【国産AIエージェント新時代】カラクリがFunction Calling対応LLM「KARAKURI LM」を公開!
AIソリューション開発のカラクリ株式会社は2025年6月20日、AIエージェントとしての利用に不可欠な「Function calling」機能を備えた、国産大規模言語モデル(LLM)「KARAKURI LM 8x7B Instruct v0.1」を一般公開したと発表しました。
この発表は、日本のAIエージェント市場における技術的独立への大きな一歩であり、セキュリティや実用性を重視する多くのBtoB企業にとって、待望の選択肢が登場したことを意味します。
国産LLMの新たな地平:「KARAKURI LM」が示すAIエージェントの未来
カラクリ株式会社が、AIエージェント開発の新たな可能性を切り拓く、画期的な国産LLMをリリースしました。今回一般公開された「KARAKURI LM」は、単に日本語の対話能力が高いだけでなく、AIが具体的な「業務」を遂行するための核心的な技術を備えている点が最大の特徴です。
AIエージェントの核技術「Function Calling」とは
「KARAKURI LM」が国産LLMとして初めて搭載した「Function calling」機能。これは、AIエージェントを構築する上で極めて重要な技術です。簡単に言えば、AIが「外部のツールやデータベースと連携し、自律的にタスクを計画・実行する能力」を指します。
これまでの対話型AIは、主に情報を提供したり文章を生成したりすることが役割でした。しかし、「Function calling」を備えたAIは、例えば「最新の在庫を確認して、Aさんに納期をメールで連絡して」といった指示に対し、在庫管理システムにアクセスして情報を取得し、メールソフトを操作して連絡するという一連の業務を自律的にこなすことができます。つまり、単なる「対話相手」から、具体的な業務を任せられる「実行役(エージェント)」へと進化するのです。
日本語性能の高さと一般公開の意義
「KARAKURI LM」は、日本語能力を評価する主要なベンチマーク「Japanese MT-Bench」においても、既存のモデルと比較して高いスコアを維持しています。高い日本語能力と「Function calling」機能が両立している点は、日本のビジネス環境に最適化されたAIエージェント開発において大きなアドバンテージとなります。
さらに、この高性能なモデルが、世界最大のAIプラットフォームの一つであるHugging Face上で一般公開されたことの意義は非常に大きいと言えます。これにより、企業や開発者は誰でもこのモデルにアクセスし、自社のニーズに合わせたAIエージェントの開発・研究を自由に進めることが可能になりました。
ビジネス実装を最優先:カスタマーサポートDXを加速する活用事例
「KARAKURI LM」の開発は、学術的な探求だけでなく、ビジネス現場での実用性が最優先されています。特に、同社が強みを持つカスタマーサポート領域において、AIエージェントがどのように業務を変革できるか、具体的なユースケースが示されています。
カスタマーサポート業務の高度化
カスタマーサポートの現場では、日々多くの定型的な問い合わせや手続きが発生します。「KARAKURI LM」を搭載したAIエージェントは、これらの業務を自動化し、高度化することができます。
- 1-to-1の高度な接客: 顧客からの問い合わせに対し、過去の購買履歴や問い合わせ履歴を参照しながら、一人ひとりに最適化された回答を自動生成します。
- 手続きの自動化: 例えば、ECサイトにおける「返品処理」のような複雑な手続きも、AIエージェントが顧客との対話を通じて必要な情報を収集し、関連システムを操作して完結させることが可能になります。
これにより、サポート担当者はより複雑で感情的なケアが求められる対応に集中できるようになり、顧客満足度の向上と業務効率化を両立できます。
VoC分析と戦略立案の支援
AIエージェントは、顧客対応だけでなく、ビジネス戦略の立案にも貢献します。日々寄せられる顧客からの問い合わせ、いわゆる「VoC(顧客の声)」をAIが分析し、製品やサービスの改善点、新たなニーズなどを抽出します。さらに、これらの分析結果に基づき、顧客へのアプローチやキャンペーンといったアウトバウンド施策の最適なタイミングを予測するなど、データドリブンな意思決定を支援します。
「国産」がもたらす価値とAIエージェント開発の内製化
海外製の優れたAIモデルが多数存在する中で、あえて「国産LLM」を開発・公開したことには、日本のBtoB企業にとって重要な意味があります。それは、セキュリティとガバナンス、そして開発の自由度です。
データセキュリティとガバナンスという課題
多くの企業がAI、特に生成AIの導入を検討する際に懸念するのが、機密情報や個人情報の取り扱いです。海外のプラットフォームを利用する場合、データが国外のサーバーで処理されることへの不安や、各国の法規制への対応といった課題が生じます。「国産」である「KARAKURI LM」は、データを国内で完結させる運用が可能であり、こうしたセキュリティやガバナンス上の懸念に対する強力な「安心材料」となります。
AIエージェント開発の民主化と内製化
「KARAKURI LM」が一般公開されたことで、企業は特定のプラットフォームに依存することなく、自社専用のAIエージェントを開発・内製化する道が大きく開かれました。国内の商習慣や業務プロセスに最適化された、真に自社のためだけのAIエージェントを、より安全かつ柔軟に構築できる環境が整ったのです。これは、AIエージェント開発の「民主化」を促し、日本国内のAIエコシステムを活性化させる戦略的な動きと言えるでしょう。
まとめ
カラクリ株式会社による「Function calling」機能を搭載した国産LLM「KARAKURI LM」の一般公開は、日本のAIエージェント市場における画期的な出来事です。ビジネスでの実用性を徹底的に追求し、特にカスタマーサポートDXを強力に推進する可能性を秘めています。
そして何より、「国産」という選択肢が提供されたことは、セキュリティやガバナンスを重視する多くのBtoB企業にとって朗報です。この新しいモデルを活用することで、企業はより安全かつ柔軟に、自社のビジネスを加速させるAIエージェントの開発・内製化に取り組むことができるようになります。「KARAKURI LM」は、日本のAI活用の新たな時代を切り拓く、重要な一歩となるでしょう。
出典:PR TIMES
