Claude Securityの使い方|管理画面で始めるAI監査の3ステップ

AIを駆使した開発効率化は、現代のビジネスにおいて不可欠な選択肢となりました。しかし、開発リーダーや経営層にとって「AIが生成したコードに重大なセキュリティリスクが含まれていたらどうするか」という懸念は、導入を阻む大きな壁となっています。

本記事では、Anthropicがリリースした「Claude Security」の機能と、その具体的な使い方を解説します。AI生成コードをAI自らが監査・修正する「2段階AI監査」の仕組みを導入することで、開発スピードと安全性を高い次元で両立させる方法を学びましょう。

この記事に対する編集部の見解

  • Claude SecurityはMythosではなくProject Glasswing技術を製品化した企業向けコードスキャンツール
  • 現時点ではEnterprise限定のパブリックベータで、Team・Proプランでは利用できない
  • Mythosは非公開50組織限定、Claude SecurityはEnterprise全顧客向けと明確に住み分けられている

▶ 編集部の詳しい見解はこちら

Claude Securityとは?論理構造解析の仕組み

Claude Securityは、Anthropicの「Claude Enterprise」プラン専用の統合セキュリティ機能です。2026年4月に公開された本機能は、従来のセキュリティツールとは一線を画すアプローチで開発者の安全を守ります。

SASTとの違い:データフロー推論

これまでの静的解析ツール(SAST:静的アプリケーションセキュリティテスト)は、主に既知の脆弱性パターンとコードを照らし合わせる「パターンマッチング」に依存していました。一方、Claude Securityは、「Project Glasswing(防御AI強化プロジェクト)」から生まれた高度な論理構造解析エンジンを搭載しています。

単なる記述の照合ではなく、プログラム内部の「データがどのように流れ、どのような処理を経て出力されるか」というコンテキスト(文脈)を理解するため、これまで検知が困難だった複雑な論理的脆弱性を見抜くことが可能です。

Project GlasswingとOpus 4.7

この中核を担うのが、最新モデル「Claude Opus 4.7」です。Opus 4.7は、コードの意図と脆弱性の論理的なつながりを紐解く能力に長けており、コードの修正案を提案する際も、システム全体の挙動を損なわないセキュアな設計を自動で検討します。いわば、開発チームにセキュリティ専任の熟練アーキテクトが24時間体制で常駐している状態に近いと言えるでしょう。

関連記事:AIエージェントとは?概念から実装フェーズへ移行した2026年

図解:Claude Securityとは?AI時代に求められる「論理構造解析」の仕組み

Claude Securityを使うべき3つの理由

なぜ今、多くの企業がClaude Securityの導入を検討すべきなのでしょうか。その理由は主に3つあります。

AIによる高精度な脆弱性診断

AIが生成したコードだけでなく、既存のプロジェクトコード全体をスキャンし、人間では見落としがちな論理的不整合を特定します。特に複雑なライブラリや非標準的な実装が含まれる場合、AI特有の俯瞰的な視点が有効です。

修正パッチの自動生成機能

従来のツールは「ここに脆弱性があります」と指摘するだけでしたが、Claude Securityは違います。脆弱性が見つかった場合、その修正パッチ(修正コード)までを自動生成します。開発者はその内容を確認し、適用ボタンを押すだけで作業が完了します。

ノーコード導入と既存ツールとの共存

本機能はAPI連携などの複雑なエンジニアリングを必要としません。Claude Enterpriseの管理画面からワンクリックで有効化でき、既存の開発ワークフローに即座に組み込むことが可能です。

関連記事:【決定版】Claude Codeの機密情報対策|なぜ企業は「承認ベース」の開発でリスクを制御できるのか?

図解:Claude Securityを使うべき3つの理由|開発スピードと安全性の両立

Claude Securityの使い方:3ステップ

Claude Securityの導入は、専門知識を必要としない極めてシンプルな3ステップで完結します。

初期設定:リポジトリ連携方法

まず、Claude.aiのEnterprise管理画面にある「Security」タブにアクセスします。ここで対象とする組織内のリポジトリを選択し、スキャンを有効化してください。現在はPublic Betaとして提供されており、GitHub等の主要な組織内リポジトリとシームレスに同期されます。

脆弱性の検知と承認フロー

スキャンが完了すると、脆弱性リストが管理画面に表示されます。Claude Securityは修正パッチを提案しますが、最終的な適用には「人間による承認」が必須です。AIが生成したコードの安全性を責任者が確認する「Human-in-the-loop(人間参加型のループ)」プロセスにより、誤った修正が自動反映されるリスクを排除しています。

CI/CDを止めない運用手法

本機能は既存のビルドプロセスと独立して動作させることが可能です。開発のサイクルを止めずに、並行して「AI監査」を走らせることで、開発効率を落とすことなくセキュリティレベルを継続的に高める運用を実現します。

関連記事:【2026年最新】Claude Code「自動承認(Auto Mode)」で開発フローを最適化!安全な自動承認の仕組みと導入手順

図解:【図解】Claude Securityの使い方|導入から修正パッチ適用までの3ステップ

Snyk・Wizとの使い分けと2段階AI監査

「セキュリティツールが既に複数あるのに、また増やすのか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、役割分担を明確にすることで、防御力は飛躍的に向上します。

