新宿区がAIエージェント導入！中小企業支援と自治体DXの新しい形

2025年8月19日 2025年8月19日 AIエージェントナビ編集部

AIエージェントナビ編集部

株式会社ライトアップは2025年8月12日、同社が提供する補助金・助成金自動診断システム「Jシステム」を東京都新宿区へ提供開始したことを発表しました。

この取り組みは、AI技術を活用して、区内の中小企業が自社に最適な公的支援制度を容易に見つけられるようにするものです。
AIエージェントの活用領域が、民間だけでなく行政サービス（GtoB）へと広がっていることを示す、象徴的な事例と言えるでしょう。

ライトアップ「Jシステム」、新宿区で始動：自治体DXと中小企業支援を両輪で

中小企業向けの経営支援などを手掛ける株式会社ライトアップが、行政と地域企業を繋ぐ、新しい形のDX支援に乗り出しました。今回、東京都新宿区に導入された「Jシステム」は、テクノロジーの力で行政サービスの効率化と、地域経済の活性化を同時に実現することを目指す、先進的なソリューションです。

新宿区が抱える課題と導入の狙い

国や地方自治体が提供する補助金・助成金は、中小企業の成長を後押しする上で非常に重要です。しかし、制度の種類が多岐にわたり、情報が分散しているため、多くの中小企業経営者は「どの制度が自社に合っているのか分からない」「情報を探す時間がない」といった課題を抱えていました。

新宿区は、この「情報の壁」を取り払い、区内の中小企業が公的支援制度を最大限に活用できる環境を整えるため、「Jシステム」の導入を決定しました。これは、行政サービスの質を高める「自治体DX」と、地域経済の屋台骨である「中小企業支援」を両輪で推進する、戦略的な一手です。

AIが最適な補助金を自動診断！「Jシステム」の仕組みとメリット

「Jシステム」は、複雑な補助金・助成金制度と、それを必要とする企業との間のマッチングを、AIの力で最適化するシステムです。その仕組みはシンプルでありながら、企業と行政の双方に大きなメリットをもたらします。

複雑な補助金制度という「情報の壁」を破壊

「Jシステム」を利用する企業は、自社の事業内容、従業員数、所在地、そして抱えている経営課題（例：設備投資をしたい、人材を育成したいなど）といった、いくつかの簡単な質問に答えるだけです。すると、システムがその回答内容を基に、数多く存在する補助金・助成金の中から、その企業が利用できる可能性のある制度をAIが自動で診断し、リストアップしてくれます。

企業と行政、双方のメリット

この仕組みにより、以下のようなメリットが生まれます。

中小企業側のメリット:
- 情報収集の手間を大幅に削減: これまで何時間もかかっていた情報収集作業が不要になります。
- 機会損失の防止: 見逃していた可能性のある、自社に有利な制度を発見できます。
- 資金調達の促進: 経営改善や新たな投資に向けた、資金調達の道筋が立てやすくなります。
行政（新宿区）側のメリット:
- 情報提供の効率化: 窓口での問い合わせ対応などの業務負担を軽減できます。
- 施策効果の最大化: 支援制度の利用を促進し、地域経済の活性化という本来の目的を達成しやすくなります。

単なる診断から「AIエージェント」へ：行政サービスの未来像

今回の「Jシステム」導入は、単なる自動診断システムの提供に留まりません。ライトアップ社は、今後、より高度なAIエージェント機能へと段階的にサービスを拡充していく計画を明らかにしています。

AIエージェントへの進化ロードマップ

将来的には、現在の診断機能に加え、以下のようなAIエージェント機能の実装が期待されます。

対話形式での相談対応: 従業員がチャットで質問すると、AIが対話形式でより詳細な疑問に答えたり、必要な情報を深掘りしたりします。
申請手続きの支援: 複雑な申請書類の作成を、AIが設問に答える形でサポートしたり、記入例を提示したりします。
能動的な情報提供: 新しい補助金制度が設立された際に、該当する可能性のある企業へAIが自動で通知を送ります。

GtoB（Government to Business）におけるAI活用の広がり

新宿区のこの事例は、AIエージェントの活用領域が、民間企業内の業務効率化（BtoB）だけでなく、行政から企業へのサービス提供（GtoB）においても大きな可能性を秘めていることを示しています。今後、補助金申請だけでなく、許認可の取得や税務申告など、様々な行政手続きがAIエージェントによって、よりスムーズで効率的なものになっていく未来が予想されます。