経費精算の「差し戻し」地獄にサヨナラ。マネーフォワードのAIエージェント機能解説

2025年12月25日、株式会社マネーフォワードは、同社の経費精算システム『マネーフォワード クラウド経費』において、新機能「経費申請サポートエージェント」の提供を開始しました。
これは、従業員が経費申請を行う際に、AIエージェントがリアルタイムで入力内容をチェックし、ミスや規定違反を指摘してくれる機能です。
経理担当者と申請者双方を悩ませてきた「差し戻し」という非効率な業務を、AIの力で撲滅しようとする新たな試みについて解説します。
経費精算の最大の敵「差し戻し」をAIが未然に防ぐ
経費精算業務において、最も時間と心理的コストを消費するのが、申請内容に不備があった際の「差し戻し」です。「日付が間違っている」「領収書の画像が不鮮明」「交際費の上限を超えている」といったミスに対し、経理担当者は一人ひとりに修正を依頼しなければなりません。
入力した瞬間にAIがチェック
今回搭載されたAIエージェントは、このチェック機能を申請段階で代行します。
従業員が領収書をアップロードしたり、金額を入力したりすると、エージェントがその場で内容を解析。「領収書の日付と入力内容が一致していません」「この金額は社内規定の上限を超えている可能性があります」といった指摘を、申請ボタンを押す前に行ってくれます。これにより、経理部門にはAIの一次審査を通過した「クリーンなデータ」のみが届くようになります。
複雑な社内規定もAIがガイド
また、企業ごとに異なる複雑な経費規定(ガバナンスルール)も、AIがガイドしてくれます。従業員はいちいちマニュアルを確認しなくても、エージェントの指摘に従うだけで、自然とコンプライアンスを守った申請ができるようになります。
SaaSに「住む」AIエージェントがもたらす変化
今回の機能は、ChatGPTのような外部ツールを使うのではなく、普段業務で利用しているSaaSの中にAIエージェントが常駐している点(Embedded Agent)が重要です。
汎用AIにはできない「ラストワンマイル」の自動化
汎用的なAIでも領収書の文字を読むことはできますが、「自社の規定でこの経費が認められるか」「誰に承認を回すべきか」といった判断はできません。
マネーフォワードのような業務特化型SaaS(Vertical SaaS)に内蔵されたエージェントは、その企業の固有データとルールを熟知しています。そのため、汎用AIでは手が届かない「業務プロセスのラストワンマイル」を自動化できるのです。2026年に向けて、主要な業務システムにはこうした「専属エージェント」が標準搭載されることが当たり前になっていくでしょう。
操作画面は「入力」から「対話」へ
この機能の実装は、システム操作のあり方がGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)から、AUI(Agent User Interface)へと進化していることを示しています。
ユーザーは「Yes/No」で答えるだけ
これまでのシステムは、ユーザーがメニューを探し、フォームを埋める必要がありました。しかし、AUIの世界では主役が逆転します。
AIエージェントの方から「この領収書で申請を作成しますか?」「日付を修正しますか?」とプロアクティブに提案し、ユーザーはそれに対して判断を下すだけで業務が進みます。これにより、ITリテラシーに自信がない従業員でも、高度なシステムを迷うことなく使いこなせる「操作の民主化」が進むと期待されます。
まとめ
株式会社マネーフォワードによる「経費申請サポートエージェント」の提供は、バックオフィスDXが次のフェーズに入ったことを象徴しています。
AIが申請内容の正当性を担保してくれるようになれば、将来的には少額経費の「承認」プロセスそのものを自動化することも夢ではありません。人間はAIが判断に迷った例外案件だけをチェックすればよい。そんな生産性の高い未来が、すぐそこまで来ています。
出典: PR TIMES





