AIエージェントは「執事」ではない。Perplexity×ハーバード大の研究で判明した利用実態

2025年12月15日、検索AI企業のPerplexityとハーバード大学の研究チームは、AIエージェントの利用実態に関する大規模な共同研究の結果を公開しました。

数億件に及ぶインタラクションデータを分析したこの研究は、私たちがAIエージェントに対して抱いていたイメージを覆すものでした。
AIはもはや、雑用をこなすだけの「便利な執事」ではありません。人間の知的能力を拡張し、共に課題を解決する「思考パートナー」へと進化している実態が浮き彫りになりました。

利用の過半数は「認知タスク」。AIは思考の壁打ち相手へ

これまでのAI活用といえば、メールのドラフト作成や日程調整といった、定型的で単純な作業の代行が中心だと思われがちでした。しかし、今回の調査データは異なる現実を示しています。

単純作業ではなく、知的生産に活用

分析の結果、AIエージェントの利用目的の57%が、「認知タスク」に分類される活動であることが判明しました。

これには、プログラミングコードの生成やデバッグ、複雑なトピックに関するリサーチ、データ分析に基づく戦略立案などが含まれます。ユーザーは、AIに答えを教えてもらうだけでなく、AIと対話しながらアイデアを深めたり、論理の穴を見つけたりといった、高度な知的生産活動に時間を割いています。

「楽をする」より「能力を拡張する」

この結果は、AIエージェントの価値が「手足となって動く(省力化)」ことから、「頭脳となって考える(能力拡張)」ことへシフトしていることを示唆しています。ビジネスパーソンは、自身の専門性を高めるための相棒としてAIを選んでいるのです。

難しいタスクほど「沼る」?定着率の意外な相関

研究チームは、ユーザーの継続利用率(リテンション)についても興味深い発見をしています。

複雑な課題解決こそが定着の鍵

「AIに簡単な質問をするだけ」のユーザーよりも、「複雑で難易度の高いタスク」をAIと共に解決した経験を持つユーザーの方が、その後の継続利用率が有意に高いことが明らかになりました。

一度でも「自分ひとりでは解決できなかった課題を、AIとの対話で突破できた」という成功体験(アハ体験)を得ると、ユーザーにとってAIエージェントは手放せないツールになります。逆に言えば、単純な検索や雑談レベルの利用では、AIエージェントの真価を感じられず、利用が定着しにくい可能性があります。

専門職での利用が加速

特に、金融、マーケティング、経営層といった、日常的に複雑な意思決定を迫られる職種において、この傾向は顕著でした。正解のない問いに対して、多角的な視点を提供してくれる思考パートナーとしての役割が、プロフェッショナル層に深く刺さっていることがわかります。

日本企業への示唆:導入メッセージの転換が必要

この研究結果は、日本企業が社内にAIエージェントを導入する際のアプローチにも再考を迫ります。

これまでは「業務効率化」や「時短」ばかりが強調されがちでした。しかし、今後は「思考の深化」や「意思決定の質の向上」といった、より本質的な価値を訴求することが、定着のカギとなるでしょう。「楽をするためのツール」ではなく、「プロフェッショナルとして成長するためのパートナー」として位置づけることが重要です。

まとめ

Perplexityとハーバード大学による今回の発表は、AIエージェントの社会的な位置づけが、実験的なフェーズから実用的なパートナーシップのフェーズへと移行したことを裏付けています。

「認知タスク」の割合が過半数を超えたという事実は、人類がAIという新しい知性を、自らの思考の一部として自然に受け入れ始めた証左と言えるかもしれません。

出典: PR TIMES