NECが営業支援AIエージェントを開発！提案書作成を自動化し「Client Zero」で自社導入へ

2025年11月27日、日本電気株式会社（NEC）は、自律的に思考・行動する「Agentic AI（自律型AI）」を活用した、新たな営業支援ソリューションの開発を発表しました。
このシステムは、顧客との会話記録や社内に蓄積された膨大な資料を基に、AIが顧客ごとの課題に合わせた提案書までも自動作成します。

NECは、自社を最初のユーザーとする「Client Zero」の考えに基づき、まず自社の営業部門での実証利用を経て、2026年3月に一般提供を開始する計画です。

Agentic AIが「提案書」を自動生成する衝撃

今回NECが発表したソリューションの最大の特徴は、AIが単なる情報の検索や要約を行うだけでなく、営業担当者に代わって具体的な成果物を作成する点にあります。

顧客課題に合わせた資料作成

このソリューションは、商談の議事録やメモから顧客の課題やニーズを読み取ります。そして、社内に蓄積されている過去の提案書、技術資料、成功事例などのデータベース（ナレッジ）を参照し、その顧客に最適な構成で提案書やディスカッションペーパーを自動生成します。

これまで営業担当者が多くの時間を費やしていた「資料作成」というプロセスをAgentic AIが自律的に実行することで、担当者は顧客との対話や関係構築といった、より本質的な活動に集中できるようになります。これは、営業DXにおける大きなブレイクスルーと言えるでしょう。

「Client Zero」戦略：自ら実験台となり信頼性を担保

NECは、この革新的なソリューションをすぐに外販するのではなく、まずは自社で使い倒すという戦略をとっています。

2026年3月の一般提供に向けて

「Client Zero」とは、自社をゼロ番目のクライアントと見立て、開発した技術を自社業務に適用して効果検証や改善を行うアプローチです。NECは2025年11月から、自社の営業部門においてこのシステムの利用を開始します。

実際の営業現場で揉まれ、ブラッシュアップされたノウハウや機能を反映した上で、2026年3月に正式なサービスとして市場に提供する予定です。このプロセスを経ることで、理論上の機能だけでなく、現場のワークフローに即した実用性の高いソリューションとなることが期待されます。

属人化の解消と既存システム連携

このソリューションは、営業組織が抱える構造的な課題解決にも寄与します。

「売れる営業」のノウハウを標準化

ベテラン営業担当者の知見や、過去の優れた提案資料は、社内に埋もれてしまいがちです。Agentic AIがこれらを能動的に引き出し、提案書作成に活用することで、経験の浅い担当者でも質の高い提案が可能になり、営業スキルの属人化を解消します。

また、既存のSFA（営業支援システム）との連携も想定されており、営業担当者は使い慣れた環境を変えることなく、提案書自動化の恩恵を受けることができます。

まとめ

NECによるAgentic AIを活用した営業支援ソリューションは、「AIが資料を作る」という、多くの営業担当者が待ち望んでいた未来を具現化するものです。特に、自社での大規模な実証実験（Client Zero）を経て製品化される点は、導入を検討する企業にとって大きな安心材料となるでしょう。

2026年春の一般提供開始に向け、NECのこの取り組みは、日本のBtoB営業のスタイルを根本から変える可能性を秘めています。

出典: NEC