AIエージェントフレームワーク比較15選|商用可否と更新状況で選ぶ

AIエージェントの開発基盤は数十種類あり、機能の一覧を見比べても決め手になりません。選定を左右するのは、自社の使い方で商用利用が許されるかと、今も開発が続いているかの2点です。どちらも公開情報で確認でき、あとから覆せない制約になります。本記事では2026年8月19日時点で各公式リポジトリとライセンス原文から取得した実測値をもとに、主要15種を比較します。

関連記事:【2026年最新】Agentic AIとAIエージェントの違いとは?ビジネス実装の進め方を徹底解説

この記事に対する編集部の見解

  • 自社内で使うだけならライセンスはほぼ気にしなくてよい・危ないのは「顧客への納品」と「自社サービスへの組み込み」の2つ
  • AutoGenを避けるのは当社の意見ではなくMicrosoft公式の案内・ただし廃止ではなく「新機能が止まった」が正確
  • 非エンジニアが最初に見る列は「ライセンス」と「最新版の日付」の2つだけでよい

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AIエージェント選定の2つの軸

フレームワークの役割

フレームワークは、LLM(大規模言語モデル)を自律的に動く「エージェント」として機能させるための土台です。肩代わりしてくれる仕事は主に4つあります。外部ツールの実行の制御、実行結果を踏まえた次の一手の判断、複数エージェント間の役割分担、そして処理途中の状態を保つメモリ管理です。

これらを自前で書くと、エラー処理や履歴の管理といった本題以外に工数を取られます。

図解:AIエージェントフレームワークが肩代わりする4つの仕事

2026年の選定基準

1つ目の軸はライセンス(利用許諾条件)です。かつてはMITライセンスが主流でしたが、n8nやDifyのように特定の商用利用へ条件を付けるものが増えました。自社サービスへの組み込みや、受託開発での納品が触れやすい例です。

2つ目は開発が続いているかどうかです。更新が止まると新しいモデルへの対応が遅れ、脆弱性の修正も期待できません。次の表はこの2点を、ライセンス名と最新版の日付で確認できる形にしました。

主要15フレームワーク比較(2026年8月19日時点)

フレームワーク 主な対応言語 ライセンス 最新版(2026/8/19) 向いている場面
LangGraph Python・TypeScript MIT 1.2.11 状態管理と人の承認を挟む本番ワークフロー
LangChain Python・TypeScript MIT langchain-core 1.5.6 LLMアプリ開発の共通部品
Microsoft Agent Framework Python・C#/.NET MIT Python 1.14.0/.NET 1.18.0 企業の本番運用
AutoGen Python MIT 0.7.5 新規採用は非推奨(移行推奨)
Semantic Kernel .NET・Python・Java MIT .NET 1.80.0 既存の.NET資産との統合
CrewAI Python MIT 1.15.16 役割分担型を短期間で立ち上げる
OpenAI Agents SDK Python・TypeScript MIT 0.21.1 OpenAIのモデル前提の軽量実装
Claude Agent SDK Python・TypeScript MIT 0.2.140 Claude前提・開発作業そのものの自動化
Google ADK Python・JS/TS・Go・Java・Kotlin Apache-2.0 Python 2.7.1 多言語のチーム・Google Cloud連携
Mastra TypeScript Apache-2.0(一部別) @mastra/core 1.59.0 TypeScript中心のWebチーム
PydanticAI Python MIT 2.31.1 出力の型を固めたい業務
LlamaIndex Python MIT 0.14.23 社内文書の検索基盤
Haystack Python Apache-2.0 3.0.0 大量文書の検索と精度調整
Dify ノーコード 改変Apache-2.0 1.16.1 業務部門が自分で作る
n8n ノーコード Sustainable Use License 2.35.3 既存の業務システムとの連携

商用利用に条件が付く3つ

n8n|自社内の業務利用か非商用に限られる

n8nが採用するのは「Sustainable Use License」Version 1.0という独自のライセンスです。原文にはこう書かれています。

You may use or modify the software only for your own internal business purposes or for non-commercial or personal use. You may distribute the software or provide it to others only if you do so free of charge for non-commercial purposes.