ツールタイプ 主な役割 強み・特徴
Snyk / Wiz等 インフラ・ライブラリの網羅的チェック 既知の脆弱性DB参照、OS・コンテナ・ライブラリ依存関係の網羅的監査
Claude Security アプリケーションロジックの脆弱性摘出 コードの文脈・意図の理解、ロジック修正パッチの自動生成

既存ツールの活用と網羅的チェック

SnykやWizといったツールは、インフラ設定の不備や、外部ライブラリのセキュリティパッチ適用状況などを網羅的にチェックするのに最適です。これらは「既知の脅威」を塞ぐ壁として機能します。

ロジック不備の摘出と適材適所

一方、Claude Securityは「開発者が書いた(あるいはAIが書いた)ロジックの不備」という、未知の脆弱性を狙う論理的な穴を埋める役割を担います。

2段階AI監査のメリット

AIエージェントが高速でコードを量産し、それをAI(Claude Security)がリアルタイムで監査する。この「2段階AI監査」体制を敷くことで、開発現場は「高速かつ安全」という、かつては二律背反だった状態を実現できます。

関連記事:【2026年最新】Claude Codeのセキュリティ|脆弱性リスクと安全な運用ガイド

図解:SnykやWizとどう使い分ける?「2段階AI監査」によるモダンな開発体制

Claude Security導入の注意点と展望

最後に、導入前に把握しておくべき制限事項と運用の心構えについて触れておきます。

現時点での制限事項

2026年5月時点では、組織内のプライベートリポジトリを主軸とした設計となっています。オープンソースプロジェクト(OSS)への直接的な自動プルリクエスト作成などの機能は今後の拡張予定であり、現時点ではクローズドな開発環境での利用を推奨します。

人間による最終判断の重要性

Claude Securityが優秀であっても、AIは時に論理的な誤解を招く可能性があります。最終的なコードの妥当性を判断するのはあくまで人間です。自動修正されたコードは必ずテスト環境で実行し、エンジニアがレビューするプロセスを必ず守ってください。

今後の機能拡充

今後は、より広範な言語対応や、コーディング規約(Lint)と連動した自動リファクタリング機能などが期待されています。Anthropicは「AIによる自律的開発」を安全に支えるためのエコシステム構築を最優先事項に掲げています。

まとめ

Claude Securityは、AIによる開発の利便性を損なうことなく、セキュリティを強固にするための強力なガードレールです。本記事の要点は以下の通りです。

  • 論理構造解析:パターンマッチングを超え、AIがコードの文脈を理解して脆弱性を検知する。
  • 修正の自動化:脆弱性の指摘だけでなく、セキュアな修正パッチの生成までをAIがサポートする。
  • 2段階AI監査:既存のインフラツールと役割を分担し、開発中の論理的な穴を重点的にカバーする。
  • 安全設計:AIによる自動修正は必ず「人間による承認」を必須とする安全な設計である。

Enterprise管理画面の「Security」タブを今すぐチェックしてください。AI時代の開発現場には、AIの監査体制が不可欠です。未加入の方はアップグレードによる先行体験を強く推奨します。

AIエージェントナビ編集部の見解

AIエージェントナビでは、各記事のテーマについて編集長が「実際どうなの?」という素朴な疑問を「Nav」と名付けたAIエージェントにぶつけています。エンジニアではなく、経営者・ビジネス視点からの率直な見解をお届けします。

編集長の率直な感想

編集長

Claude Mythosって以前話題になった、セキュリティベンチマークが突出して高いけど危険すぎて非公開になったモデルですよね。このClaude Security、Mythosと同じものですか?

Nav

別物です。Mythosはゼロデイ脆弱性を自律的に発見・悪用できるほど強力なため現在も非公開で、Project Glasswingという枠組みで約50組織にのみ限定提供されています。Claude SecurityはそのGlasswing由来の技術を製品化したツールで、「自社コードをスキャンして修正パッチを提案する」用途に絞り込んだ形です。

編集長

なるほど、Mythosを直接触れるわけではないけど、その技術の恩恵を受けられるイメージですね。使えるのはEnterpriseプランだけですか?

Nav

はい、現時点ではEnterprise限定のパブリックベータです。2026年2月に「Claude Code Security」として限定プレビューが始まり、5月に全Enterprise顧客へ拡大した経緯があります。Team・Proプランには未提供なので、中小企業がすぐ試せるツールではまだありません。

編集長

ということは「AIにコードのセキュリティを見てもらう時代」はまだ大企業向けの話で、中小はSnykやWizを使い続ける段階ということですね。

Nav

そうです。Claude Securityは「Enterpriseを契約するほど規模の大きな組織の次の選択肢」として見ておくのが現実的です。ただ拡張のペースは速く、今年中に下位プランへ展開される可能性は十分あります。

編集部のまとめ

  • Claude SecurityはMythosではなくProject Glasswing技術を製品化した企業向けコードスキャンツール
  • 現時点ではEnterprise限定のパブリックベータで、Team・Proプランでは利用できない
  • Mythosは非公開50組織限定、Claude SecurityはEnterprise全顧客向けと明確に住み分けられている

 
 
 

AIエージェントの最前線
毎朝1分でキャッチアップ。

経営・事業担当者向け。国内外の最新動向をPOINT形式で毎朝お届けします。