建設DXの切り札!図面から工程表を自動生成する「Kencopa」の実力

2025年12月10日、建設テックスタートアップの株式会社KENCOPAは、同社が開発する「Kencopa工程AIエージェント」β版を、島根県の大手建設会社である松江土建株式会社に導入したと発表しました。
人手不足と高齢化が深刻な建設業界において、現場監督の最も重い業務の一つである「工程表作成」をAIが代行するというこのニュースは、業界の働き方改革を加速させる可能性を秘めています。
図面を渡すだけで、AIが工程表を作成
「Kencopa工程AIエージェント」の最大の特徴は、その名の通りAIがエージェント(代理人)として自律的に工程表を作成する点にあります。
設計図書から自動でタスクを洗い出し
従来、現場監督は設計図面を読み込み、必要な作業工程を一つひとつ手作業でリストアップし、天候や作業員の配置を考慮しながらパズルのように日程を組んでいました。
しかし、本システムでは、設計図書(PDFなど)をアップロードするだけで、AIが図面内容を解析。過去の施工データや標準的な「歩掛(ぶがかり:作業にかかる手間や時間の単位)」に基づき、必要な工程を自動で洗い出し、最適なスケジュール案を提示します。
「工期優先」か「コスト優先」か。シミュレーションで意思決定を支援
さらに画期的なのが、複数のシナリオシミュレーション機能です(特許申請中)。
「とにかく工期を短縮したい」「予算内で収めることを最優先したい」といった現場ごとの事情に合わせ、AIが異なるパターンの工程表を複数提案します。現場監督は提示された選択肢の中から最適なプランを選ぶだけでよく、複雑な調整業務から解放されます。
「熟練の勘」をデータ化し、技術継承を実現
このAIエージェント導入の意義は、単なる業務効率化に留まりません。建設業界が抱える最大の課題、「技術継承」への強力なアプローチとなります。
若手でもベテラン並みの計画立案が可能に
精度の高い工程表を作成するには、長年の現場経験に基づく「勘所」が必要不可欠でした。しかし、熟練技術者の引退が進む中、このノウハウをどう若手に伝えるかが課題でした。
Kencopaは、熟練者の知見をデータとしてAIに学習・蓄積させることで、経験の浅い若手社員でも、ベテラン並みの精度で無理のない施工計画を立案できるように支援します。これは、属人化していた「現場の知恵」を、組織全体の資産へと変える試みです。
まとめ
松江土建株式会社への導入事例は、建設業というアナログな要素が強い現場において、AIエージェントがいかに実用的な価値を提供できるかを示す試金石となります。
「図面から工程表を自動生成する」という機能は、現場監督の長時間労働を是正し、建設DXを次のフェーズへと押し上げる強力な武器となるでしょう。
出典: PR TIMES