(訳:本ソフトウェアを使用または改変できるのは、自社内の業務目的、もしくは非商用または個人的な用途に限られます。他者へ配布または提供できるのは、非商用の目的で無償で行う場合に限られます。)

自社内の業務効率化や個人利用は範囲内です。受託開発の納品物に組み込む場合や、自社サービスとして外部へ提供する場合は、条件に当たらないかを契約前にn8n社へ確認してください。なお、ファイル名に「.ee.」を含むソースは対象外で、別途Enterprise Licenseが必要だと明記されています。

Dify|書面の許可が要る2つの行為

Difyは改変版のApache License 2.0で、追加条件が2つあります。1つは、Difyの書面による許可なくマルチテナント環境の運用に使えないこと。ここでの1テナントは1ワークスペースと定義されています。もう1つは、フロントエンドの管理画面やアプリからロゴと著作権表示を削除・変更できないことです。

複数の顧客に環境を配る形の提供や、自社ブランドでの提供を考えている場合は、先に条件を確認してください。

Mastra|ee/配下だけ別ライセンス

Mastraは全体がApache-2.0ではありません。ライセンスファイルには、「ee/」という名前のディレクトリ配下(例:packages/core/src/auth/ee/)は ee/LICENSE の別ライセンス、それ以外はApache License 2.0と書かれています。ee/配下のコードを取り込むときは、該当ファイルの条件を確認してください。

関連記事:Mastra(マストラ)とは|AIエージェント開発を"プロダクション品質"へ

AutoGenを新規に採用しない理由

公式が「新機能は追加しない」と明記している

マルチエージェントの代表格だったAutoGenですが、公式リポジトリのREADMEに次の宣言が置かれています。

AutoGen is now in maintenance mode. It will not receive new features or enhancements and is community managed going forward.

(訳:AutoGenは現在メンテナンスモードです。新機能や機能強化が加わることはなく、今後はコミュニティが管理します。)

最新リリースは0.7.5で公開は2025年9月30日、リポジトリへの最終更新は2026年4月15日です。アーカイブはされておらずすぐ使えなくなるわけではありませんが、新しく選ぶ理由は乏しくなりました。

案内されている移行先

同じREADMEは、新規の利用者はMicrosoft Agent Frameworkから始めること、既存の利用者は公式の移行ガイドで移ることを勧めています。日本語の比較記事には今もAutoGenを主要な選択肢として挙げるものがあるため、古い記事だけを見て採用を決めないでください。

関連記事:【完全ガイド】Microsoft Agent Framework v1.0|企業AI構築の新標準を徹底解説

本番運用の主力4つと使い分け

LangGraph|状態管理と人の承認を組み込む

処理を一本道ではなくグラフ(工程図)として定義し、条件による分岐や差し戻しを行えます。AIが下書きしたメールを人が確認してから送る、といった「人による承認」を工程に組み込みたい業務に向きます。

Microsoft Agent Framework|PythonとC#/.NETで本番前提

公式は「.NETとPythonで本番品質のAIエージェントとワークフローを構築するための、オープンなフレームワーク」と説明しています。基幹システムにC#/.NETを使う企業が、Python側と同じ枠組みで揃えられる点が強みです。

CrewAI|役割分担型を短期間で立ち上げる

「調査役」「執筆役」のように役割を与えたエージェントをチームとして定義することに特化しています。複数の担当に仕事を割り振る自動化を短期間で形にしたい段階に向きます。

Google ADK|5言語に対応し多言語のチームに向く

公式ドキュメントの対応言語はPython・JS(TypeScript)・Go・Java・Kotlinの5つで、それぞれに公式リポジトリがあります。既存の資産がJavaやGoでも同じ枠組みで揃えられます。

図解:本番運用の主力4つと使い分け

用途が決まっている場合の専門型

社内文書の検索基盤|LlamaIndexとHaystack

社内文書を読み込ませて回答させることが主目的なら、データの取り込みに強いものが向きます。LlamaIndexは各種サービスからの読み込み口が豊富、Haystackは検索精度の調整の自由度が高いという違いがあります。

なお、LlamaIndexのTypeScript版(LlamaIndexTS)の公式リポジトリは2026年3月11日を最後にアーカイブ済みです。選ぶ場合はPythonが前提になります。

提供元の公式SDKとTypeScript中心のチーム

使うモデルを1社に決めているなら、汎用のフレームワークを挟まずOpenAI Agents SDKやClaude Agent SDKを直接使う選択もあります。どちらもPythonとTypeScriptの両方に公式実装があります。フロントエンドを含めてTypeScriptで統一しているチームならMastra、出力データの形を厳密に決めたい場合はPython向けのPydanticAIが候補です。

選定を絞る4つの質問と、決める前の非機能要件

4つの質問で候補を2つまで絞る

質問に入る前に、そもそも自分たちで作る必要があるかを確かめてください。既製のAIエージェントで足りるなら、フレームワークの選定自体が不要になります。

関連記事:AIエージェントおすすめ10選|無料で試せる順に個人・法人別で比較

  1. 社外へ提供するか:提供するならn8nとDifyは条件の確認が先です。
  2. チームの主な言語は何か:C#/.NETならMicrosoft Agent Framework、Java・GoならGoogle ADK、TypeScriptならMastraに絞られます。
  3. 人の承認を挟む業務か:挟むならLangGraphが有力です。
  4. 外部ツールへ繋ぐか:繋ぐなら次に述べるMCPへの対応が判断材料です。

