SalesforceがCopilotを卒業。「Agentforce 360」で実現する自律型AIエージェントの世界とは

2025年11月20日、株式会社セールスフォース・ジャパンは「Agentforce World Tour 2025」を開催し、自律型AIエージェント基盤「Agentforce 360」の日本市場における本格提供を発表しました。
これは、これまでの支援型AI(Copilot)の枠を超え、AIが自ら考え行動する「自律型」へと進化することを意味します。人間とAIが協働する新たな組織モデル、エージェンティック・エンタープライズの幕開けです。
指示待ちからの脱却:Atlas推論エンジンがもたらす自律性
これまでSalesforceが提供してきたCopilotなどの支援型AIは、人間が逐一プロンプトで指示を出す必要がありました。しかし、今回発表されたAgentforce 360は、AIが自律的に行動を開始する点で大きく異なります。
抽象的な指示からタスクを自動実行
Agentforceは、「来週の商談準備をしておいて」といった抽象的な指示や、顧客からの問い合わせ受信といった特定のイベントをトリガーに、自律的に動き出します。情報の検索、分析、メール作成、CRM更新といった一連の業務プロセスを、人間の詳細な指示なしに完遂できるのが特徴です。
思考プロセスを模倣するAtlas推論エンジン
これを可能にしているのが、新開発の「Atlas推論エンジン」です。このエンジンは人間の思考プロセスを模倣し、大きな目標を具体的なタスクに分解、実行順序を計画し、さらに実行結果を評価・修正する能力を持っています。これにより、定型業務だけでなく、状況判断が必要な非定型業務まで自動化の範囲が広がります。
「Data 360」でAIに正確な知識を:ハルシネーションの克服
AIエージェントの実用化において最大の懸念となるのが、AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」です。Salesforceは、AIモデルの能力だけに頼るのではなく、参照するデータの品質と統合を徹底することでこの問題を解決しようとしています。
ゼロコピーによるデータ統合の実現
新たに強化された「Data 360」は、Salesforce内の顧客データだけでなく、Webサイトの行動ログ、基幹システムの販売データ、さらにはSnowflakeやDatabricksなどの外部データレイクの情報を「ゼロコピー」で仮想的に統合します。データを物理的に移動させることなく、あらゆる情報をリアルタイムに連携させることが可能です。
「信頼できる唯一のデータソース」に基づく判断
自律型エージェントはこの統合された「信頼できる唯一のデータソース」を常に参照(グラウンディング)して判断を行います。そのため、「在庫がない商品を提案してしまう」「解約済みの顧客に営業メールを送ってしまう」といったミスを回避し、ビジネスの現場で信頼できるアクションを実行できるのです。
「AgentExchange」で専門家エージェントを雇う感覚
自社でエージェントを一から開発する必要はありません。Salesforceは、パートナー企業が開発した特化型エージェントを流通させるエコシステム「AgentExchange」を展開します。
BtoB領域のApp Storeを目指すエコシステム
今回の発表では、監査業務、人事評価、契約書レビューなど、各領域に特化したエージェントが18社以上のパートナーから提供されることが明らかになりました。これは、iPhoneにおけるApp Storeのような仕組みをBtoBのAI領域で実現する試みです。
専門スキル不足を補う新たなリソース調達
ユーザー企業は、不足している専門スキルやリソースを、「専門家エージェントを雇う」感覚で即座に調達・拡張できるようになります。慢性的な人手不足や専門スキル不足に悩む日本企業にとって、外部のAIリソースを柔軟に取り入れられるこの仕組みは、強力な支援となるでしょう。
まとめ
Salesforce AIが掲げるビジョンは、CRMを単なる顧客データベースから、「デジタル社員」が活躍する職場へと変貌させるものです。Atlas推論エンジンによる自律的な行動と、Data 360による正確なデータ基盤の結合は、企業の生産性を底上げする新たな標準となるでしょう。
「指示待ち」ではないAIとの協働は、業務プロセスの再設計を迫るものでもありますが、それを乗り越えた先には、人間がより創造的な業務に集中できる未来が待っています。
出典: PR TIMES






