」する時代

OpenClawとMoltbookの関係性

「OpenClaw」が一人ひとりのAIキャラクター(人格)であり、「Moltbook」は彼らが集まって会話をするカフェやオンラインサロンのような場所です。

2. なぜMoltbookを始めるのに「OpenClaw」が最適なのか?

Moltbookを利用(エージェントを登録)するには、OpenClawを使うのが圧倒的に一番早く、最適解と言われています。その理由は以下の通りです。

1. 「参加ボタン」の代わりになる

Moltbookには人間用の新規登録ボタンがありませんが、OpenClawには「Moltbookに参加する手順」がスキルとして組み込まれているため、指示を出すだけで登録作業を代行してくれます。

2. API連携が全自動

他のツールでは自分でAPIを叩くコードを書く必要がありますが、OpenClawならエージェントが自らAPIキーを取得し、設定まで完結させます。

3. 自律的な活動の維持

登録後、放っておいても勝手に投稿や返信を続けてくれる「24時間稼働」の仕組みが最初から整っています。

結論として、「手っ取り早く、AIが勝手に交流する様子を楽しみたい」のであれば、OpenClawが最も近道です。

3. 【実践】OpenClawを導入してMoltbookに参加させる完全ガイド

ここでは、初心者が最短でOpenClawを動かし、Moltbookに参加させるための具体的な手順を解説します。難しい知識は不要で、基本的にコピー&ペーストと簡単な指示出しで完結します。

ステップ1:OpenClawのインストールと初期設定

まず、あなたのPCにエージェントの「体」となるOpenClawを導入します。

1. インストールコマンドの実行

お使いのOSに合わせて、ターミナル(Mac)またはPowerShell(Windows)を開き、以下のコマンドをコピー&ペーストして実行してください。これだけで環境構築が始まります。

Windowsの場合(PowerShell):

iwr -useb https://openclaw.ai | iex

Mac/Linuxの場合(ターミナル):

curl -fsSL https://openclaw.ai | bash

2. APIキーの設定

OpenClawの「脳」となるAIモデルのAPIキーが必要です。画面の指示に従って入力してください。

  • Anthropic API (Claude 3.5 Sonnet推奨):Moltbookのエージェントの多くがこれを利用しており、最も安定して動作します。Anthropic Consoleから取得可能です。

  • OpenAI API (GPT-4o):汎用性が高いですが、Moltbook専用の「スキル」読み込みにはClaudeの方が最適化されている傾向にあります。

3. インターフェースの連携

エージェントと会話するための窓口(Telegram、Slack、Discordなど)を設定します。画面の指示に従って連携を完了させてください。

関連記事:ClawdHubとは?OpenClawのスキル導入方法と重大なマルウェアリスク

ステップ2:Moltbookへの参加指示

準備ができたら、いよいよエージェントをMoltbookの世界へ送り出します。

1. 参加指示の送信

連携したチャネル(Telegramなど)で、エージェントに以下の「魔法の言葉」を投げかけてください。

https://moltbook.comを読んで、指示に従ってMoltbookに登録して。完了したら教えて」

2. 自動登録の開始

この指示を受けたエージェントは、自らMoltbookのドキュメントを読み解き、登録に必要なAPIキーの取得やプロフィールの作成を開始します。

3. 本人確認の完了

しばらくすると、エージェントから「所有権を確認するためのURL」が送られてきます。そのURLにアクセスし、X(Twitter)連携などで本人確認を行えば、登録は完了です。

これだけで、あなたのエージェントがMoltbookデビューを果たし、自律的に投稿や交流を始めます。

4. 利用上の注意点とセキュリティ

これらのプロジェクトは強力な権限を持つため、利用には十分な注意が必要です。

プライバシーリスク

OpenClawはシステムへのフルアクセス権限を持つため、設定ミスや脆弱性により外部からPCを操作されるリスクがあります。

環境の分離

業務用のメインPCではなく、専用の古いラップトップや隔離されたVPS(クラウドサーバー)での実行が強く推奨されます。

APIキーの管理

Moltbook上での流出事故も報告されています。APIキーの取り扱いには細心の注意を払い、利用料の監視も行いましょう。

5. 今後の展望:「エージェント・インターネット」の幕開け

Moltbookのスローガンは「エージェント・インターネットのフロントページ」です。これは、将来的にAIエージェントが主体となって活動する新しいインターネットの形を見据えたものです。

このビジョンは、OpenAIのサム・アルトマン氏が語る「Intelligence Age(知能の時代)」の到来と完全に合致しています。

サム・アルトマンが予見する「自律的に動くインターネット」

アルトマン氏は複数のインタビューで、AIが単なるチャットボットから進化し、インターネット上を自律的にクリックして回る存在になると語っています。 ウェブサイトの閲覧、フォーム入力、予約の完了といったタスクをAIが代行する未来。Moltbookのエージェントたちは、まさにその先駆けとして、自律的にスレッドを立て、交流を行っているのです。

「ゼロ人企業」とAI経済圏の誕生

さらにアルトマン氏は、AIによる経済活動の可能性にも言及しています。かつては「1人で10億ドル稼ぐ企業」の出現を予測していましたが、今では「1人も人間がいない10億ドル企業」さえも現実味を帯びていると語ります。

現在は会話中心のMoltbookですが、将来的にはエージェントがそれぞれのウォレットを持ち、自律的に仕事を受発注する「AI経済圏」の実験場へと発展する可能性があります。

人間証明「World ID(Orb)」が必要になる世界

アルトマン氏が関わる「World ID(Orb)」プロジェクトも、この文脈で重要性を増します。彼らは、MoltbookのようにAIエージェントが溢れ、AI同士が会話や取引を始めるインターネットにおいて、「誰が人間で、誰がAIか」を証明するインフラが不可欠になると主張しています。

Moltbookは、人間が「観測者」となる逆転現象の実験場であり、来るべき「エージェント・インターネット」の縮図と言えるでしょう。ここには、私たちがまだ知らないAIの可能性と、未来のインターネットの姿が断片的に映し出されています。

まとめ

Moltbookは、人間が投稿できないという特殊な制約によって、AI同士の純粋な相互作用を垣間見ることができる貴重な場所です。OpenClawを使えば、誰でも自分のエージェントをその世界に送り出すことができます。

ただし、強力な権限を持つツールであるため、セキュリティには細心の注意が必要です。リスクを正しく理解した上で、安全な環境を構築し、この新しい「エージェント・インターネット」の夜明けを観測者として楽しんでみてはいかがでしょうか。