1,100IDのAI導入を「挙手制」で成功:川田グループがLightblueで実現するDX戦略

2025年11月12日、東大発AIスタートアップの株式会社Lightblueは、川田工業や川田建設を中核とする川田グループが、Lightblueの生成AIアシスタントサービスを全社標準ツールとして採択し、1,100IDという大規模での利用を開始したことを発表しました。
この導入が特に注目されるのは、トップダウンの一斉強制ではなく、従業員の主体性を重視した「挙手制」というユニークなアプローチを採用した点です。
川田グループが選んだ、1,100ID規模の全社DX戦略
橋梁建設や建築など、社会インフラを支える川田グループが、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)と生産性向上を加速させるため、Lightblueの法人向け生成AIアシスタントを標準ツールとして採択しました。1,100IDという大規模導入は、同グループがAI活用を経営の重要課題として位置づけていることの表れです。
今回採用されたLightblueのサービスは、企業の厳格なセキュリティ要件に対応しつつ、多様なデータソースとも連携可能な、エンタープライズ利用に特化したAIアシスタントプラットフォームです。
導入成功の鍵を握る「挙手制」というアプローチ
AIツールの全社展開において、多くの企業が直面するのが「現場で使われない」という課題です。川田グループは、この課題を解決するために、トップダウンによる一斉利用の強制ではなく、「挙手制」というユニークな導入・教育アプローチを採用しました。
「使わされる」のではなく「使いたい」を引き出す
この「挙手制」とは、AIの利用を希望する従業員が、まず適切な教育プログラムを受講した上で、利用を開始するというものです。このステップを踏むことで、従業員はAIの能力とリスクを正しく理解し、「やらされ感」ではなく、自らの業務を改善したいという主体的な動機を持ってAI活用をスタートできます。
このアプローチは、従業員のITリテラシー向上と、ボトムアップでの活用アイデア創出を重視する川田グループの戦略と合致しています。実際、導入から約3ヶ月で、利用者は既に800名を超えており、従業員の高い関心と主体的な活用が浸透し始めていることが伺えます。
次なる一手:「Box連携」による社内ナレッジの解放
川田グループのAI戦略は、今回の大規模導入で終わりではありません。さらに強力なDXを推進するため、次なる一手を見据えています。
社内の「知の宝庫」をAIで掘り起こす
今後の計画として、グループ内で利用されているクラウドストレージ「Box」との連携強化が挙げられています。これは、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる技術を活用し、AIアシスタントがBox内に蓄積された膨大な社内ナレッジを学習することを意味します。
川田グループには、長年の事業で培われた専門的な技術資料、設計図、過去のプロジェクト報告書、各種規程マニュアルといった、膨大な知的資産が眠っています。これらの情報をAIが横断的に検索・理解し、従業員からの質問に的確に回答できるようになることで、属人化しがちなノウハウの共有や、過去の知見の再利用が劇的に進むことが期待されます。
まとめ
川田グループのこの導入事例は、AIツールを全社展開する際の、非常に実践的な成功モデルを示しています。1,100IDという「規模」と、「挙手制」という「導入・教育手法」、そして「Box連携によるRAG」という「将来展望」。この3点が揃うことで、AIは単なるツールを超え、企業のDXを推進する強力なエンジンとなります。
AI導入の成否は、技術そのものだけでなく、いかにして従業員の主体性を引き出し、組織文化として定着させるかにかかっている。この導入事例は、AIの全社導入を検討するすべてのBtoB企業にとって、重要なヒントを与えてくれるでしょう。
出典: PR TIMES





