【比較検証】シャドーAI対策ツール6選|社内のAI利用を可視化する方法

社員が会社の許可なく業務でAIツールを利用する「シャドーAI」が増加しています。IT部門が把握していない場所でのAI利用は、機密情報の漏洩やデータガバナンス(組織的なデータ管理)の欠如を招く恐れがあり、企業にとって看過できない課題となっています。本記事では、社内のAI利用を可視化・検知する主要な対策ツール6社を比較し、その対策方法を詳細に解説します。
「シャドーAI」とは何か、なぜ心配すべきなのか
社員が会社の許可なく使うAIツールが招くリスク
多くのビジネスパーソンがChatGPTやClaude、あるいは各種MCPサーバー(AIモデルと外部システムを接続する仕組み)を便利に活用する一方で、会社が推奨していないツールに業務データを入力することは大きなリスクとなります。IT部門が把握していない「シャドーAI」の利用は、機密情報の意図しない外部送信や、企業のポリシーが適用されない状態でのデータ処理を引き起こし、深刻なセキュリティホールとなり得ます。
データで見る:73%の企業がシャドーAIを管理できていない
ガートナージャパンの調査(2026年2月実施・国内414社)では、シャドーAIを「把握できていない」が43%、「把握しているが有効な対策を取れていない」が30%で、合計73%の企業が管理できていませんでした。一方で75%の企業は、IT部門が選定していない生成AIツールの利用を一定の条件下で認めています。使うことは認めつつ、実態は把握できていないのが多数派です。
被害額も出ています。IBMの調査では、調査対象組織の20%がシャドーAIに関連する情報漏洩を経験し、シャドーAIの利用が多い組織の被害額は平均67万ドル高くなっていました。
許可制にすること自体は、多くの企業ができています。難しいのは、許可した後に何が使われているかを見える状態に保つことです。
出典:ガートナージャパン プレスリリース(2026年6月18日)/IBM Cost of a Data Breach Report 2025
当メディアでは、MCPサーバーの安全性やセキュリティリスクを判定するツールを提供しています。
MCPサーバーのセキュリティは大丈夫?MCP対応ツールの脆弱性チェック

シャドーAI対策ツール比較一覧
比較表(会社名/サービス名/特徴/日本の窓口)
| 会社名 | サービス名 | 特徴 | 日本の窓口 |
|---|---|---|---|
| Netskope Japan | Netskope | 約4万種のクラウドサービスのリスク評価DBを保有 | あり |
| Skyhigh Security | Skyhigh AI | CASB市場での長年の実績と可視化能力 | あり |
| Zscaler | Zscaler AI Security Suite | 組み込み型AI検出など網羅的なセキュリティ機能 | あり |
| Microsoft | Microsoft Entra Internet Access | Microsoft 365環境との親和性と一元管理 | あり |
| Elith | GENFLUX Security | 国産SaaS。送信前のDLPで機密情報を警告・ブロック・マスキング | あり(国産) |
| デジタルアーツ | i-FILTER/Z-FILTER | 入力・出力・利用の統合制御。国内フィルタリング大手 | あり(国産) |
各社の詳細解説
Netskope Japan

サービスの概要・アプローチ
Netskope(ネットスコープ)は、SASE(Secure Access Service Edge)のリーダーとして知られるベンダーです。CASB(Cloud Access Security Broker)、SWG(Secure Web Gateway)、ZTNA(Zero Trust Network Access)などを統合したプラットフォームを提供しており、クラウド利用の可視化と制御を中核に据えたアプローチをとっています。
検知の仕組み
Netskopeは、約4万種におよぶクラウドサービスのリスク評価データベース(CCI:Cloud Confidence Index)を保有しています。この膨大なデータベースとリアルタイムのネットワーク通信監視を組み合わせることで、社内で使われている未知のAIサービスを即座に特定します。
できること・具体的な活用例
AIによる未知のWeb脅威判定機能を搭載しており、危険なAIサイトへのアクセスを自動で遮断できます。また、ChatGPTなどの生成AIに対して「閲覧は許可するが、機密情報のアップロード(貼り付け)のみを制限する」といった、きめ細やかなデータ漏洩防止(DLP)設定が可能です。
料金・導入の流れ
料金は非公開・個別見積もりが前提です。導入にあたっては、まず自社のネットワークトラフィックをNetskopeのプラットフォームへルーティングし、現状の可視化からスタートするのが一般的です。
こんな企業におすすめ
・既にSASEやCASB基盤の全面的な導入を検討している方に
・膨大なクラウドサービスのリスク評価データベースを信頼したいという組織に
・AIツールだけでなく、全社的なクラウド利用を一括管理したいという組織に
Skyhigh Security

