アクセンチュア、「Trusted Agent Huddle」発表!社内の“AIサイロ化”を防ぐ新基盤とは
アクセンチュアは2025年6月2日、企業内で利用される異なるベンダー製のAIエージェント同士を安全に連携させるための新ソリューション「Trusted Agent Huddle」を発表しました。
多くの企業がMicrosoft、Google、Salesforceなど複数のAIを導入する中で懸念される「AIのサイロ化」。
この新たな課題に対し、アクセンチュアは企業内AIエコシステムを構築するための強力な基盤を提示します。
アクセンチュアが警鐘を鳴らす「AIサイロ化」と新基盤「Trusted Agent Huddle」
世界有数のプロフェッショナルサービス企業であるアクセンチュアが、企業のAI活用における次なる課題を見据え、先進的なソリューションを発表しました。「Trusted Agent Huddle」は、AI導入が次のステージに進んだ現代の企業が直面する、「AIのサイロ化」という問題を解決するために開発されました
企業が直面する新たな課題:「AIのサイロ化」
現代の企業では、業務効率化やDX推進のために、様々なベンダーが提供するAIソリューションを導入するのが一般的です。例えば、営業部門ではSalesforceのAI、マーケティング部門ではAdobeのAI、全社的な業務基盤としてはMicrosoftやGoogleのAI、といったように、複数のAIが社内に混在する状況が生まれつつあります。
しかし、これらのAIエージェントがそれぞれ独立して動作し、相互に連携できない場合、データやナレッジが分断される「AIのサイロ化」という新たな問題が発生します。これにより、部門横断的な業務プロセスの自動化が妨げられ、AI導入の効果が限定的になってしまうのです。
「Trusted Agent Huddle」が目指す解決策
「Trusted Agent Huddle」は、この「AIのサイロ化」を防ぎ、企業内で利用される様々なAIエージェントを、信頼できる環境下で安全に連携させるためのプラットフォームです。異なるベンダー製のAIエージェント同士が互いの能力や情報を活用し、協調して動くことで、単体のAIでは成し得なかった、より高度で複雑なタスクの実行を可能にすることを目指します。
「Trusted Agent Huddle」の仕組み:マルチベンダーAIの協調を実現
では、「Trusted Agent Huddle」は、具体的にどのようにして異なるAIエージェントの連携を実現するのでしょうか。その鍵は、企業が既に利用している主要なテクノロジープラットフォームとの連携力と、具体的な活用事例にあります。
主要テクノロジーベンダーのAIを連携
アクセンチュアの発表によると、「Trusted Agent Huddle」は、以下のような主要なテクノロジーベンダーが提供するAIエージェントとの連携が可能です。
- Adobe
- Amazon Web Services (AWS)
- Google Cloud
- Microsoft
- NVIDIA
- Salesforce
これにより、例えば「営業部門で使っているSalesforceのAIエージェントが、マーケティング部門のAdobe AIと連携して、最新の顧客動向に基づいた営業提案書を自動作成する」といった、部門やシステムを横断した高度な業務自動化が実現します。
FedEx社における具体的な活用事例
このソリューションは既に実用段階にあります。世界的な物流企業であるFedEx社は、アクセンチュアおよびNVIDIAと協力し、「Trusted Agent Huddle」を活用して社内の業務レジリエンス(回復力・強靭性)向上を図っています。これは、物流という複雑なプロセスにおいて、異なるシステムやAIが持つ情報を連携させ、予期せぬ事態への対応力を高める取り組みであり、「Trusted Agent Huddle」が企業内の課題解決に貢献していることを示す好例です。
AI活用の新たなステージ:「個の導入」から「社内エコシステムの構築」へ
「Trusted Agent Huddle」の登場は、企業のAI活用戦略が新たなステージに入ったことを示唆しています。それは、個別のAIを導入する「点の活用」から、社内のAI全体を協調させる「エコシステムの構築」へと向かう流れです。
適材適所でAIを選び、連携させる時代へ
もはや、一社のAIがすべての業務を完璧にこなす時代ではありません。企業は、業務内容に応じて最適なAIエージェントを「適材適所」で選択し、それらを自社の管理下で効果的に連携させることが求められます。「Trusted Agent Huddle」は、この「社内AIエコシステム」を構築するための技術的基盤となり、企業がベンダーロックインを避けつつ、自社に最適化されたAI活用環境を築くことを可能にします。
Agent-to-Agent(A2A)連携の社内実装
この仕組みは、将来的な「Agent-to-Agent(A2A)」連携、すなわちAIエージェント同士が自律的に協調し合う世界の、まずは企業内における実装と捉えることができます。信頼できる環境で、各AIエージェントが持つスキルやナレッジを共有・再利用できる基盤を整えることで、企業はAIによる自動化の範囲と深度を飛躍的に高めることができるのです。
まとめ
アクセンチュアが発表した「Trusted Agent Huddle」は、企業が導入する複数のベンダー製AIエージェントが引き起こす「AIのサイロ化」という新たな課題に対する、画期的なソリューションです。異なるAIエージェント同士を企業内で安全に連携させることで、部門を横断した複雑な業務プロセスの自動化を可能にします。
この動きは、BtoB企業にとって、AI導入戦略を再考するきっかけとなるでしょう。単一のAIソリューションに依存するのではなく、自社に最適なAIを複数組み合わせ、それらを協調させる「社内AIエコシステム」をいかに構築するか。アクセンチュアの「Trusted Agent Huddle」は、その未来を実現するための重要な一歩を示しています。
出典:PR TIMES
