AIエージェントが無人店舗の店員に。ヘッドウォータースとセキュアが描く次世代リテールとは
2025年9月19日、AIソリューション開発の株式会社ヘッドウォータースと、物理セキュリティ技術の株式会社セキュアが、無人店舗運営の課題解決に特化したAIエージェントソリューションの共同開発を発表しました。
この提携は、AIエージェントがオフィスワークの自動化という領域を超え、物理的な店舗空間を管理・運営する「店員」の役割を担う、次世代リテールの到来を予感させるものです。
ヘッドウォータースとセキュアが挑む、無人店舗運営の「3大課題」
AIソリューション開発で多くの実績を持つヘッドウォータースと、入退室管理や監視カメラシステムといった物理セキュリティのプロフェッショナルであるセキュア。この2社がそれぞれの強みを持ち寄り、近年注目が高まる無人店舗という新しい業態(バーティカル)に特化した、画期的なソリューションの開発に着手しました。
無人店舗が抱える特有の課題
人手不足の解消や24時間営業の実現といった大きなメリットを持つ無人店舗ですが、その運営には特有の難しさがあります。今回の共同開発は、特に重要となる以下の「3大課題」を、AIエージェントの力で解決することを目指しています。
- 防犯 (Security): スタッフが常駐しないことによる、万引きなどの不正行為への対策。
- 接客 (Customer Service): 困っている顧客への対応や、商品に関する質問への回答。
- 店舗管理 (Store Management): 商品の欠品や陳列の乱れの把握と対応。
防犯から接客、商品管理まで。AIエージェントが担う具体的な役割
このソリューションでは、AIエージェントが店舗に設置されたカメラやセンサーと連携し、店内で起こる様々な事象をリアルタイムで認識・判断し、自律的に対応します。
AIによる24時間体制の店舗運営
- 防犯 - 不正行為の検知: AIが監視カメラの映像を常に解析し、万引きと疑われる不審な行動パターンを検知した際に、バックヤードのスタッフや警備会社へ自動でアラートを送信します。
- 接客 - 遠隔での顧客応対: 商品の前で迷っている顧客や、操作方法が分からず困っている顧客の様子をAIが検知。店内のスピーカーやディスプレイを通じて「何かお探しですか?」と能動的に話しかけ、必要であれば遠隔地にいる人間のオペレーターに繋いで、スムーズな購買体験を支援します。
- 店舗管理 - 欠品・商品陳列の監視: AIが棚の画像を分析し、商品の欠品や陳列の乱れを自動で検知。スタッフの端末に補充や整理を指示するタスクを自動で作成し、販売機会の損失を防ぎます。
物理とデジタルの融合が拓く、小売DXの未来
今回の協業の最も重要な点は、ヘッドウォータースが持つAIという「デジタル技術」と、セキュア社が持つ監視カメラや入退室管理といった「物理セキュリティ技術」を、深く融合させている点にあります。
人手不足解消と新たなビジネス機会の創出
このソリューションは、小売・流通業界が直面する深刻な人手不足という課題に対する、強力な解決策となります。AIエージェントが店舗運営の多くを担うことで、最小限の人数で高品質な店舗運営が可能になり、スタッフはより付加価値の高い業務に集中できます。また、これまで人件費の観点から難しかった24時間営業の実現も容易になり、新たなビジネス機会の創出に貢献します。これは、小売DXにおける画期的な活用事例と言えるでしょう。
まとめ
ヘッドウォータースとセキュアによる、無人店舗向けAIエージェントソリューションの共同開発は、AIの活用が、オフィスというデジタル空間から、店舗という物理空間へと大きく広がり始めたことを示す象徴的なニュースです。防犯、接客、店舗管理という、無人店舗運営の核心的な課題をAIが解決することで、小売業界のDXは新たなステージへと進みます。
この活用事例は、AIエージェントが特定の業界課題に深く特化し、異業種の技術と融合することで、これまでにない価値を生み出すことを明確に示しています。自社のビジネス現場におけるリアルな課題を、AIの力でどう解決できるか。そのヒントが、この先進的な取り組みには詰まっています。
出典:PR TIMES
