FDEの費用相場は?国内43社の公開料金と見積前の4条件

同じ「月額30万円」でも、含まれている稼働日数も人数も会社ごとに違います。FDE(フォワードデプロイドエンジニア)は顧客の現場に入ってAIの実装まで担う職種ですが、料金の決め方に共通の型がありません。当メディアが国内43社を調べた実データをもとに、発注前に決めておく4つの条件を整理します。

FDE費用に共通の相場はない

FDEへの発注を検討して「月額いくらが相場か」を調べても、業界に共通する金額は見つかりません。各社が料金の根拠にしている単位そのものが違うためです。稼働日数で決める会社、稼働率で決める会社、期間で区切る会社、職種と人数で積み上げる会社が並んでいます。

金額公開は4社のみ

当メディアが2026年9月時点で国内43社を調べたところ、具体的な金額を公式サイトやプレスリリースで公開しているのは4社でした。FDX株式会社、ティースリー、グリーンウォーターズ、コマースロボティクス(Global AI Lab)の4社です。

残る39社は、金額を出していないか、契約の形だけを示しています。金額を出している4社にも、対象業務の範囲や訪問頻度によって見積もる旨の注記が添えられており、公開されている数字は目安として置かれています。

料金・条件公開は14社

金額までは出していなくても、課金の仕組みや契約期間などの条件を公開している会社を含めると14社になります。残る29社は公式サイトに条件の記載がなく、問い合わせを前提とした個別見積もりの形を取っています。つまり、外から条件を比べられる会社は3分の1ほどです。

料金または契約条件を公開している14社は次のとおりです。

会社・サービス 公開されている料金・契約条件 課金の基準
FDX株式会社 月額 ¥300,000〜400,000(税別)/標準モデルは6ヶ月・総額180〜240万円(税別) 稼働日数(週1日)
ティースリー フル稼働プラン 165万円(税込)/月(稼働率100%)、パートタイムプラン 66万円(税込)〜/月(稼働率40%〜) 稼働率
グリーンウォーターズ 1ヶ月 30万円(税別)から(実装担当と戦略担当の2名体制チーム) 期間(3ヶ月単位)
コマースロボティクス(Global AI Lab) コンサル150万円・SE80万円・PM80万円(国内)/AI開発者50万円・テスター30万円(海外) 職種と人数(最低3名)
ECU株式会社 月額定額とKPI連動型を用意(金額は非公開) 月額定額または成果連動
renue株式会社 常駐メンバーの月額固定(金額は非公開) 月額固定
INSIGHT LAB スポットではなく月額での伴走型契約(金額は非公開) 月額
favy 初期開発費(要件により個別見積)+月額運用費 初期費用+月額
AX Boost(KI Strategy) 固定のコンサルフィー、成果報酬型、またはその組み合わせ(金額は非公開) 固定・成果連動・併用
ヘルシーパイレーツ ソフトウェア利用料+成果連動報酬のハイブリッド(金額は非公開) 利用料+成果連動
アールストリート 月次の伴走型を基本に、プロジェクト型にも対応(費用は個別見積もり) 支援の範囲と期間
ブレイブスタジオ 一律の金額は設定せず、規模・期間・体制により個別見積もり 規模・期間・体制
DeFactory 完成型準委任による開発支援(金額は非公開) 成果へのコミット
ライトアップ 成果報酬型(採用決定時のみ費用が発生)※人材紹介の成果報酬 採用の成否

この表で1社だけ性質が違うのがライトアップです。同社の成果報酬は人材を紹介して採用が決まったときに発生する紹介手数料であり、エンジニアに業務を委託して月々支払う費用とは種類が違います。見積もりを比べるときは、紹介料なのか委託料なのかを先に確認してください。

関連記事:FDEとは?意味とFDE企業一覧|Forward Deployed Engineer

一律料金を設定しない理由

金額を出さない会社は、その理由を公式サイトに書いています。ブレイブスタジオの記載は次のとおりです。

料金はプロジェクトの規模・期間・体制により異なるため、一律の金額は設定しておりません。

アールストリートも同様に、支援の範囲と期間に応じた個別の見積もりであると説明しています。

月次の伴走型を基本に、テーマを区切ったプロジェクト型のご支援にも対応します。費用は支援の範囲と期間に応じた個別のお見積りで

いずれも、価格を隠しているというより、支援の範囲が案件ごとに変わるため定価を置けないという説明です。裏を返せば、発注側が範囲を決めて伝えない限り、各社も金額を出せません。

