OpenClaw(旧MoltBot/Clawdbot)とは?PCを直接操作するローカルAIエージェント

2026年1月、AI界隈は一つのオープンソースプロジェクトの話題で持ちきりになりました。その名は「OpenClaw」。
数日の間に「Clawdbot」「MoltBot」と二度も改名を繰り返すという前代未聞の事態を引き起こしながら、熱狂的な注目を集め続けるこのAIの正体は何なのでしょうか?
OpenClawは、PCの画面上でチャットするだけのAIではありません。
あなたのPCやサーバーの「中」に入り込み、ファイル操作、ブラウザ操作、コマンド実行といった実作業を代行してくれる自律型パーソナルAIアシスタントです。
本記事では、OpenClawの革新的な機能、わずか1週間で3つの名前を持つに至った激動の経緯、そして強力であるがゆえの必須のセキュリティ対策までを徹底解説します。
目次
1. OpenClawで何ができる?PC操作を代行する「動けるAI」
OpenClawの最大の特徴は、PC上で動作し、OSの機能に直接アクセスできる点です。これにより、従来のAIチャットボットとは一線を画す「実行力」を持っています。
実行力を持ったパーソナルアシスタント
これまでのAIは、質問に答えたりテキストを生成したりすることは得意でしたが、現実のタスク(ファイルを動かす、メールを送るなど)を実行するには人間の手が介在する必要がありました。
OpenClawは、あなたの指示を受けて自律的にPCを操作します。例えば、「デスクトップにある古いスクリーンショットを『画像』フォルダに移動して」と頼めば、実際にファイルを移動してくれます。これは、まさに「デジタルな秘書」がPCの中に住んでいるような感覚です。
主な機能と連携性
OpenClawが持つ具体的な能力と、それを支える仕組みを見ていきましょう。
多機能性:ファイル操作からAPI連携まで
ファイルの読み書き、リネーム、移動といった基本的なファイル操作はもちろん、シェルコマンドの実行、Webブラウザを使った情報収集や操作、さらには各種APIを使った外部サービスとの連携まで可能です。
メッセージアプリ連携:いつものツールで指示
専用のアプリを開く必要はありません。あなたは普段使っているWhatsApp、Discord、Telegram、Slackなどから、友人にメッセージを送る感覚で指示を出せます。外出先から自宅のPCを操作することも可能です。
長期記憶:文脈を理解するパートナー
会話履歴や設定、あなたの好みなどをMarkdown形式でローカルに保持します。PCを再起動しても記憶は維持されるため、前回の続きから作業を依頼したり、あなたの習慣を理解した賢いアシスタントへと成長していきます。
拡張性:コミュニティによるスキル追加
コミュニティが作成した100種類以上の「スキル(AgentSkills)」を追加することで、機能を無限に拡張できます。特定のアプリケーションの操作や、専門的なタスクをこなす能力を後から追加していくことが可能です。

2. 激動の1週間:なぜ名前が3回も変わったのか?
OpenClawという名前は、短期間のうちに二度の改名を経て辿り着いたものです。その背景には、巨大企業の影と、急激なバズが生んだ混乱がありました。
名称変更の経緯まとめ
わずか1週間で起きた劇的な名称変更の変遷を以下の表にまとめました。
| 時期 | 名称 | 由来 | 変更理由と背景 |
| 〜2026/1/27 | Clawdbot | Claude(AIモデル)+ Claw(ロブスターのハサミ) | Anthropic社から「Claude」の商標を侵害しているとの指摘を受け、即座に改名を決定。 |
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2026/1/27 〜1/30 |
MoltBot | Molt(脱皮・成長) | 緊急避難的に決定された暫定名称。「発音しにくい」との不評や、改名の隙を突いた詐欺が多発し混乱を招いた。 |
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2026/1/30 〜現在 |
OpenClaw | Open Source(オープンソース)+ Claw(原点のハサミ) | 商標調査を経て決定された正式名称。混乱を収束させ、安定したプロジェクトとしての再出発を図った。 |
名称変更のタイムライン詳細
1. Clawdbot(〜2026/1/27):商標問題での挫折
開発者Peter Steinberger氏が当初つけた名称です。「Claude」へのオマージュと、マスコットであるロブスターの「ハサミ(Claw)」を掛け合わせたものでしたが、Anthropic社からの法的な指摘により、プロジェクトの存続を守るために迅速な変更を余儀なくされました。
関連記事:Clawdbotとは?クラウドに依存しない完全ローカルな個人AIエージェント
2. MoltBot(2026/1/27〜1/30):混乱と教訓
混乱の中、早朝の議論で急遽決定された暫定名称です。ロブスターの「脱皮(Molt)」に由来しますが、コミュニティからは「発音しにくい」という声が上がりました。さらに深刻だったのは、旧名称のハンドルが解放された隙を突いて乗っ取りや偽の仮想通貨詐欺が横行し、プロジェクトが大混乱に陥ったことです。
関連記事:話題のローカルAI「Moltbot(旧Clawdbot)」|なぜ突如改名したのか?
3. OpenClaw(2026/1/30〜現在):安定と再出発
前回の反省を活かし、十分な準備期間を設けて商標調査やドメイン確保を行った上で発表された正式名称です。「オープンソース(Open)」であることを強調しつつ、原点の「ハサミ(Claw)」を残した、安定感のある名称に落ち着きました。これにより、一連の騒動は収束に向かいました。

