生成AIやAIエージェントの業務利用が広がる一方で、プロンプトインジェクション(AIへの指示の乗っ取り)、機密情報の漏えい、会社が把握していないAI利用(シャドーAI)など、従来の対策では捉えきれないセキュリティリスクが経営課題になっています。
本ページは、こうしたリスクに対処するために国内で導入・発注できるAIセキュリティ関連サービス45製品 を、編集部がすべて一次情報で確認したうえで6つの区分 に整理した一覧です(2026年8月時点)。自社の状況に近い区分から、検討候補を探せます。
掲載基準 :各社の公式ページなど一次情報で内容を確認できたサービスを掲載しています(順不同)。診断の対象範囲(AIエージェントまでか、生成AIアプリまでか)や表の各項目は、各社の公式記載にもとづいて分類・記載しています。
はじめに:AIセキュリティ対策とは?なぜ今必要なのか
AIセキュリティ対策とは、生成AI・AIエージェントを業務で使う(または自社サービスに組み込む)ことで新しく生まれるリスクに備えるための対策です。ウイルス対策や不正アクセス対策といった従来のセキュリティとは守る対象が異なるため、専用のサービス市場が急速に立ち上がっています。
従来の対策では捉えにくい、AI特有の3つのリスク
① プロンプトインジェクション(AIへの指示の乗っ取り)
攻撃用の文章を読み込ませてAIの動きを乗っ取る攻撃。ウイルスではなく「言葉」による攻撃のため、従来型の防御をすり抜けます。
② 機密情報の漏えい
AIが社内データやツールと接続(MCP連携など)するほど、誤って外部に情報を出してしまう経路が増えます。
③ シャドーAI(会社が把握していないAI利用)
社員が会社の許可なく外部のAIサービスに業務情報を入力してしまう問題。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」に初めて登場し、国内でも代表的な脅威として認知されました。
「使う側」と「作る側」で必要な対策が違う
社員がAIを使う会社なら、まず利用の見える化と統制(シャドーAI対策)。AIを組み込んだサービスを作る・提供する会社なら、公開前の診断と稼働中の保護。多くの会社は両方に当てはまります。本ページの区分は、この「どちらの立場で・どの段階の対策か」で整理しています。
MCP接続まわりのリスクは、MCPセキュリティ特集(脆弱性チェッカー付き) でも詳しく解説しています。
AIセキュリティ対策の選び方|検討の順番
対策サービスは大きく6つの区分に分かれます。全部を一度に入れる必要はなく、AI活用の段階に沿って順に検討するのが現実的です。
段階
やること
対応する区分
1. 検査する 公開・本番投入の前に、AIアプリやエージェントの弱点を専門家やツールで洗い出す AIエージェント診断/生成AIアプリ診断
2. 動作中を守る 本番で動いているAIへの入出力・MCP接続を常時監視し、危険な指示をブロックする ランタイム保護・接続監査
3. 利用を統制 社員のAI利用を見える化し、機密情報の入力や未許可サービスを必要に応じて止める シャドーAI可視化・制御
4. 体制を回す ルールづくり・評価・継続監視の仕組みを整え、対策を一度きりにしない AIガバナンス・継続監視
5. AIが守る 逆に、AIをセキュリティ運用(監視・検知・対応)の担い手として活用する セキュリティ運用AI
迷ったら、「社員がAIを使う」会社は3(シャドーAI対策)から、「AIを組み込んだサービスを提供する」会社は1(診断)から 検討を始めるのが定石です。各区分の「比べるときに見るポイント」は、下の一覧の各タブ冒頭にまとめています。
AIセキュリティ カオスマップ
マップはAI活用の流れに沿って、左から順に並べています。
📣 貴社のAIセキュリティサービスを掲載しませんか?(無料)
AI診断・シャドーAI対策などAIセキュリティ関連サービスを提供する企業様向けに、本マップ・一覧への掲載を受け付けています。
掲載を相談する →
▶ クリックで全45製品を検索・絞り込みできる「AIセキュリティ カオスマップ」を開く ノードは提供会社名(複数区分に掲載の会社のみ製品名を併記)。
区分別の掲載一覧
AIエージェント診断 10 生成AIアプリ診断 6 ランタイム保護・接続監査 5 シャドーAI可視化・制御 15 AIガバナンス・継続監視 3 セキュリティ運用AI 6
AIエージェント診断(10製品) 診断対象=AIエージェント。権限逸脱・ツール連携悪用・MCP接続まで検査すると公式明記
比べるときに見るポイント :診断範囲(LLM単体か、RAG・エージェント・MCPまで見るか)/診断方式(ツール・専門家・併用)/準拠基準(OWASP LLM Top 10等)/IPA適合サービスリスト掲載の有無/報告書・再診断の条件/料金開示の有無
自動診断・AIハイブリッド型 製品・サービス 提供会社 ひとこと 導入形態 診断範囲 準拠・登録 料金 再診断・報告会 生成AI・LLM脆弱性診断(Red Agent) CoWorker国産 診断AI×専門家のワンストップ診断 発注型サービス LLM・エージェント・MCP・システム全体 OWASP LLM Top 10 公開(30万円〜・MCP診断5万円/ツール) ― AEGIS/LLM診断 Konoe Intelligence国産 モデル内部の解析による安全性評価 発注型サービス LLM単体・RAG OWASP LLM・AISI 個別見積もり ―
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
