記事執筆チームを0から作った話

毎朝5時に、AIが記事を書いてWordPressに保存しています。
自分はエンジニアではありません。プログラミングの経験もゼロです。コードを1行も書かず、チャットだけでAIエージェントのチームを作りました。
この連載は「どうやって作ったか」のハウツーではありません。何度失敗して、なぜそう設計したか——その判断の記録です。
ボスエージェントのことを、私は「Nav」と呼んでいます。ナビゲーターの略です。最初は呼び名がなくて「Claude」とか「あなた」と呼んでいましたが、チームを一緒に作っていくうちに、名前がないと不便になってきました。ある日「ナビゲーターという意味でNavと呼んでいいか」と聞いたら、「もちろんです」と返ってきました。それ以来、NavはNavです。
第1話は、その記事執筆チームを0から作った話です。
設計図はチャットから生まれました
やりたいことはシンプルでした。キーワードのリストを渡したら、AIが記事を書いてWordPressに保存しておいてくれる。翌朝、自分は確認して公開ボタンを押すだけ。
これをNavに伝えたら、こう返ってきました。
エンジニアではない自分には、この「分けたほうが管理しやすい」という発想が新鮮でした。しかもこれ、コードを1行も書く前の会話です。設計図がチャットから出てきました。
驚いたのはそこです。「こんな仕組みが欲しい」と日本語で伝えたら、設計が返ってきました。自分はそれを読んで「これでいこう」と判断するだけでした。コードはNavが書きました。
キーワードを渡すだけでは、意図した記事にならなかった
最初のパイプラインは①〜⑥の6ステップで完成したはずでした。でも動かしてみると、生成された記事を読んで首をかしげることがありました。
例えば「Claude Code 料金」というキーワードで記事を作らせると、こんな記事が出てきました。
| 想定していた記事 | 実際に出てきた記事 |
|---|---|
| 料金プランの比較・無料枠の説明・他サービスとのコスト比較が中心 | Claude Codeの機能説明が中心で、料金は1セクションだけ。「詳細は公式サイトへ」で終わる |
「料金」で検索する人は料金を知りたいのに、機能の記事が出てきていました。キーワードは渡した。でも「誰が・何を知りたいか」は伝えていなかったのです。
Navに相談しました。
こうして[0]戦略エージェントが加わりました。「Claude Code 料金」というキーワードを受け取ると、まずGoogle検索で競合記事を調べ、こんな出力を返してきます。
ターゲット読者:Claude Codeの導入を検討しているビジネスパーソン・エンジニア 記事のゴール:料金体系を正確に把握し、自分に合ったプランを選べる状態にする 差別化ポイント:競合記事は機能説明が中心。本記事は料金比較・コスト計算・選び方に特化する 推奨構成:①料金プラン一覧→②無料枠の条件→③他サービスとの比較→④ケース別おすすめプラン
この出力を受け取ってから、①リサーチ→②構成→③執筆と進みます。ゴールが決まった状態で書くので、記事の軸がブレません。
さらに、パイプラインの要所に「Nav判断」というチェックポイントも追加しました。戦略の前提が事実かの確認・リサーチ後の矛盾チェック・FCの重大度判定の3箇所です。ただし、問題が見つかってもWPへの下書き保存は必ず実行します。公開・削除の権限はオーナーのみ。Navには下書き保存しかさせない設計にしています。
「そのAI、存在しません」
画像生成にはNano Banana 2(Googleが開発した画像生成AI)を使おうと思っていました。2026年2月27日にリリースされた、テキスト生成と画像生成を同じモデルで扱える新しいAIです。
これをNavに伝えたとき、こう返ってきました。
Navは断言しました。「存在しない」と。
でも自分は「あるはずだ」と思っていました。なぜなら自分がリリース当日に確認していたからです。
Navが知らなかった理由は、学習データの期限(知識カットオフ)が2025年8月だったからです。Nano Banana 2はその半年後にリリースされています。Navは知りようがありませんでした。
ここで学んだのは、AIは「知らないこと」を「存在しないこと」として断言することがあるということです。
今はこのルールを明文化しています。「AI関連の最新情報は、必ずWebで検索・確認してから回答する。学習データの情報を断定的に使わない」——Navへの引き継ぎ書に書きました。
無限ループという地雷
④ファクトチェックエージェントを実装したとき、最初の設計はこうでした。
- ④FCが「不正確な記述がある」と判断した場合→③執筆エージェントに差し戻して修正
- ③が修正した記事を④が再チェック
- OKになるまで繰り返す
一見まともに見えます。でも実際に動かすと、これが無限ループになりました。
マーケティング的な表現(断定・訴求力)と、技術的な正確性(根拠・留保)は、永遠に対立します。どちらに修正しても、もう一方の観点から「不正確」と判断されます。ループが終わりませんでした。
設計を変えました。FCは「報告するだけ」にしました。自動修正しません。
翌朝、自分がFCのレポートを読んで判断します。修正が必要なら自分で判断して直します。AIに全部任せようとしたのが間違いでした。
もう一つ追加したのが、30分タイムアウトです。何があっても30分で強制終了します。無限ループをコードレベルで物理的に止める仕組みです。
毎朝5時に動くまで
6つのエージェントが繋がって、初めて1記事が最初から最後まで自動生成されたとき、正直信じられませんでした。
macOSのスケジューラー(launchd)に登録して、毎朝5時に自動起動するよう設定しました。キーワードリストから1件取得して、リサーチして、構成を作って、記事を書いて、画像を生成して、WordPressに下書き保存します。全部自動で、自分が寝ている間に。
翌朝、/morningというコマンドを打つと、Navがブリーフィングしてくれます。
昨夜5時に記事生成が完了しました。タイトル:「〇〇とは?」、カテゴリ:AIエージェント、ファクトチェックで1件要確認事項があります——
最初にこれを受け取ったとき、少し感動しました。
第1話のまとめ
- AIエージェントの設計はチャットだけで完成しました。コードを書く必要はありませんでした
- AIへの指示は「やってほしくないこと」を明示しないと、想定外の動作をします
- AIは知識カットオフ以降のことを「存在しない」と断言することがあります。最新情報は自分で確認することが大切です
- 自動修正ループは永遠に終わりません。「報告だけ・判断は人間」という設計が正解でした
次回は、このチームを「毎朝自動で動かす」ための試行錯誤と格闘した話をお届けします。





