Metaが3700億円で買収したAIエージェント「Manus」の正体。B2Bへの影響を完全解説

2025年12月29日、Meta Platformsは、AIエージェントスタートアップ「Manus」の買収を発表しました。

買収額は約25億ドル(約3,700億円)と報じられるこの巨額ディールは、Metaが「生成AI」の次のフェーズである「自律型AI」市場の覇権を握るために、決定的な一手を打ったことを意味します。

なぜ、設立間もないスタートアップにこれほどの価値がついたのか、そして私たちのビジネスにどのような影響を与えるのかを解説します。

3,700億円の価値を持つ「Manus」とは何者か?

Manusは、単に文章や画像を生成するだけのAIではありません。ウェブ検索、資料作成、データ分析といった複雑なPCタスクを、人間のように自律的に完遂する「汎用AIエージェント」を開発した企業です。

生成するだけでなく「行動する」AI

これまでのAIは「旅行プランを考えて」と頼めばプランを作ってくれましたが、予約まではしてくれませんでした。ManusのAgentic AI(実行型AI)は、ブラウザを操作し、フライトを検索し、実際に予約画面まで進むことができます。

異例のスピード成長が証明した実用性

特筆すべきは、その実績です。サービス開始からわずか数ヶ月で年間経常収益(ARR)が1億ドル(約150億円)を突破しました。

「AIエージェントはまだ実務には早い」という懐疑論を覆し、すでに多くの企業がManusにお金を払い、実務を任せているという事実。この圧倒的な「実証データ(Product-Market Fit)」こそが、Metaが巨額買収を決断した最大の理由です。すでに147兆トークンを処理し、8000万以上の仮想環境で稼働してきた信頼性が、その実力を裏付けています。

Metaの狙い:Llamaという「脳」にManusという「手足」を

Metaはこれまで、高性能な大規模言語モデル「Llama」をオープンソースで公開し、AIの「知能」部分で存在感を示してきました。今回の買収で、彼らはその知能に従って現実世界でタスクをこなす強力な「手足」を手に入れたことになります。

エコシステムの完結と覇権争い

これにより、AIエージェント市場の構図は大きく変わります。

  • Microsoft/OpenAI: Copilotなどで先行するが、Metaの猛追を受ける。

  • Google: AndroidやChromeを持つが、アプリ層での競争が激化。

  • Meta: Llama(脳)+ Manus(手足)+ Facebook/WhatsApp等の30億ユーザー(接点)を持つ最強のプレイヤーへ。

Metaは、SNSという「コミュニケーションの場」に高度なエージェントを常駐させることで、広告主(B2B)とユーザー(B2C)の間のやり取りをAIに代行させる狙いがあると考えられます。

地政学的リスクを越えた「戦略的買収」

Manusの事例は、技術面以外でも重要な示唆を含んでいます。

Manusはもともと中国出身の創業者による企業でしたが、買収に先立ち拠点をシンガポールへ完全移行し、中国国内でのサービスを停止しました。

これは、高度なAIエージェント技術がもはや「戦略物資」として扱われていることを示しています。日本企業がAIツールを選定する際も、機能だけでなく「開発元の資本関係」や「データの保管場所(データ主権)」が、極めて重要なリスク管理項目になるというトレンドを象徴しています。

私たちのビジネスはどう変わる?

MetaによるManusの技術統合が進めば、FacebookやInstagram、WhatsAppのビジネス活用が一変するでしょう。

SNSマーケティングと業務自動化の未来

例えば、企業のSNSアカウント運用において、AIエージェントが「投稿作成」だけでなく、「コメントへの個別返信」「DMでの問い合わせ対応」「リード獲得後のCRM登録」までを自律的に行うことが標準機能になる可能性があります。

マーケティング担当者は、コンテンツの企画や戦略立案といったクリエイティブな業務により集中できるようになる一方で、AIエージェントを指揮・監督する「マネジメント能力」が新たに求められるようになるでしょう。

まとめ

MetaのManus買収は、2026年が「AIエージェント覇権争い」の年になることを決定づけました。

世界的なプラットフォーマーが本気で「行動するAI」の実装に乗り出した今、企業における業務自動化のレベルは、これまでの想定を遥かに超えるスピードで進化していくことになります。

出典: Manus