NotebookLMは文字起こしできる?音声・動画を賢く使いこなす仕事術

会議の録音やセミナー動画の「文字起こし」とその後の資料作成に膨大な時間を費やしていませんか?
Googleの生成AI「NotebookLM」が音声・動画に対応しましたが、その真価は単なる文字起こしではありません。

本記事では、NotebookLMを「文字起こしツール」以上の、音声・動画データをビジネスの「資産」に変える分析パートナーとして活用する方法を解説します。

NotebookLMは「文字起こしツール」ではない?正しい理解と役割

NotebookLMが音声ファイルやYouTubeのURL入力に対応したことは大きな進化ですが、その機能の本質を正しく理解しておく必要があります。期待と現実のギャップを埋め、最適な活用方法を知ることが重要です。

標準機能としてのテキスト出力は非搭載

まず理解すべき重要な事実は、現時点のNotebookLMには「アップロードした音声・動画から、全文の文字起こしテキストをエクスポートする標準機能」は搭載されていないという点です。

NotebookLMは、入力されたデータを「理解」し、ユーザーとの対話を通じて必要なアウトプットを生成するAIアシスタントです。音声や動画も、テキストドキュメントと同様に「理解するためのソース」の一つとして扱われます。内部的に内容は解析されますが、ユーザーが期待するような、タイムスタンプ付きの完璧な文字起こしテキストをボタン一つで出力するためのツールではありません。

最適な役割分担:文字起こしは専用ツールで

ビジネスにおける最も効果的な運用は、ツールごとの得意分野を活かした役割分担です。

  • 文字起こし(テキスト化): ZoomやTeamsの標準機能、あるいはWhisperなどの専用外部ツールに任せ、高精度なテキストデータを作成します。

  • 内容の理解・活用: 作成したテキストデータや、大まかな把握で良い音声・動画をNotebookLMに読み込ませ、要約や資料化に活用します。

機能・役割 専用文字起こしツール(Whisperなど) Google NotebookLM
主な目的 音声を正確なテキストデータに変換すること データを理解し、分析・活用すること
全文出力機能 あり(標準機能) なし(現時点では標準機能として非搭載)
分析・要約能力 基本的な要約のみの場合が多い 極めて高い(複数資料の横断分析も可能)
対話型での検索 不得意 得意(自然言語で質問可能)

なぜNotebookLMは「動画・音声の理解」ができるのか?

NotebookLMが、テキストだけでなく音声や動画の内容までも理解し、的確な回答を生成できる背景には、Googleの最新AI技術があります。これが従来の単純な要約ツールと一線を画す理由です。

マルチモーダルAIによる統合的な理解

基盤となっているのは、Geminiなどに代表される高度な「マルチモーダルAIモデル」です。

これは、テキスト、画像、音声、動画など、異なる種類の情報を統合的に処理・理解できるAIです。人間が資料を読み、話を聞き、映像を見て総合的に内容を把握するように、AIも複数の情報源を組み合わせて文脈を深く理解します。

信頼性を支えるグラウンディング能力

さらに重要なのが、NotebookLMの最大の特徴である「グラウンディング(根拠付け)」能力です。

  • 仕組み: AIがインターネット上の膨大な情報から適当に回答するのではなく、ユーザーがアップロードしたソース(この場合は音声や動画)のみを根拠として回答を生成します。

  • メリット: これにより、AI特有の「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」が抑制され、ビジネスで利用できる信頼性の高い要約や情報抽出が可能になります。

関連記事:【GoogleのAI】NotebookLMとは?GeminiやAIブラウザとの違いを解説

文字起こしデータの「その先」へ:具体的な活用シナリオ3選

NotebookLMの本質は、データ化された情報をどう活かすかにあります。音声・動画、あるいはその文字起こしテキストをソースとして読み込ませることで実現する、具体的なビジネス活用シナリオを紹介します。

1. 長時間の会議から「構造化された議事録」を瞬時に作成

1時間を超える会議動画の内容を全て確認するのは大変です。NotebookLMを使えば、構造化された議事録のドラフトを数秒で生成できます。

  • 指示例: 「この会議の決定事項、保留事項、次のアクション(担当者と期限)を箇条書きでまとめてください」

  • 効果: AIが議論の流れを理解して要点を抽出するため、議事録作成の工数が劇的に削減されます。

2. セミナー動画から「要点まとめ資料」やスライド構成案を作成

情報収集のために視聴したウェビナー動画も、効率的にアウトプットへ変換できます。

  • 指示例: 「重要ポイントを3つ挙げ、それぞれの具体的な解説をまとめて」「この動画の内容を基に、社内共有用のプレゼン資料の構成案(目次と各スライドの要点)を作成して」

