NVIDIA、PCで動く74Bモデル「Nemotron 3.5 Bolt」公開|Qwen3.6超え

画像の出典:NVIDIA

業務効率化のためにAIエージェントの導入を検討する際、自社のインフラ環境やセキュリティ要件に適したモデルの選定は大きな課題です。NVIDIAは2026年10月15日、AIエージェント開発に向けたオープンモデル「Nemotron 3.5」シリーズの新たなラインナップを発表しました。

本記事では、今回発表された3つのモデルの性能と、企業が活用する際の技術的な特徴を解説します。

企業サーバー向けマルチモーダルモデル「Super VL」

今回発表された「Nemotron 3.5 Super VL」は、文章だけでなく画像や動画の認識にも対応したマルチモーダルモデルです。総パラメータ数は120B(1200億)ですが、推論時の稼働パラメータを12Bに抑えることで効率化を図っています。

企業インフラへの最適化

本モデルは最大100万トークンのコンテキストウィンドウ(一度に処理可能な情報量)を備えており、長大なドキュメントや複雑な動画データの解析に適しています。動作環境は、DGX Spark 1台、H200 1基、H100 2基、GB200 1基のいずれかで動かせるとされており、NVIDIA NIM(推論最適化プラットフォーム)としても提供されます。公式発表によれば、従来の同社最大規模の推論モデルと同等の精度を、約5分の1のパラメータ数で実現しています。

商用利用可能なオープンライセンス

ライセンスには「OpenMDW-1.1」を採用しており、商用・非商用を問わず利用可能です。Hugging FaceやOpenRouter、ModelScopeなどの主要プラットフォームから入手でき、企業が自社サーバー内でセキュアにAIエージェントを構築する際の選択肢となります。

PC環境で動作する「Bolt 74B」と小型モデル

開発現場やエッジ環境での利用を想定し、より軽量な「Bolt」シリーズも拡充されました。「Nemotron 3.5 Bolt 74B-A9B 24GB」は、総パラメータ数74B(740億)のモデルを2ビット量子化(データ圧縮技術)することで、24GBのメモリに収まるように設計されています。公式ブログによれば、GeForce RTX搭載PCやDGX Spark、RTX PROワークステーションなどで動きます。

開発者向けエコシステムへの対応

Bolt 74Bは、llama.cppやOllama、LM Studio、Unsloth、vLLMといった主要なローカルLLM(大規模言語モデル)実行環境に対応しています。これにより、クラウド環境に依存せず、手元のPC上で他のアプリケーションと並行してAIエージェントを稼働させることが可能です。

同じくらいの大きさの他社モデルとの比較

Hugging Faceに掲載された比較表では、AlibabaのQwen3.6-35B-A3B、GoogleのGemma4 26B-A4Bと点数を並べています。端末操作の課題を解くTerminal-Bench 2.1はBoltが50.98で、Qwen3.6の44.38、Gemma4の37.22を上回りました。

Webを調べて答えを探すBrowseCompでは、Boltが66.75、Qwen3.6が48.74、Gemma4が26.30です。一方、エージェントの作業をまとめて測るPinchBenchではQwen3.6が88.07で、Boltの87.82をわずかに上回っています。重みは無料で公開されており、利用料金の発表はありません。

今後の展開

なお、会話機能に特化した超小型モデル「Bolt E4B 4GB」についても発表されており、こちらは10月23日の公開が予定されています。Boltシリーズは英語とプログラミングコードを主軸としつつ、日本語を含む多言語対応も図られています。

まとめ

  • Nemotron 3.5 Super VL:120Bモデル(稼働12B)、画像・動画対応、最大100万トークン、企業サーバー向け。
  • Bolt 74B-A9B 24GB:74Bモデル(稼働9B)、2ビット量子化により24GBメモリのPCで動作可能。
  • Bolt E4B 4GB:会話特化型の小型モデル(10月23日公開予定)。
  • ライセンス:Super VLとBolt 74BはOpenMDW-1.1で、商用利用が可能。
  • 導入検討:自社の計算リソースや用途(サーバー処理かローカル処理か)に応じてモデルを選択してください。

💡 編集部の見解

NVIDIAがAIエージェント向けの無料モデルを2つ公開しました。24GBのメモリに収まりPCで動く74Bのモデルと、画像や動画も読める企業サーバー向けの120Bのモデルです。

  • 既報との比較:当メディアは8月13日に同シリーズの軽量版「Lightning(30B-A3B)」を報じましたが、今回のBolt 74Bは、比較表で両方の点数がある12項目のうち11項目でLightningを上回りました(Terminal-Bench 2.1は50.98対23.46)。
  • 他社モデルとの差:同じくらいの大きさのQwen3.6とGemma4と比べると、Terminal-Bench 2.1とBrowseCompではBoltが上回りましたが、PinchBenchではQwen3.6がわずかに上でした。対応言語は英語とコードが中心で、日本語も対応に含まれています。

出典:NVIDIA/Hugging Face/Hugging Face

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