金額を公開している4社の料金

金額を公開している4社を並べると、課金の基準が4社とも違うことがわかります。

会社・サービス名 公表されている料金 稼働の前提 契約期間
FDX株式会社「1Day FDE」 月額 ¥300,000〜400,000(税別)/標準モデル6ヶ月・総額180〜240万円(税別) 週1日常駐(訪問・リモート併用) 最低契約3ヶ月
ティースリー フル稼働プラン 165万円(税込)/月/パートタイムプラン 66万円(税込)〜/月 稼働率100%/稼働率40%〜 最低契約期間3ヶ月〜、以降1ヶ月単位で自動更新
グリーンウォーターズ「Deployed AX」 1ヶ月 30万円(税別)から 実装担当と戦略担当の2名体制チーム 3ヶ月単位のご契約
コマースロボティクス「Global AI Lab」 コンサル(訪問・現場常駐)150万円、SE(現場常駐)80万円、PM 80万円(国内)/60万円(海外)、AI開発者50万円(海外)、Web開発者40万円(海外)、テスター30万円(海外) 最低3名からのチーム 1か月から利用可能

週1日からの開始型

FDX株式会社の「1Day FDE」は、週1日の稼働を前提にした料金です。公式ページには次の記載があります。

月額 ¥300,000〜400,000 (税別)
週1日常駐(訪問・リモート併用)
最低契約3ヶ月

期間でまとめた場合の目安も同じページに示されています。

※ 金額は対象業務の範囲・訪問頻度によりお見積りします。標準モデルは6ヶ月・総額180〜240万円(税別)。各種AIツールのライセンス費用は含まれません。

あわせて、業務の棚卸しを行う「1Day AIアセスメント」を先に実施する場合の費用が10万円と案内されています。月額の外側にかかる費用がある点は、見積もりを取るときの確認事項になります。

稼働率による料金型

ティースリーは、エンジニアがその会社にどれだけの時間を割くかという稼働率で料金を決めています。

・フル稼働プラン 165万円(税込)/月(稼働率100%)
・パートタイムプラン 66万円(税込)〜/月(稼働率40%〜)
※最低契約期間3ヶ月〜、以降1ヶ月単位で自動更新

165万円に稼働率40%を掛けると66万円になり、稼働率にそのまま比例する設計であることが公表値から確認できます。稼働の量を減らせば費用も同じ割合で下がるため、予算に合わせて調整しやすい形です。

期間による区切り型

グリーンウォーターズの「Deployed AX」は、3ヶ月という期間を単位にしています。

契約期間: 3ヶ月単位のご契約
料金: 1ヶ月 30万円(税別)から ※詳細はお問い合わせください

この30万円は1名分ではありません。同社は実装担当と戦略担当の2名体制チームで支援すると説明しています。金額だけを見ると4社のなかで最も低い水準ですが、稼働日数は公表されていないため、1日あたりいくらかは外からは計算できません。

職種・人数による決定型

コマースロボティクスの「Global AI Lab」は、職種ごとの月額を公開しています。

コンサル(訪問・現場常駐) 150万円(国内)
SE(現場常駐) 80万円(国内)
PM 80万円(国内)/60万円(海外)
AI開発者 50万円(海外)
Web開発者 40万円(海外)
テスター 30万円(海外)

契約は準委任契約で、成果物と著作権は発注側に帰属すると明記されています。利用は1か月から可能である一方、人数には下限があります。

最低3名からご利用いただけます。プロジェクトの規模に合わせて柔軟に対応します。

職種を選んで積み上げる形なので、どの役割を何名依頼するかで総額が決まります。

図解:金額を公開している4社の課金基準

月30万円でも中身が異なる

4社の公表値には「30万円」という数字が3回出てきますが、指しているものはそれぞれ別です。

稼働量の前提差

FDX株式会社の月30万円は、週1日の稼働に対する金額です。1か月を4週とすれば月4日にあたります。一方でティースリーのフル稼働プランは稼働率100%で165万円ですから、同じ1名でも前提となる時間がまったく違います。金額の大小ではなく、その金額で何日分の稼働が付いてくるのかを確認しない限り、比較にはなりません。

体制人数の違い

グリーンウォーターズの月30万円は2名体制チームの下限額です。コマースロボティクスの30万円は海外拠点のテスター1名の月額で、しかも同社の利用には最低3名という条件があります。同じ30万円でも、2名のチームが動く場合と、1名分の単価にすぎない場合があるということです。

