日立×ドコモのAIエージェント実証|システム運用を50%超短縮

システム運用の現場において、属人化した業務の効率化は長年の課題です。特に高度な判断を要する領域では、AIの活用が期待されています。

2025年10月28日、株式会社日立製作所はNTTドコモの情報システム部を対象とした、システム運用業務特化型AIエージェントの共同実証結果を発表しました。本記事では、この実証で確認された3つのユースケースと、業務効率化の可能性について解説します。

日立×ドコモのAI実証とは

実証の概要

日立製作所が発表した本プロジェクトは、システム運用の現場における「AIによる判断支援」の有効性を検証するものです。主な内容は以下の通りです。

  • 対象組織: NTTドコモ 情報システム部
  • 発表日: 2025年10月28日
  • 実証目的: システム運用業務におけるAIエージェント適用の有効性検証

本プロジェクトはあくまで「実証段階」であり、AIエージェントが実際の現場でどのように意思決定をサポートできるかを検証した成果となります。

対象選定の理由

システム運用は、発生するインシデント(システム障害やトラブル)への即応性が求められる領域です。しかし、これらの対応には深い専門知識と過去の経験が不可欠であり、ベテラン層に業務が集中する「属人化」が課題でした。AIエージェントをこのプロセスに組み込むことで、専門的な判断を自動化・平準化し、運用全体の負荷を大幅に引き下げることが期待されています。

AIエージェントの3つの活用

今回の実証では、以下の3つの具体的な運用業務においてAIエージェントの有効性が確認されました。

事例検索と対応

過去に蓄積された膨大なインシデント対応履歴から、今回の障害に最も関連性の高い事例をAIが瞬時に検索します。担当者は、AIが提示する「過去の対応策」を参照することで、トラブル解決までの時間を短縮できます。

周知判断と文作成

インシデントが発生した際、関係者への周知が必要かどうかをAIが過去の基準に基づいて判断します。周知が必要と判断された場合、AIが即座に周知文の草案を作成します。これにより、情報の共有漏れを防ぎ、文章作成の工数を削減します。

パッチ適用判断の自動化

パッチ(修正プログラム)の適用判断は、システムの安定稼働を左右する非常に重要な業務です。AIがバグ事象の影響有無を分析・判定することで、以下の時間短縮効果が確認されました。

  • バグ事象の影響有無判定: 54%の作業時間短縮を確認
  • レポート作成: 64%の作業時間短縮を確認

図解:3つのユースケースでAIエージェントの有効性を確認

運用業務を50%以上短縮

今回の実証結果は、特定の定型業務だけでなく、プロセス全体においても高い効果が期待できることを示しました。なお、これらは実証実験における有効性の確認であり、実際の商用環境での実績値とは異なる点にご留意ください。

ユースケース 短縮効果(実証値)
バグ事象の影響有無判定 54%短縮
レポート作成 64%短縮
システム運用業務全体 50%以上短縮

今後の展開と他業界への応用

拡大方針

今回の実証で得られた知見を踏まえ、今後はさらなるユースケースの拡大と、利用者範囲の拡大が進められる予定です。これにより、実運用に向けたスピードをさらに加速させる計画です。

参考となるポイント

今回の実証から読み取れる最大の示唆は、「属人化しやすい業務を細分化し、AIに部分的に任せる」という設計思想の重要性です。業務をパーツごとに分解し、AIが得意とする領域(検索、文章作成、判定)へ段階的に適応させる手法は、他業界や他のシステム運用現場でも再現可能です。当サイトで紹介している他の事例も併せて参考にしてください。

関連記事:AIエージェント活用事例12選

まとめ

日立製作所とNTTドコモによる共同実証のポイントをまとめます。

  • インシデント対応の検索・周知・判断の3業務でAIの有効性を検証した
  • パッチ適用時の判定やレポート作成において、最大64%の短縮を実現した
  • 全体として50%以上の業務短縮が見込めるという「型」を実証した
  • 属人化業務を分解しAIを組み込むアプローチは、他社にも応用可能な実戦的な手法である

AIエージェントによる業務改善は、まずは特定の狭い業務領域から始めることが成功への近道です。貴社の運用現場でも、まずは「どのパーツが自動化できるか」を洗い出すことから始めてみてください。

出典:株式会社日立製作所 プレスリリース(2025年10月28日)

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