専門家レッドチーミング型 製品・サービス 提供会社 ひとこと 導入形態 診断範囲 準拠・登録 料金 再診断・報告会 LLMアプリケーション診断/MCPサーバー診断 GMO Flatt Security国産 専門家によるLLMアプリ・MCPの手動診断 発注型サービス LLM・RAG・ツール連携・MCP OWASP LLM参考/IPA登録 公開(100万円〜) ― AIエージェントペネトレーションテスト GMOサイバーセキュリティ byイエラエ国産 ホワイトハッカーによる実攻撃検証 発注型サービス エージェント・RAG・業務フロー全体 AISI/IPA登録(全6分野) 個別見積もり 報告会可 AI Safetyソリューション/MCPサーバー診断 ChillStack国産 AIセキュリティ専業の専門診断 発注型サービス MCP主対象・LLM・RAG・システム全体 IPA登録(脆弱性診断) 個別見積もり 報告会・再診断あり AIアプリケーション脆弱性診断サービス サイバーセキュリティクラウド国産 自動診断×レッドチーミングの併用 発注型サービス LLM・RAG・MCP・エージェント OWASP LLM/IPA登録 個別見積もり 報告会あり エンドツーエンドAIレッドチーミング EYストラテジー・アンド・コンサルティング国産 利用の流れ全体を攻撃者視点で検証 発注型サービス システム全体・RAG・エージェント IPA登録 ― 対策後の再評価可 AI Red Team/Blue Team/Yellow Team NRIセキュアテクノロジーズ国産 設計〜運用を分担する体系的診断 発注型サービス システム全体・エージェント・MCP(深層型) OWASP・AISI/IPA登録(全6分野) 個別見積もり 再診断1回無償 LLM診断 セキュアエッジ国産 ホワイトハッカーによるLLMアプリ診断 発注型サービス LLM・RAG・エージェント連携 IPA登録(監視・運用) 個別見積もり 再診断無償(3か月)・報告会オプション セキュリティアセスメント for AI Agent クラウドエース国産 AI脅威とクラウド設定を両面評価 発注型サービス エージェント・RAG・クラウド基盤 OWASP LLM Top 10 個別見積もり 報告会・再診断あり
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
生成AIアプリ診断(6製品) 診断対象=生成AIを組み込んだアプリまで(エージェントの自律動作は対象外)
比べるときに見るポイント :診断範囲(LLM単体か、システム全体まで見るか)/診断方式(ツール・専門家・併用)/準拠基準(OWASP LLM Top 10等)/IPA適合サービスリスト掲載の有無/報告書・再診断の条件/料金開示の有無
製品・サービス 提供会社 ひとこと 導入形態 診断範囲 準拠・登録 料金 再診断・報告会 AIレッドチーム PwCコンサルティング国産 疑似攻撃で脆弱性とリスクを特定 発注型サービス AIサービス全般 MITRE ATLAS・NIST等/IPA登録 ― ― 生成AI活用システム リスク診断 ラック国産 対話型AI組込システムの診断 発注型サービス 生成AI利用Webシステム IPA登録 個別見積もり 報告会・再診断(1か月) 生成AI活用システム診断 SHIFT SECURITY国産 OWASP準拠の生成AIシステム診断 発注型サービス 生成AI活用システム OWASP LLM/IPA登録 個別見積もり ― 生成AI利用システムセキュリティ診断 三菱総研DCS国産 敵対的プロンプトによる擬似攻撃診断 発注型サービス 生成AI利用システム ― 個別見積もり ― LLMアプリケーション診断 ステラセキュリティ国産 自動+手動でLLMアプリを検査 発注型サービス LLMアプリ ― ― 再診断無償(3か月)・報告会(有償) AIプロンプト診断 GSX国産 API組込型の生成AIアプリを診断 発注型サービス 生成AI組込Webアプリ(SaaS利用は対象外) OWASP LLM/IPA登録 個別見積もり 報告会・再診断あり
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
ランタイム保護・接続監査(5製品) 本番で動いているAIへの入出力・MCP接続を常時監視しブロックする常駐型製品
比べるときに見るポイント :対応環境(対応クラウド・対応モデル)/保護の範囲(入力・出力・接続)/既存のセキュリティ基盤との統合可否
製品・サービス 提供会社 ひとこと 導入形態 保護対象 デモ・体験 Prisma AIRS パロアルトネットワークス海外 AIアプリ・エージェントの実行時保護 常駐製品 アプリ・モデル・エージェント・MCP デモ AI Defense Cisco海外 AIアプリ・モデルの実行時保護 常駐製品 アプリ・モデル・エージェント デモ AI Gateway SherLOCK国産 生成AIの統制プラットフォーム 常駐製品 アプリ・エージェント(マルチモデル) デモ・トライアル受付 AI MONBAN サイバーセキュリティクラウド国産 MCPデータフローの可視化・制御 常駐製品 アプリ・モデル・エージェント・MCP デモ・先行トライアル FortiAI(Protect/Assist/Secure) Fortinet海外 脅威検知・SOC自動化・LLM保護の3機能 常駐製品 アプリ・モデル(LLM) 無料デモ