1日換算での見え方

FDX株式会社は公式ページで、自社の料金を1日あたり7.5〜10万円と説明しています。これは同社が公表している換算値です。

他社については公表されていないため、当メディアが公表値から計算した参考値を示します。ティースリーのフル稼働プラン165万円を月20営業日と仮定すると1日あたり約8.25万円、パートタイムプラン66万円を稼働率40%(月8日相当)と仮定しても約8.25万円になります。なお、月20営業日という前提は当メディアが置いた仮定であり、同社が公表しているものではありません。

この仮定のうえでの話ですが、月額では2.5倍の開きがある2つのプランが、1日あたりでは近い水準に並びます。月額の総額は稼働量の違いを映しているだけということが起こり得るため、見積もりを比べるときは金額と稼働量を必ずセットで見てください。

関連記事:FDEとSESの違いは?客先常駐でも分かれる3点と国内43社の実態

図解:月30万円の内訳比較

金額非公開企業の課金型

金額を出していない会社も、課金の仕組みは公開しています。自社の予算の組み方に合う型かどうかは、金額を聞く前に判断できます。

月額定額・固定型

毎月一定額を支払い、その枠のなかで優先順位の高い作業から進めてもらう形です。ECU株式会社は予算を計画しやすい月額定額を用意していると説明し、renue株式会社は常駐メンバーの月額固定でスモールスタートできるとしています。INSIGHT LABは、スポットの開発依頼ではなく月額での伴走型契約を採用していると明記しています。

費用が読みやすい反面、依頼する量が少ない月も同額になります。

成果連動型

基本の料金に加えて、成果に応じた報酬を組み合わせる形です。ECU株式会社はKPI連動型を月額定額と並べて提示し、AX Boost(KI Strategy)は固定のコンサルフィー、成果報酬型、その組み合わせから選べるとしています。ヘルシーパイレーツはソフトウェア利用料と成果連動報酬のハイブリッドと説明しています。

初期の負担を抑えられますが、何をもって成果とするかを契約前に文章で決めておく必要があります。

稼働時間非依存型

DeFactoryは、稼働時間ではなく合意した成果に対して責任を負う形を掲げています。

完成型準委任による事業成果にコミットする開発支援事業となります。

準委任という契約の種類は、常駐型の人材サービスでも広く使われています。契約書の名前だけでは働き方の違いを判断できないため、何に対して支払うのかを個別に確認してください。

見積もり前の4つの条件

ここまでの14社の公表内容から言えるのは、各社が金額を出すために必要としている情報が共通しているということです。次の4点を社内で決めてから問い合わせると、比較できる見積もりが揃います。

稼働量の指定方法

週に何日入ってほしいのか、あるいは1名の時間のうちどれくらいを割いてほしいのかを決めます。今回の4社は、稼働日数か稼働率のどちらかを料金の根拠にしていました。ここが決まらないと、各社は前提を自分で置いて見積もることになり、金額を横に並べても比べられません。

契約期間と最低単位

公開されている4社のうち3社が最低3ヶ月の契約を設けています。1か月単位で始められる会社もありますが、その場合も人数に下限があります。試験的に短期間で始めたいのか、半年かけて実装まで進めたいのかを先に決めてください。

体制の人数

1名に任せたいのか、複数名のチームを求めるのかを決めます。同じ金額でも2名体制の下限額である場合と、1名分の単価である場合があります。職種別に単価を設定している会社では、どの役割を何名依頼するかがそのまま総額になります。

料金外の費用

月々の委託料に含まれない費用があるかを確認します。FDX株式会社は、各種AIツールのライセンス費用は料金に含まれないと明記し、業務の棚卸しを行うアセスメントを別料金(10万円)として案内しています。契約前に、何が含まれ何が別になるのかを書面で確認してください。

関連記事:【完全ガイド】AIエージェントの費用は?導入から運用までの費用を解説

図解:見積もりを取る前に決める4つの条件

まとめ:条件の先行決定

国内43社のうち金額を公開しているのは4社、契約条件まで含めても14社です。その4社も、稼働日数・稼働率・期間・職種と人数という別々の基準で料金を決めており、金額だけを横に並べても比較にはなりません。同じ「月30万円」が、週1日1名を指すことも、2名チームの下限額を指すこともあります。

各社に問い合わせる前に、稼働量・契約期間・体制の人数・料金に含まれない費用の4点を決めてください。この4点を同じ内容で各社に伝えれば、返ってくる見積もりは初めて比較できる形になります。

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