Microsoft新機能「Copilot Checkout」とは?AI対話内で決済完了する未来の購買体験

2026年1月8日、Microsoft Corporationは、小売業界向けに特化した新たな「Agentic AI(自律型AI)」ソリューション群を発表しました。

Eコマースから実店舗の運営まで、小売業のあらゆる機能をAIエージェントが接続・自動化するという包括的な発表の中で、特に注目を集めているのが「Copilot Checkout」です。

AIとの対話画面から一歩も出ることなく、その場で商品の購入手続きまで完了できるこの機能は、長年の課題だった「カゴ落ち」を防ぎ、オンライン購買体験(UX)を劇的に変える可能性を秘めています。

「会話して、そのまま買う」が当たり前に

これまで、生成AIチャットで「おすすめのキャンプ用品」を聞くことはできても、実際に購入するにはリンクをクリックして外部のECサイトへ移動し、ログインして決済情報を入力する必要がありました。この画面遷移の瞬間に、多くのユーザーが離脱(カゴ落ち)していたのが実情です。

対話型コマースの完成形

新機能「Copilot Checkout」は、この壁を取り払います。PayPalやStripe、Shopifyといった主要な決済プラットフォームと深く統合されており、ユーザーはMicrosoft Copilotとの対話の中で「それを買うよ」と伝えるだけで、配送先や決済情報の確認が済み、注文が完了します。

AIエージェントが単なる「推奨エンジン」から、販売・決済までを担う「販売員兼レジ」へと進化したことで、コンバージョン率は劇的に向上すると期待されています。

店長の勘をデータで補完。「Store Operations Agent」

今回の発表はオンラインだけではありません。実店舗(Brick and Mortar)の運営を支援する「Store Operations Agent」も発表されました。

天気やイベント情報も加味して提案

店舗運営は、店長や熟練スタッフの「経験と勘」に依存しがちでした。しかし、このエージェントはPOSデータや在庫状況といった内部データに加え、現地の天気予報や近隣のイベント情報といった外部シグナルも統合的に分析します。

例えば、「今日は近くでコンサートがあり、午後は雨予報です。雨具コーナーを入り口付近に拡張し、15時からレジ人員を2名増員することを推奨します」といった具体的なアクションプランを、店長やスタッフのモバイル端末にプッシュ通知で提案します。人手不足が深刻な小売現場において、店舗運営効率化と売上最大化を両立させる強力な武器となります。

EC運営も「エージェント任せ」の時代へ

本部側のEC運営業務においても、AIエージェントによる自動化が進みます。

ブランド固有の接客を行う「Brand Agents」

Shopify加盟店向けには、各ブランドの製品情報や「語り口(ブランドボイス)」を学習した専用エージェント「Brand Agents」が提供されます。サイズ感の相談やギフト提案など、従来は人間が対応していた高度な接客を、24時間365日、自律的に行います。

商品登録の手間をゼロに

また、「Catalog Enrichment Agent」は、商品画像を読み込むだけで属性情報を抽出し、SEOに最適化された説明文を自動生成します。膨大な商品登録作業を自動化することで、担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。

まとめ

Microsoftによる今回の一連の発表は、小売業界におけるAgentic AIの実装が、「実験フェーズ」から「実益を生むフェーズ」へと移行したことを示しています。

特に「Copilot Checkout」による対話型コマースの実現は、BtoCだけでなく、将来的なBtoB受発注のあり方にも波及するでしょう。「自社の商品データが、AIエージェントから正しく認識され、購入可能な状態になっているか」。これからの小売DXにおいて、企業はWebサイトの整備以上に、AIに向けたデータ構造の見直しを迫られることになります。

出典: Microsoft