中外製薬が実践するAIエージェント「市民開発」の全貌!現場社員が作る業務削減ツールとは

2026年1月23日、AI人材育成を手掛ける株式会社スキルアップNeXtと中外製薬株式会社は、社内における「AIエージェント市民開発」の成果を発表しました。
AIシステムの開発といえば、これまでは専門のIT部門や外部ベンダーに依頼するのが常識でした。
しかし中外製薬が選んだのは、非エンジニアである現場社員自身が開発者となり、自らの手で業務課題を解決する「市民開発(Citizen Development)」というアプローチです。
この取り組みが、具体的かつ大きな成果を生み出し始めています。
現場の課題は現場で解く。「市民開発」への転換
なぜ、製薬大手の中外製薬が社員による開発を推進するのでしょうか。その背景には、現場ニーズの多様化とスピード感の欠如という課題がありました。
IT部門の限界を突破する
各部署から上がる「この業務を自動化したい」という要望すべてに、限られた人数のIT部門やDX推進部署が対応するのは不可能です。結果として、現場の小さな、しかし切実な困りごとは後回しにされがちでした。
そこで同社は、スキルアップNeXtが提供する「AIエージェント構築支援サービス」を導入。現場の業務フローと課題(痛み)を誰よりも理解している社員自身が、Microsoft Copilot Studioなどのノーコードツールを使い、自分たちに必要なAIエージェントを作れる体制を整えました。
年間144時間削減も。具体的成果とインパクト
研修を受けた社員たちによって開発されたエージェントは、すでに実務で稼働し、確実な成果を上げています。
薬機法対応や廃棄物管理を自動化
例えば、広告審査における「薬機法問い合わせ対応エージェント」の開発により、年間約144時間の業務時間削減が見込まれています。複雑な法規制に関する社内QAをAIが即座に回答することで、担当者の負担を劇的に減らしました。
また、研究所における「廃棄物対応エージェント」は、月間25時間の削減効果を創出しています。これらは全社的な基幹システム導入のような派手さはありませんが、現場のニッチな課題をピンポイントで解決する、業務効率化の模範解答と言えます。
「野良エージェント」を防ぐ育成とガバナンス
市民開発のリスクとしてよく挙げられるのが、管理不能なツールが乱立する「野良エージェント」問題やセキュリティリスクです。
「作る力」と「守る力」をセットで育成
今回のプロジェクト成功の鍵は、単にツールの使い方を教えるだけでなく、ガバナンス(統制)をセットで導入した点にあります。
スキルアップNeXtは、社員に対して開発スキルの習得だけでなく、セキュリティや運用ルールに関する教育も徹底しました。これにより、企業としての安全性を担保しつつ、現場の創造性を解放することに成功しています。
これは、企業のリスキリング(学び直し)が、単なる「プロンプトエンジニアリング(AIへの指示出し)」の段階を超え、「安全なエージェントの設計・運用」という高度なフェーズへ進化したことを示しています。
まとめ
中外製薬とスキルアップNeXtの事例は、DXの本質が「ツールの導入」ではなく、「人を育てること」にあると教えてくれます。
AIエージェントは、もはやエンジニアだけの特権ツールではありません。現場社員一人ひとりが「自分のためのデジタルな部下」を作成し、業務を自律的に改善していく。そんなAIエージェント×市民開発のスタイルが、2026年の企業標準になっていくでしょう。
出典: PR TIMES





