AIエージェントがサプライチェーンの知財戦略を最適化！リーガルテックの新サービス

リーガルテック株式会社は2025年7月11日、同社のAIエージェントを実装した知財情報分析ツール「Tokkyo.Ai」を活用し、中小製造業の企業群向けに「共同品質・共同知財モデル」の提供を開始したことを発表しました。

この動きは、AIエージェントが単一企業の業務効率化に留まらず、企業間の連携、すなわちサプライチェーン全体の競争力強化に貢献する、新たな時代の到来を告げるものです。

リーガルテックが提案する、中小製造業の新たな連携モデル

リーガル（法務）分野のDXを推進するリーガルテック株式会社が、日本のものづくりを支える中小製造業に向けて、画期的な新サービスを打ち出しました。それが「共同品質・共同知財モデル」です。これは、AIの力を活用して、中小製造業が「個」ではなく「群」として連携し、国際競争力を高めるための新しいビジネスモデルです。

中小製造業が直面する課題

日本の多くの中小製造業は、世界に誇る高い技術力を持ちながらも、個社単独ではリソースに限りがあるため、大規模な研究開発や複雑な知財戦略の立案、そしてグローバル市場への展開といった面で課題を抱えています。高品質な製品を開発するためには、サプライチェーンを構成する複数の企業間での緊密な連携が不可欠ですが、最適なパートナーを見つけ出し、共同で知財価値を最大化していくことは容易ではありませんでした。

「共同」で乗り越えるという発想

「共同品質・共同知財モデル」は、この課題に対し、中小製造業の企業群（クラスター）が連携し、共同で品質管理と知財戦略に取り組むという新しいアプローチを提案します。そして、その連携を円滑かつ効果的に進めるための頭脳として、AIエージェントが中心的な役割を担います。

AIエージェント「Tokkyo.Ai」が担う、知財分析と戦略立案の役割

この新しいビジネスモデルの中核を担うのが、リーガルテック社が提供するAIエージェント実装の知財情報分析ツール「Tokkyo.Ai」です。このAIエージェントは、単に特許情報を検索するだけでなく、企業間の連携を最適化するための高度な分析と提案を行います。

AIエージェントによる技術・特許のマッチング

複数の企業が連携して新製品を開発しようとする際、「Tokkyo.Ai」のAIエージェントは、参加企業のそれぞれの技術情報や保有特許を横断的に分析します。そして、どの企業の技術を組み合わせれば、最も高品質で競争力のある製品を生み出せるのか、最適な開発パートナーシップの組み合わせを提案します。これにより、これまで気づかなかったような企業間のシナジーを発見し、イノベーションを加速させることが期待できます。

新たな知財戦略の創出

さらに、AIエージェントは、分析結果に基づいて、サプライチェーン全体としての新たな共同知財戦略を立案・提案します。例えば、連携することで生まれる新しい技術を知的財産として共同で権利化したり、競合他社の特許網を回避するための開発戦略を立てたりといった、高度な戦略的意思決定を支援します。これにより、個社単独では難しかった、強固な知財ポートフォリオの構築が可能になります。

「個」から「群」へ：AIが拓くサプライチェーン全体の価値向上

リーガルテック社のこの取り組みは、AIエージェントの活用が新たなステージへと進んだことを明確に示しています。AIは、もはや単一企業の壁の中だけで使われるものではありません。

サプライチェーンの最適化へ

これまでのAI活用は、主に「単一企業の業務効率化」に焦点が当てられてきました。しかし、「共同品質・共同知財モデル」は、AIエージェントが企業間の連携、すなわちサプライチェーン全体の最適化に貢献できることを示しています。各企業が持つ強みをAIが可視化し、最適な形で組み合わせることで、サプライチェーン全体の品質、コスト、そして競争力を向上させることができるのです。

BtoB企業における応用可能性

この「企業間連携をAIが最適化する」という考え方は、製造業の知財戦略に限らず、他のBtoB領域にも広く応用可能です。

• 共同マーケティング: 複数の企業が共同で販促キャンペーンを行う際に、各社の顧客データをAIが分析し、最も効果的なターゲット層やアプローチ手法を提案する。
• 共同調達: 複数の企業が原材料などを共同で購入する際に、AIが市場価格の動向や各社の需要を予測し、最適な発注タイミングや数量を算出する。
• 共同研究開発: 複数の大学や研究機関が持つ研究シーズと、企業のニーズをAIがマッチングさせ、新たな共同研究開発プロジェクトを創出する。

このように、AIエージェントは、企業間のコラボレーションを促進し、新たなビジネスモデルを生み出すための触媒となり得るのです。

まとめ

リーガルテック株式会社が提供を開始した「共同品質・共同知財モデル」は、AIエージェントが、中小製造業のサプライチェーン全体の知財価値と競争力を向上させる、画期的な取り組みです。AIが各社の技術や特許を分析し、最適な連携と戦略を提案することで、個社では成し得なかった大きな価値を創出します。

この事例は、AIエージェントの活用が、企業内の閉じた効率化から、企業間を繋ぐオープンな価値創造へと進化していく未来を示唆しています。特に、知財戦略という企業の競争力の源泉となる領域でAIが活躍するという点は、多くのBtoB企業にとって、自社のコアコンピタンスとAIをどう結びつけるかを考える上で、重要なヒントとなるでしょう。

出典：PR TIMES