日立「HMAX」始動!社会インフラを支える自律型AIエージェントの全貌

2026年1月6日、株式会社日立製作所は、社会インフラ向けのAIソリューション群「HMAX」のグローバル展開を発表しました。
生成AIの活用といえば、これまでは文章作成やコード生成といった「デジタル空間」でのデスクワーク支援が中心でした。
しかし、日立が目指すのはその先、AIエージェントが鉄道や工場といった「物理世界(フィジカル)」の設備を直接制御・管理する未来です。
パートナーエコシステムを核に、日本のモノづくりとAI技術が融合した新たな産業革命の幕が開きました。
デジタルから「物理世界」へ。Physical AIの衝撃
HMAXの核心は、OT(制御技術)とIT(情報技術)を融合させた「Physical AI(フィジカルAI)」にあります。
画面の外にあるインフラを制御
これまでのAIは画面の中にいましたが、Physical AIは現実世界で稼働するインフラ機器と直結します。鉄道、電力網、製造プラントなどに設置されたセンサーから得られる膨大なデータ(振動、音、映像など)をAIエージェントがリアルタイムで解析します。
現場オペレーションの「指揮官」へ
例えば、「この部品はあと3日で故障する可能性があるため、今夜の運行終了後に交換部品を手配する」といった高度な判断と実行を、AIエージェントが自律的に行うようになります。これは、AIがオフィスの事務作業だけでなく、現場のオペレーション指揮官としての役割を担うことを意味します。
産業用メタバースで「失敗しない」現場導入
特に製造・建設現場向けに提供される「HMAX Industry」などのソリューションでは、生成AIと産業用メタバース(仮想空間)の組み合わせが威力を発揮します。
仮想空間での予行演習
現実の工場でAIに試行錯誤をさせるのは、事故やライン停止のリスクがあり危険です。そこで日立は、デジタルツイン(現実を模倣した仮想空間)を活用したアプローチを採用しています。
即戦力としての「学習済みエージェント」
AIエージェントはこの仮想空間の中で何千回ものシミュレーション訓練を行い、最適な制御方法を学習します。十分に賢くなった「学習済みモデル」を現実のロボットや制御システムにインストールすることで、導入初日からトラブルなく、高いパフォーマンスを発揮する自律型システムの構築が可能になります。
「熟練の技」をAIエージェントが継承
先進国共通の課題である「熟練技術者の引退」問題に対しても、HMAXは明確な解を提示しています。
暗黙知をデータ化して再現
ベテラン作業員が持つ「音で機械の不調を聞き分ける」「微妙な温度変化に対応して設定を変える」といった暗黙知やノウハウ。これらをデータとしてAIエージェントに学習させることで、熟練工の判断プロセスを再現・代行できるようになります。
企業の資産を守るBCMの観点
これは単なる自動化にとどまらず、企業の大切な知的資産をデジタル化し、次世代へ永続的に残すための事業継続マネジメント(BCM)としても極めて重要な機能です。
絶対に止まらないインフラを守る「信頼性」
鉄道や電力、金融システムといった社会インフラは、一瞬の停止も許されない「ミッションクリティカル」な領域です。
ハルシネーション(嘘)のリスクを克服
これまでの生成AIには「嘘をつく(ハルシネーション)」リスクがあり、インフラ制御への適用は慎重にならざるを得ませんでした。しかし、日立は長年培ってきた高信頼な制御技術(OT)の実績をここに投入しています。
長年の実績が支えるAIガバナンス
最新のAIガバナンス機能とOTの知見を組み合わせることで、AIの判断に対する信頼性(Trust)を担保し、失敗の許されない領域でのAI自律化を推進します。
まとめ
日立製作所によるHMAXの展開は、AIエージェントが「便利なツール」から、社会を支える「インフラの一部」へと進化したことを象徴しています。
製造、物流、エネルギーなど、物理的な「現場」を持つ企業にとって、OTデータとAIエージェントをいかに結合させるかが、2026年以降の競争力を決定づける最大の要因となるでしょう。
出典: 日立製作所