サービスの概要・アプローチ
Skyhigh Security(スカイハイ・セキュリティ)は、2016年に日本法人(旧Skyhigh Networks Japan)を設立して以来、CASB市場のパイオニアとして実績を積んできたベンダーです。「Skyhigh AI」という機能を通じて、組織内で利用されている全AIアプリケーションを包括的に保護します。
検知の仕組み
CASB技術を活用し、承認済み(Sanctioned)、シャドー(Shadow)、プライベート(Private)の3つのカテゴリでAI利用状況を可視化します。歴史的に競合するNetskopeと並び、高度なトラフィック解析能力を持っています。
できること・具体的な活用例
使用中の全AIアプリをリスト化し、それぞれの安全性をスコアリングします。これにより、リスクの高いAIツールの利用を即座に特定し、必要に応じてアクセスのブロックや警告表示を行うなどのガバナンスを適用することが可能です。
料金・導入の流れ
料金は非公開・個別見積もりが前提です。国内ではテクマトリックスやマクニカなどの大手代理店が窓口となっており、日本語による手厚い導入サポートを受けることができます。
こんな企業におすすめ
・国内の主要な代理店を通じて、日本語でスムーズな導入を進めたい方に
・CASB市場における長年の実績と信頼性を重視したいという組織に
・AI利用の可視化から、徐々に利用制限などの統制を強めていきたいという組織に
Zscaler

サービスの概要・アプローチ
Zscaler(ゼットスケーラー)は、世界最大規模のクラウドセキュリティプラットフォームを展開するベンダーです。2026年には大阪にも新拠点を設けるなど日本市場への投資を加速させています。「Zscaler AI Security Suite」により、AI時代に特化したセキュリティ機能を提供しています。2026年5月には、AIエージェントの通信や権限を可視化する技術を持つSymmetry Systems社の買収意向を発表しており、AIエージェント時代への対応をさらに強化する方針です。
検知の仕組み
ネットワーク経路での常時監視に加え、組み込み型のAI検出エンジンを利用します。これにより、Webサイト内に組み込まれたAI機能や、APIを通じたAI利用など、一般的な監視では見落としがちな通信も精緻にキャッチします。
できること・具体的な活用例
「プロンプト検出」機能により、ユーザーがAIに入力した内容自体を分析できます。例えば、顧客情報やソースコードなどの機密データが含まれている場合にのみ警告を出すといった運用が可能です。また、AI資産管理機能により、社内のAI利用状況をダッシュボードで一元把握できます。
料金・導入の流れ
料金は非公開・個別見積もりが前提です。公式製品ページが英語主体のものも多いため、大手町や大阪にある国内拠点の専門スタッフを通じて詳細を確認することをおすすめします。
こんな企業におすすめ
・国内拠点(東京・大阪)による直接的なサポート体制を重視する方に
・既に他のZscaler製品を導入しており、セキュリティ基盤を統合したいという組織に
・AIへの入力内容(プロンプト)まで含めた高度な制御を求めるという組織に
Microsoft(Microsoft Entra Internet Access)

サービスの概要・アプローチ
Microsoft Entra Internet Accessは、Microsoft 365やMicrosoft Entra(旧Azure AD)環境と一体となって動作するアイデンティティ中心のセキュリティソリューションです。
検知の仕組み
インターネットアクセスの出口を監視することで、ChatGPT、Claude、SaaS型のMCPサーバーなどへの通信をリアルタイムに検出します。Microsoft独自の脅威インテリジェンスに基づき、それぞれの通信にリスクスコアを付与します。
できること・具体的な活用例
管理画面上でシャドーAIの利用状況を一元的に確認できるだけでなく、Microsoft Entraの条件付きアクセスと連携させることで、「リスクの高いユーザーにはAIツールの利用を制限する」といった、IDに基づいた動的な制御が可能です。
料金・導入の流れ
Entra Suiteの一機能として提供されており、利用規模や既存ライセンスの状況に応じた個別見積もりが前提となります。詳細な導入プランについては、Microsoftの担当窓口へご確認ください。
こんな企業におすすめ
・既にMicrosoft 365やEntra環境を主力として運用している方に
・使い慣れた管理画面や日本語のドキュメントで運用を完結させたいという組織に
・既存のMicrosoftライセンス体系を活かして、コスト効率よく対策したいという組織に
Elith(GENFLUX Security)

