Microsoftがストリーミング文字起こしモデルと高速音声合成を公開

画像の出典:Microsoft AI
電話応対や会議の音声をAIで処理するとき、相手が話し終わるまで文字起こしを待つと、応答がどうしても遅れます。Microsoft AIは10月1日(現地時間)、話している途中から文字を返すストリーミング文字起こしモデルと、2つの音声合成モデルを公開しました。
本記事では、3モデルの性能と料金、日本語で使える範囲を解説します。
リアルタイム性を追求した文字起こしモデル
100ミリ秒強で暫定結果を返す
Microsoft AIが公開した「MAI-Transcribe-2-Streaming」は、同社初となるストリーミング形式の文字起こしモデルです。最大の特徴は、音声入力からわずか100ミリ秒強という極めて短い時間で、暫定的な認識結果を生成できる点にあります。この速度により、AIエージェントはユーザーが発言を終えるのを待たずに、推論や外部ツールへの呼び出しを開始することが可能です。
Artificial Analysisで精度1位
本モデルは60言語に対応しており、第三者機関であるArtificial Analysisの評価において、確定・暫定の両面で認識精度1位を獲得しました。料金体系は年末までの導入価格として、音声1時間あたり0.54ドルに設定されています。Azure Voice LiveやMAI Playgroundなどのプラットフォームを通じて提供され、開発者は低遅延な音声対話システムの構築が可能となります。
高速化を実現した音声合成モデル
2つのモデルによる使い分け
あわせて発表された音声合成モデル「MAI-Voice-2.1」と「MAI-Voice-2.1-Flash」は、用途に応じた柔軟な選択肢を提供します。標準モデルの「MAI-Voice-2.1」は23言語・26ロケールに対応し、100万文字あたり22ドルで提供されます。一方、高速版の「MAI-Voice-2.1-Flash」は、45秒の音声をわずか150ミリ秒の遅延で生成可能です。この高速版は、同等の性能を持つ既存モデルと比較して約60%安価な、100万文字あたり15ドルという価格設定を実現しています。
提供先と声のクローンの条件
これらのモデルは、Microsoft FoundryやVercel、Azure Voice Liveなどで利用可能です。声のクローン機能については申請制となっており、同意を得た音声データのみが利用可能という厳格な運用がなされています。
日本語で使える範囲と提供状況
日本語対応の現状
文字起こしモデル「MAI-Transcribe-2-Streaming」は60言語に対応すると発表されており、Microsoftの技術文書に載るMAI-Transcribe-2の対応言語一覧には日本語(ja)が含まれています。一方で、音声合成モデル「MAI-Voice-2.1」および「MAI-Voice-2.1-Flash」の対応言語一覧には、現時点で日本語(ja-JP)が含まれていません。そのため、日本語の読み上げが必要なアプリケーションにおいては、現段階では本モデルの音声合成機能を利用できない点に注意が必要です。
提供はパブリックプレビュー
Microsoftの技術文書(Microsoft Learn)では、Microsoft Foundry上の文字起こしモデルと音声合成モデルはいずれもパブリックプレビューと明記されています。SLA(サービス品質保証)はなく、本番環境での利用は推奨されていません。なお、音声合成モデルの提供リージョン一覧には東日本(Japan East)も含まれています。
まとめ
- Microsoft AIがストリーミング文字起こしモデル「MAI-Transcribe-2-Streaming」を公開
- 音声を受け取ってから100ミリ秒強で暫定の認識結果を返し、60言語に対応(導入価格は音声1時間0.54ドル)
- 高速音声合成「MAI-Voice-2.1-Flash」は同等モデル比約60%安価な100万文字15ドル
- 文字起こしの対応言語には日本語があるが、音声合成の23言語に日本語は無い
- Microsoft Foundry上はパブリックプレビュー(SLAなし)
AIエージェントの応答速度を向上させたい企業は、まずMAI-Transcribe-2-Streamingの精度と速度を検証環境でテストしてください。
💡 編集部の見解
Microsoft AIが、100ミリ秒強で認識結果を返すストリーミング文字起こしモデルと、高速な音声合成モデルを公開しました。文字起こしは日本語に対応していますが、音声合成は現時点で日本語非対応です。
- 日本語の対応範囲:文字起こしモデルは日本語に対応していますが、音声合成モデルは現時点で日本語(ja-JP)に対応していません。日本語で読み上げたい用途では、現時点では使えません。
- 利用上の制限:Microsoft Foundry上はパブリックプレビューであり、SLA(サービス品質保証)が提供されていません。本番環境での利用は推奨されていないため、まずは検証環境での性能評価に限定してください。
出典:Microsoft AI/Microsoft Learn(MAI-Voice)/Microsoft Learn(MAI-Transcribe)




