Blockが音声のみで学習した会話AI「Dessa」を研究者向けに公開

画像の出典:Block
電話応対や問い合わせ窓口で使われる音声AIの多くは、声をいったん文字に直してから処理するため、声の調子や間(ま)が抜け落ちます。決済サービスのSquareやCash Appを運営するBlockは、文字のデータを一切使わず、人間の会話音声だけで学習した会話AI「Dessa(デッサ)」を研究プレビューとして発表しました。
本記事では、Dessaの仕組みと使える範囲、そしてまだ公表されていないことを整理して解説します。
Dessaとは?音声だけで学習した会話AI
文字も既存のAIも使わずに一から学習
Dessaは、Blockが開発した、声を聞いて声で答える会話モデルです。
Blockは公式ページで「Dessaは人間の会話だけで一から学習させた。文字も、事前学習済みのモデルも使っていない(No text, no pretrained models)」と説明しています。人間の音声だけで学習し、リアルな会話ができるAIとしては「私たちの知る限り世界初」だとしています。
聞きながら話せる全二重方式
Dessaは、相手の話を聞きながら同時に話せる全二重(フルデュプレックス)方式の会話モデルです。
Blockによると、実際の会話から学んだため、相手の話に割って入るタイミングや「うん」「なるほど」といった相づちを打つタイミングを身につけているといいます。
感情の聞き取りと動作環境
Blockは、Dessaが「感情、皮肉、笑い、いら立ったため息、声の震え」まで、そのまま聞き取って話せるとしています。これは同社の説明で、第三者による評価はまだ出ていません。
学習にはNVIDIAのAI向けサーバー「GB200 NVL72」を使い、応答の生成は実時間より速く、MacBook Pro M4 Max以上の端末で手元(ローカル)で動くとしています。
「文字を経由しない音声AI」との違い
音声を文字にせずに直接扱う音声AI自体は、Dessaが最初ではありません。当メディアが2026年5月に報じたOpenAIの「GPT-Realtime-2」も、音声の入出力を1つのモデルで直接処理する仕組みです。
Dessaが違うのは、学習の段階でも文字を使っていない点です。文章で学んだ言語モデルを土台にせず、会話の音声だけで話し方を身につけたとBlockは説明しています。
Blockは今の音声AIについて「声を文字に変え、文字だけでは運べない大量の情報を捨てている」と指摘しており、Dessaはその問題への同社なりの答えという位置づけです。
一般公開はまだ・まず安全性研究者に先行提供
使える人は限られる
Dessaは現時点で一般公開されていません。公式ページではウェイトリスト(順番待ちの登録)を受け付けており、APIやアプリ、モデルの配布についての案内は出ていません。
これとは別に、Blockは少数のAI安全性研究者に先行アクセスを提供しています。音だけで話し方を学んだモデルは前例が少ないため、外部の目で「私たちが予想していないリスクを見つけてもらう」のが目的です。
公表されていない数字
モデルの規模を表すパラメータ数、学習に使った音声の量、性能を測るベンチマークの結果は、公式ページでは公表されていません。
現時点で確認できるのは、Blockの説明と公式ページのデモ音声です。他の音声AIと性能を比べられるのは、数字や外部の評価が出てからになります。
まとめ
Blockの「Dessa」は、文字のデータも事前学習済みのモデルも使わず、人間の会話音声だけで一から学習した会話AIです。聞きながら話せる全二重方式で、感情や笑いをそのまま聞き取って話せるとBlockは説明しています。
現時点はウェイトリストの受付とAI安全性研究者への先行提供のみで、規模や性能の数字は公表されていません。
💡 編集部の見解
「文字を経由しない音声AI」はすでにあり、Dessaの新しさは学習にも文字を使っていない点です。電話応対などに入れられる段階ではなく、まずは研究者による検証の結果を待つ発表です。
- 直接扱う音声AIは既にある:当メディアが5月に報じたGPT-Realtime-2も、音声の入出力を1つのモデルで直接処理します。Dessaとの違いは学習の材料で、Dessaは文章で学んだ土台を使っていません。
- 一覧に載せるのはまだ先:当メディアの音声AIエージェント一覧は、電話の用件を最後まで片づける製品29件を公式情報で確かめて載せています。Dessaは一般公開前でAPIもなく、比べる材料がそろっていません。
出典:Block