  • 効果: 動画を見返すことなく、要約レポートや資料のたたき台が手に入ります。

3. 複数人のインタビュー音声から「共通の課題」を抽出

顧客インタビューや採用面接など、複数の音声データがある場合の定性分析にも威力を発揮します。

  • 指示例: (複数のデータを読み込ませた状態で)「全ての対象者が共通して言及している課題は何か?具体的な発言内容を引用しながら教えて」

  • 効果: 個別の文字起こしを全て読み込むことなく、横断的な傾向分析が可能になります。

関連記事:【部門別】NotebookLM活用事例10選!現場の課題を解決する実践ガイド

【実践ガイド】音声・動画データをNotebookLMで活用するステップ

実際にNotebookLMを使って音声・動画データを活用するための基本的な手順を解説します。非常にシンプルなステップで、高度な分析を始めることができます。

ステップ1:ソースの準備とインプット

まず、分析したいデータをNotebookLMに取り込みます。

  1. 音声ファイル(MP3など)や、YouTube動画のURLを準備します。

  2. NotebookLMのノートブックを開き、「ソースを追加」をクリックします。

  3. 対象のファイルやリンクを選択してアップロードし、処理完了を待ちます。

ステップ2:目的に合わせた対話(プロンプト入力)

ソースの読み込みが完了したら、チャット欄でAIに指示を出します。この「プロンプト」の質がアウトプットの質を左右します。

  • 要約してほしい時:

    • 「この動画の要点を、初心者にもわかるように300文字程度でまとめてください。」

  • 特定の情報を探したい時:

    • 「〇〇というトピックについて議論されている部分を特定し、どのような結論になったか教えてください。」

  • 資料を作成したい時:

    • 「この音声の内容を基に、新入社員向けのFAQリストを5つ作成してください。」

このように具体的に指示を出すことで、AIは意図を正確に理解し、求める回答を生成してくれます。

関連記事:【図解】NotebookLMの使い方完全ガイド!自分だけのAIアシスタントを作ろう

導入前に知っておくべき注意点と使いこなしのコツ

NotebookLMは強力なツールですが、万能ではありません。導入効果を最大化し、トラブルを避けるために、いくつかの注意点とコツを押さえておきましょう。

認識精度の限界を理解する

AIの音声認識精度には限界があります。以下の条件下では、AIが内容を正しく理解できず、回答の精度が落ちる可能性があります。

  • 録音環境が悪くノイズが多い音声

  • 専門用語が頻繁に飛び交う会議

  • 複数人が同時に話している状況

精度を高めるための現実的な運用フロー

確実な精度を求める場合は、前述の「役割分担」を徹底するフローをお勧めします。

  1. まずWhisperなどの高精度な専用ツールで文字起こしを行う。

  2. 人間が軽く修正を加え、クリーンなテキストデータを作成する。

  3. そのテキストをNotebookLMにソースとして読み込ませる。

手間はかかりますが、これが最も確実で、NotebookLMの分析能力を最大限に引き出せる方法です。

セキュリティ面の確認事項

業務で利用する際は、セキュリティについても確認が必要です。

  • GoogleはアップロードデータがAIの学習に使われないとしています。

  • しかし、機密性の高い会議データを扱う際は、自社のセキュリティ規定と照らし合わせ、慎重に判断してください。

関連記事:【NotebookLM】情報漏洩リスクは本当か?仕組みと安全な活用策

まとめ

NotebookLMは、期待されているような「全自動文字起こしツール」ではありません。しかし、それは決してネガティブな意味ではありません。NotebookLMは、音声や動画、そして文字起こしされたテキストデータを深く「理解」し、要約、分析、資料化といった、人間が時間をかけて行っていた付加価値の高い作業を強力に支援してくれるパートナーです。

「録って終わり」「テキスト化して終わり」になっていたデータを、NotebookLMに入力してみてください。その瞬間から、眠っていたデータが、ビジネスを加速させる活きた「資産」へと変わるのを実感できるはずです。

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