出典:Elith 公式サイト
サービスの概要・アプローチ
株式会社Elith(東京都文京区)が2026年7月3日にローンチした国産のシャドーAI対策SaaSです。生成AI利用の「可視化」「制御」「記録」の3点をそろえ、禁止するのではなく安全に使える公式ルートを整備するという考え方を掲げています。本記事で紹介してきた海外ベンダーに対して、国産サービスという選択肢になります。
検知の仕組み
AIに送信される前のプロンプトを検査するDLP(情報漏洩防止)機能が中核です。氏名や住所などの個人情報、マイナンバーや保険証番号といった日本固有の情報、クレジットカード番号やAPIキー、M&A情報・顧客リストなどの企業機密を検知し、送信前に警告・ブロック・マスキング(伏せ字化)します。禁止AIサービスへのアクセスもブロックできます。
できること・具体的な活用例
誰が・いつ・どのAIサービスを使ったかを部署別・ユーザー別のダッシュボードで確認でき、未承認AIの利用も検出します。ブロックした操作は理由付きで利用者に表示されるため、現場の納得感を保ちやすい設計です。警告・ブロック・マスキングの制御履歴を含む利用ログは、監査対応やレポート出力に活用できます。
料金・導入の流れ
料金は公開されておらず、サービスサイトからの問い合わせです。提供はWeb(ブラウザ拡張)版から始まっており、デスクトップ版とAIエージェント版は提供予定とされています。
こんな企業におすすめ
・海外SASE製品の大規模導入までは踏み切れず、国産サービスで対策を始めたい企業
・マイナンバーなど日本固有の機密情報の送信前チェックを重視する企業
・ブロックの理由を現場に示しながら、AI活用そのものは促進したい企業
デジタルアーツ(i-FILTER/Z-FILTER)

サービスの概要・アプローチ
Webフィルタリング「i-FILTER」で知られる国内の情報セキュリティメーカーです。2026年5月7日に、生成AIの「入力」「出力」「利用」を統合制御する取り組みを発表しました。国内の既存フィルタリング大手が、生成AIの可視化とアクセス制御の両方を公式に明示した点が特徴です。
検知の仕組み
Webセキュリティ製品「i-FILTER」とSSE+IDaaSソリューション「Z-FILTER」を中核に、機密情報等の入力制御、不適切な回答の制御、利用する生成AIサービスの制限、利用状況・ログの可視化を提供します。生成AIへの入力内容を評価して送信を制御する技術(特許7826448号)と、回答の安全化に関する技術(特許7598424号)で特許を取得しています。
できること・具体的な活用例
許可したものだけを通す「ホワイト運用」の考え方に基づき、会社のポリシーに沿った生成AIだけを業務で使える状態を作れます。入口(入力)と出口(回答)の両方を制御するため、機密情報の入力だけでなく、不適切な回答が従業員に表示されることも防げます。
料金・導入の流れ
料金は公開されておらず、問い合わせベースです。
こんな企業におすすめ
・すでにi-FILTERなど国内製のWebフィルタリングを利用している企業
・海外SASE製品の導入よりも、国内メーカーのサポート体制を重視する企業
・許可制(ホワイト運用)の考え方で生成AIの利用を統制したい企業
自社に合った対策ツールの選び方
問い合わせ前に整理しておきたいチェックリスト
・監視・可視化したい対象(全社的なAI利用状況か、特定の部門・システムか)
・既存のセキュリティ基盤(Microsoft 365・他のSASE/CASB製品等)との連携要否
・検知後の対応方針(利用ブロックまで求めるか、可視化のみでよいか)
・想定している予算感・スケジュール
相見積もりを取る際のポイント
・各社に同じ条件(監視対象・既存基盤・検知後の対応方針)を伝え、比較できる状態にする
・日本語での導入・保守サポート窓口の有無を確認する
・料金は個別見積もりが前提であることを理解しておく
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まとめ
シャドーAI対策は、単なるツールの制限ではなく、組織の大切なデータを守りつつAIの利便性を享受するための重要な一歩です。最後に要点をまとめます。
・シャドーAIは機密情報の流出リスクを伴うため、放置せず早期の可視化が必要
・対策ツールは主にネットワーク監視(CASB等)を活用し、未知のAI利用を検知する
・自社のIT環境(Microsoft 365の利用有無や既存のセキュリティ基盤)に合わせて最適なツールを選定する
・導入検討時は複数社から相見積もりを取り、サポート体制や対応範囲を比較する
まずは自社の現状を把握するため、各社ベンダーへ問い合わせ、PoC(導入前検証)が可能か相談することから始めてみてください。