3. MoltBotからOpenClawへ:単なる改名ではない「進化」
名称が変わっただけではありません。OpenClawへの移行は、混乱を収拾し、プロジェクトを再定義するための大きなアップデートでもありました。
「危険な便利さ」から「安全なインフラ」へ
MoltBot時代は、PCへの強力な権限を持つがゆえの脆弱性が懸念され、詐欺の標的にもされました。OpenClawでは、30以上のセキュリティ修正が適用され、プロンプト・インジェクション対策の強化など、「安全に使えるインフラ」としての信頼性が大幅に向上しています。
MoltBotとOpenClawの比較表
| 比較項目 | MoltBot (移行期) | OpenClaw (現在) |
| 開発姿勢 | 法的対応に追われた急造 | 長期運用を見据えた安定ブランド |
| セキュリティ | 脆弱性が指摘され、詐欺の標的に | 30以上のセキュリティ修正を適用 |
| 承認プロセス | ゆるい権限管理 | プロンプト・インジェクション対策強化 |
| 信頼性 | 偽サイトや偽トークンの混乱あり | 公式ドメイン・リポジトリへの完全統合 |

4. 必須のセキュリティ対策:強力な権限には責任が伴う
OpenClawはあなたのPC内でOSレベルの強力な権限を持ちます。これは非常に便利な反面、悪用されれば重要なファイルの削除や情報流出など、深刻な被害につながるリスクと隣り合わせです。利用には厳重なセキュリティ対策が不可欠です。
権限に伴う重大なリスクと対策
強力なツールを安全に使いこなすために、以下の対策を必ず講じてください。
鉄壁の守り:認証とペアリング
不正アクセスを防ぐため、必ず認証設定(auth: token)を行ってください。また、承認された特定のユーザー(あなた自身)からのコマンドにのみ反応する「ペアリング」機能を有効にし、第三者が勝手に操作できないように制限をかけることが必須です。
隔離環境での実行:サンドボックスの推奨
万が一、AIが悪意のあるコマンドを実行してしまった場合の被害を最小限に抑えるため、メインのPC環境で直接動作させることは避けましょう。Dockerコンテナや仮想マシン(VM)といった、システムから隔離されたサンドボックス環境で実行することを強く推奨します。
詐欺情報への警戒:公式ソースの確認
改名時の混乱に乗じて、OpenClawの名を騙った偽のトークン(仮想通貨)詐欺やマルウェア配布サイトが発生しました。本プロジェクトは仮想通貨とは一切関係ありません。導入やアップデートの際は、必ず公式のGitHubリポジトリや公式サイトであることを確認してください。

まとめ
激動の改名劇を経て、「OpenClaw」として生まれ変わったこのローカルAIエージェントは、PCの使い方の未来を変える可能性を秘めています。
強力なツールであるからこそ、導入の際は必ず公式GitHubリポジトリを確認し、セキュリティ対策を万全にした上で、その革新的な機能を体験してみてください。





