Salesforce「Agentforce Builder」登場!CRMデータが自律的に動き出す未来とは?
2025年9月11日、Salesforceは同社のAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を大幅に強化する、次世代の開発ツール「Agentforce Builder」の構想を明らかにしました。
専門家でなくとも、自社のCRMデータを活用したAIエージェントを迅速に構築できるこのツールは、企業の営業、マーケティング、顧客サービスのあり方を根本から変える可能性を秘めています。
Salesforceが示す、AIエージェント開発の「民主化」
CRMの巨人であるSalesforceが、AIエージェントの開発と導入を、一部の専門家の手から、より多くのビジネスユーザーの手に解放するための、強力な一手を示唆しました。「Agentforce」は、単なるAIアシスタントから、企業の業務を自律的に遂行する真の自律型エージェントフレームワークへと進化を遂げようとしています。
ノーコード/ローコードによる直感的な開発
今回その構想が示された「Agentforce Builder」の核心は、その圧倒的な使いやすさにあります。管理者や開発者は、統一されたワークスペース上で、以下のような複数のアプローチを組み合わせてAIエージェントを構築できるとされています。
- 自然言語での指示: 「見込み顧客のスコアリングを行い、確度の高い順にリストアップして」といった日常的な言葉で指示。
- AIアシスタントとの対話: AIと対話しながら、必要な機能やロジックを段階的に組み立てる。
- プロコードでの開発: 専門的な開発者による、より高度なカスタマイズも可能。
このノーコード/ローコードのアプローチにより、プログラミング経験のないビジネス担当者でも、自社の業務に最適化されたAIエージェントを直感的に設計・開発できる「開発の民主化」が実現します。
開発から統制、即戦力化まで:Agentforceを支える新機能群
今回の発表は、単なる開発ツールに留まりません。AIエージェントを全社的に、かつ安全に活用するための管理機能や、すぐに使える業界特化型のソリューションも同時に示唆されました。
AIの活動を統制する「Agentforce Command Center」
AIエージェントの導入が進むと、「どのAIが、いつ、何をしているのか」を把握し、管理する必要が出てきます。そのための新機能が「Agentforce Command Center」です。これは、企業内に存在する複数の自律型AIエージェントの活動状況を一元的に監視・管理するためのダッシュボードです。AIの活動状況を可視化し、統制することで、企業は安心してAIエージェントを全社規模で展開することが可能になります。
すぐに使える「業界特化型AIエージェント」
さらに、Salesforceは金融やヘルスケアといった特定の業界向けに、あらかじめトレーニングされたAIエージェントを提供することも明らかにしました。これらの業界特化型AIは、各業界の専門用語や業務プロセスを深く理解しているため、企業はゼロからAIを教育する手間なく、迅速に導入し、高い効果を得ることができます。
企業のCRM活用はどう変わるか?
これらの新機能群の登場により、CRMは単なる顧客情報を蓄積しておく「データベース」から、ビジネスを能動的に推進する「自律的な頭脳」へと進化します。
「記録システム」から「行動システム」へ
これまでのCRMは、過去の活動を記録・参照するための「記録システム」としての側面が強いものでした。しかし、「Agentforce Builder」で構築されたAIエージェントは、CRMに蓄積されたデータをトリガーに、自律的に「行動」を起こします。
例えば、金融業界向けのAIエージェントが、CRMデータを分析し、「特定の投資商品に関心を示す可能性が高い顧客リスト」を自動で作成。その後、そのリストに基づき、パーソナライズされた情報提供を行うよう、マーケティング担当者に提案するといった、一連の業務が自動化されます。これらの活動はすべて「Agentforce Command Center」で監視・管理されるため、統制を保ちながら業務を遂行できます。
まとめ
Salesforceが発表した「Agentforce Builder」と一連の新機能は、AIエージェント開発のハードルを下げ、その統制を可能にすることで、企業のAI活用を本格的な普及期へと導く、画期的な一手です。特に、多くのBtoB企業にとって業務の核となるCRMデータと、AIエージェントが深く結びつくことのインパクトは計り知れません。
専門家でなくとも、自社のビジネスに最適化されたAIエージェントを迅速に構築し、その活動を明確に管理しながら改善を重ねていく。そんな新しい時代の業務自動化が、もう始まっています。Salesforceを利用する多くの企業にとって、自社のCRMデータをいかにして「動的な戦力」に変えていくか、その戦略を真剣に考えるべき時が来たと言えるでしょう。
出典:Salesforce