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
シャドーAI可視化・制御(15製品) 社員のAI利用を見える化し、必要なら止める
比べるときに見るポイント :対応環境(ブラウザ拡張・ネットワーク・エンドポイント)/可視化のみか、ブロック・制御までできるか/無料トライアルの有無/ISMS等の認証/入力データを学習に使わないか
SASE・CASB型(ネットワーク経由) 追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
DLP・フィルタリング型 製品・サービス 提供会社 ひとこと 導入形態 できること 対応環境 無料体験 認証 GENFLUX Security Elith国産 送信前プロンプトの検査・マスキング SaaS 可視化+警告・ブロック・マスキング ブラウザ拡張(Chrome) ― ― i-FILTER/Z-FILTER デジタルアーツ国産 特許技術の国産フィルタリング 常駐製品 可視化+警告・入力ブロック・ツール別制御 ネットワーク(プロキシ型) 無料試用版 ISO27001・27017 DLP Transform Proofpoint海外 チャネル横断のDLPでAI利用を制御 SaaS 検知・ブロック・アラート チャネル横断+ブラウザ拡張 デモ ISO27001 AI Data Security Forcepoint海外 未承認AIをWebと端末で制御 SaaS 可視化+許可/制限/ブロック エンドポイント+ブラウザ拡張 デモ・無料診断 ISO27001ほか
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
IT資産管理・SaaS管理拡張型 製品・サービス 提供会社 ひとこと 導入形態 できること 対応環境 無料体験 認証 Josys AIエージェント検知・管理 ジョーシス国産 SaaS管理台帳からシャドーAIを検知 SaaS 可視化・棚卸し(制御の記載なし) SaaS・ID連携 デモ SOC2・ISO27001 Admina マネーフォワード国産 多数のAIサービスを検知するシャドーAI管理 SaaS 可視化+アラート(ブロックの記載なし) ブラウザ+SaaS連携(常駐不要) 14日間無料 SOC2報告書 LANSCOPE エンドポイントマネージャー エムオーテックス国産 操作ログでAI利用実態を可視化 常駐製品 操作ログ+アラート(ブロックの記載なし) Windows PC(Chrome/Edge等) 60日間無料 ISO27001・27017
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
AIガバナンス・継続監視(3製品) 体制づくりと運用フェーズの継続監視(AI TRiSM)
比べるときに見るポイント :支援範囲(ガイドライン策定・研修・継続監視)/自社ツールの提供か、他社ツールの取り扱いか
追加列は各社公式ページの記載に基づきます(記載が確認できない項目は「―」)。
セキュリティ運用AI(6製品) 逆方向=AI(エージェント型を含む)がセキュリティ運用を支援する(AI for Security)
比べるときに見るポイント :対象業務(監視・検知・対応のどこを任せるか)/提供体制と実績
もっと詳しく比較したい方へ
診断サービスとシャドーAI対策は、それぞれ比較検証記事で各社の進め方・料金の考え方・向き不向きまで解説しています。
よくある質問 掲載の基準を教えてください + 公式サイトで提供の実在が確認でき、日本で導入できる一次証拠(日本語公式ページ・日本法人・国内での取り扱い発表のいずれか)を編集部が確認できたサービスを掲載しています。発表のみで提供開始前のものは掲載していません。
掲載順位やおすすめはありますか? + ありません。掲載は「実在と提供を一次情報で確認できた」ことを意味し、推奨や品質の保証ではありません。並び順も優劣を示すものではありません。
区分はどのように決めていますか? + 各社の公式ページの記載に基づいて分類しています。たとえば「AIエージェント診断」と「生成AIアプリ診断」の違いは、エージェント固有のリスク(権限逸脱・ツール連携の悪用・MCP接続など)の診断を公式に明記しているかどうかです。同じ会社でも性格の異なる製品は別の区分に掲載します。各社のページ更新にあわせて随時見直します。
表の「―」はどういう意味ですか? + 公式ページ上に記載が確認できなかった項目です。記載がないことは、その機能や条件が存在しないことを意味しません。詳細は各社へお問い合わせください。
「IPA登録」とは何ですか? + 経済産業省「情報セキュリティサービス基準」の適合審査を経て、IPA(情報処理推進機構)の
適合サービスリスト に掲載されていることを指します。脆弱性診断などの役務サービスを対象とする制度のため、SaaS型製品には適用されません。
掲載の希望や記載内容の修正依頼はできますか? +
まとめ
AIの業務利用が当たり前になる一方で、プロンプトインジェクション・情報漏えい・シャドーAIといったAI特有のリスクへの備えは、多くの会社でこれからです。幸い、国内で発注・導入できる対策サービスはすでに揃い始めています。
まずはカオスマップ で全体像をつかみ、自社の立場(AIを使う側か、作る側か)に合った区分から検討を始めてください。本ページは各社の公式情報をもとに継続的に更新していきます。
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