監査業務の工数87%削減!仰星監査法人がSapeetと実現した「監査AIエージェント」導入事例

2025年11月13日、AIソリューション開発を手掛ける株式会社Sapeetと仰星監査法人は、監査業務の特定プロセスを自動化する「監査業務支援AIエージェント」の共同開発と導入に成功したことを発表しました。
この取り組みにより、従来は多大な時間を要していた調査業務の時間を87%削減するという驚異的な成果を達成。AIエージェントが、高度な専門性と機密性が求められる分野で、具体的なROIを示した重要な導入事例となります。
監査法人が挑んだ「調査業務の属人化」という課題
監査業務は、企業の財務情報の信頼性を保証する、極めて専門性の高い仕事です。その中でも、監査計画を策定する段階で行う「企業・環境分析」や「固有リスク要因の抽出」といった調査業務は、監査品質を左右する重要なプロセスです。
しかし、仰星監査法人によれば、この調査業務は担当者のスキルや経験に依存しがち(属人化)であり、かつ有価証券報告書や業界ニュースといった膨大な外部情報を読み解くために、多くの時間を費やしていたという課題がありました。この「属人化」と「高負荷」という二重の課題を解決するため、SapeetとのAIエージェント共同開発プロジェクトがスタートしました。
監査人の“暗黙知”を実装した「Expert リサーチAIエージェント」
両社が共同開発した「Expert リサーチAIエージェント」は、監査という特定の業務プロセスに特化した、専門家のアシスタントとして機能します。
AIが担う具体的な調査プロセス
このAIエージェントの役割は、人間の監査人が調査業務を行う際の思考プロセスを模倣し、自動化することです。
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情報収集: 対象企業の有価証券報告書や関連ニュースといった、多岐にわたる外部情報をAIが自動で収集します。
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分析・リスク抽出: 収集した情報を基に、Sapeetの技術を用いて「暗黙知の形式知化」を実現。ベテランの監査人がどのような視点で情報を読み解き、リスク要因を抽出するかというノウハウを実装したAIが、企業の環境分析や固有リスク要因を自動で抽出・分析します。
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資料生成: 分析結果を、監査人が次のステップで使用できる形の資料として自動で生成します。
セキュアな環境での運用
このシステムは、機密情報を扱う監査業務の特性を踏まえ、AWS(Amazon Web Services)を活用したセキュアなAI環境上で構築されています。これにより、情報の安全性を確保しながら、AIによる業務効率化のメリットを享受することが可能となっています。
成果は「87%の工数削減」:人間とAIの新たな協業モデル
今回の実証プロジェクトが示した成果は、単なる「効率化」という言葉に留まりません。
専門家を「判断」業務に集中させる
調査業務にかかる時間を87%削減できたという具体的な成果は、AIエージェント導入のROIとして極めて明確です。しかし、その本質的な価値は、創出された時間を人間の専門家がどう使うかにあります。
AIが情報収集と一次分析という「作業」を代行することで、人間である監査人は、AIが抽出したリスク要因を基に、「最終的にどのリスクを重視すべきか」「監査計画にどう反映させるか」といった、より高度な専門的「判断」に集中できるようになりました。これは、AIが人間の仕事を奪うのではなく、人間の能力を最大限に引き出す、理想的な「人間とAIの協業」モデルが実現したことを意味します。
まとめ
Sapeetと仰星監査法人によるこの導入事例は、AIエージェントが、監査業務という高度な専門職領域において、具体的な業務効率化と品質向上の両方を実現できることを証明しました。「87%の工数削減」という明確なROIは、これまでAI導入に踏み切れなかった他の専門職(法務、財務、R&Dなど)の領域にとっても、強力な成功モデルとなるでしょう。
専門家の「暗黙知」をAIに学習させ、煩雑な作業を「デジタルな見習い」として任せる。そして人間は、より創造的で高度な「判断」に集中する。Sapeetと仰星監査法人の取り組みは、AIエージェントが切り拓く、未来の働き方の一つの答えを示しています。
出典: PR TIMES