どれを選んでも必要な非機能要件4点

試作から本番へ移すときは、次の4点を自分たちで設計する必要があります。

  1. 監査ログ:誰が、いつ、何に対してAIへ指示を出したかをすべて記録すること。
  2. 人による承認:重要な決定は人が承認してから実行する仕組みを置くこと。
  3. 状態の永続化:再起動してもタスクの進行状況が失われないようにすること。
  4. 認可情報の管理:APIキーなどを安全に保管し、データの流出を防ぐ設計にすること。

MCPとA2Aを前提に置いて乗り換えコストを下げる

MCP(Model Context Protocol:モデル文脈プロトコル)はAIと外部ツールや社内データを繋ぐ共通規格、A2A(Agent2Agent)はエージェント同士を繋ぐ規格です。

接続部分をこの2つに寄せておくと、あとでフレームワークを入れ替えるときに繋ぎ込みを作り直さずに済みます。特定の製品に依存しすぎない設計が、乗り換えの費用を下げる近道です。

関連記事:MCPサーバーの選び方|当メディアの掲載・安全性の基準

図解:選定を2つに絞る4つの質問と、決める前の非機能要件

まとめ

  • ライセンスを最初に見る:n8nは自社内の業務利用か非商用に限られ、Difyはマルチテナント提供とロゴ削除に書面の許可が要ります。稟議の前に確認してください。
  • 更新が止まったものを外す:AutoGenは公式がメンテナンスモードを宣言し、新規利用者には後継を案内しています。
  • 主言語と用途で絞る:人の承認を挟むならLangGraph、C#/.NET資産があるならMicrosoft Agent Framework、多言語ならGoogle ADKです。
  • 非機能要件は初期設計に入れる:監査ログ、人による承認、状態の永続化、認可情報の管理は後付けが難しい部分です。
  • MCPとA2Aを前提に置く:接続部分を共通規格に寄せると将来の乗り換えが軽くなります。

AIエージェントナビ編集部の見解

AIエージェントナビでは、各記事のテーマについて編集長が「実際どうなの?」という素朴な疑問を「Nav」と名付けたAIエージェントにぶつけています。エンジニアではなく、経営者・ビジネス視点からの率直な見解をお届けします。

編集長の率直な感想

編集長

フレームワークってそもそも何ですか?記事を読んでもよくわからなくて。

Nav

一言で言うと「複数のAIに役割を与えて自動連携させるための組織図テンプレート」です。1人のAIに「調べて・書いて・送って」と逐一指示するのではなく、「調査担当AI」「執筆担当AI」が自動で連携する仕組みを作るための部品セットです。

編集長

今回の記事はライセンスの話が中心ですよね。そこまで気にする必要がありますか?

Nav

自社の中だけで使うなら、ほとんど気にしなくて大丈夫です。危ないのは「お客様に納品する」「自社サービスの機能として外に出す」の2つです。たとえばn8nは利用許諾に「自社内の業務目的か、非商用・個人利用に限る」と書かれています。無料で使えることと、それを商売に組み込んでよいことは別問題で、これは後から設計を変えても取り消せない制約です。

編集長

AutoGenを使わない方がいいというのは、少し強い言い方では?

Nav

これはこちらの意見ではなく、Microsoft自身が公式に書いていることです。「新機能や機能強化は加わらず、今後はコミュニティが管理する」と明記し、新しく始める人には後継のMicrosoft Agent Frameworkを案内しています。ただし「廃止された」わけではなく、今動いているものが止まるわけでもありません。あくまで、これから選ぶ理由が乏しいという話です。

編集長

結局、素人が最初に見るべき列はどこですか?

Nav

表の「ライセンス」と「最新版の日付」の2列だけで十分です。MITやApache-2.0と書いてあれば商用の心配はほぼ要りません。最新版の日付が半年以上前なら、開発が止まっている疑いがあります。この2列だけで候補は半分に減ります。機能の細かい違いは、そこから先の話です。

編集部のまとめ

  • 自社内で使うだけならライセンスはほぼ気にしなくてよい・危ないのは「顧客への納品」と「自社サービスへの組み込み」の2つ
  • AutoGenを避けるのは当社の意見ではなくMicrosoft公式の案内・ただし廃止ではなく「新機能が止まった」が正確
  • 非エンジニアが最初に見る列は「ライセンス」と「最新版の日付」の2つだけでよい
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