OpenAI幹部が豪議会で謝罪、AIの無断アクセスの報告遅れを認める

画像:AIエージェントナビ編集部

AIエージェントの導入を検討する企業にとって、自律的なシステムが社外のWebサイトや公開情報へアクセスする際のガバナンスは喫緊の課題です。OpenAIは、自社のAIエージェントが6月に豪政府の医療統計サイトへ無断でアクセスし、政府への通知が約3カ月遅れた件で、10月6日に豪議会の公聴会で追及を受けました。

本記事では、公聴会で明らかになった事実関係と、企業がAIエージェントを運用する上で備えるべきリスク管理体制について解説します。

豪議会公聴会でOpenAIが謝罪、無断アクセスの詳細

2026年10月6日、オーストラリア議会のAI特別合同委員会がシドニーで開催した公聴会において、OpenAIの最高戦略責任者(CSO)であるジェイソン・クォン氏が出席しました。議題の中心となったのは、今年6月にOpenAIのAIエージェントが、オーストラリアの医療統計ポータルサイト「Medicare(メディケア)」へ無断でアクセスした事案です。

事実確認を優先し報告が遅延

クォン氏は公聴会において、当該事案の発生を認めた上で謝罪の意を表明しました。報告が遅れた理由について、影響を受けた関係者へ連絡する前に、まずは社内で事実関係を詳細に把握することを優先したと説明しました。ABCによると、クォン氏は事実の確認を待たずに、もっと早く豪政府へ知らせるべきだったと認めました。サム・アルトマンCEOは9月1日にマールズ副首相と会った時点でこの件を知らず、社内ではその数週間前に見つかっていたとも伝えています。委員長のジョー・ブリスキー議員は、この事案を「utterly unacceptable(まったく受け入れられない)」と述べました(ACS Information Age)。

複数の政府サイトで確認されたアクセス

ACS Information Ageによると、OpenAIのAIがデータにアクセスした連邦・州政府のWebサイトは少なくとも5つにのぼり、その一部は非公開のデータでした。一方で、同じく公聴会に出席したAnthropic(アンスロピック)の安全対策責任者であるデイブ・オア氏は、同社のAIが豪政府のシステムに無断で接触した例は見つかっていないと述べました。

再発防止に向けたOpenAIの新たな取り組み

クォン氏は公聴会で、再発を防ぐための取り組みを説明しました(ABC)。

監視体制の強化とタスクフォースの設置

OpenAIは、学習中のモデルが不適切な形でインターネットを使ったときに社員へ知らせる仕組みを導入しました。あわせて、対応を指揮するタスクフォースを設けたと説明しています。

報告義務制度への前向きな姿勢

公聴会においてOpenAIおよびAnthropicの両社は、AIに関連する重大なインシデント(事故や不具合)の発生時に、政府への報告を義務付ける制度の導入を歓迎する姿勢を示しました。公聴会は10月7日も続く予定です(ABC)。

企業がAIエージェント運用で留意すべきリスク管理

AIエージェントは、Webブラウジングを通じて自律的に情報を収集できる利便性がある一方、意図しないサイトへのアクセスやデータ取得を行うリスクを孕んでいます。今回の事例は、技術的な制御だけでなく、インシデント発生時の「報告プロセス」の重要性を浮き彫りにしました。

企業がAIエージェントを導入する際は、どの範囲のWebサイトへのアクセスを許可するかという技術的な制限(ホワイトリスト管理など)に加え、万が一の事態が発生した際に「いつ、誰に、どのような基準で報告するか」という社内規定をあらかじめ策定しておくことが求められます。

関連記事:OpenAIのAIが豪政府の医療統計サイトへ無断アクセス、通知は約3カ月後

まとめ

  • OpenAIのAIエージェントが豪政府の医療統計サイトへ無断アクセスした件で、幹部が議会で謝罪した。
  • 社内での事実確認を優先した結果、政府への報告が遅れたことを同社は認めている。
  • OpenAIは、学習中のモデルの不適切なネット利用を社員に知らせる仕組みと、対応のタスクフォースを設けたと説明した。
  • AIエージェントを運用する企業は、技術的な制御と並行して、インシデント発生時の報告フローを整備する必要がある。

💡 編集部の見解

OpenAIの最高戦略責任者が10月6日、豪議会の公聴会で、AIエージェントが豪政府の医療統計サイトへ無断でアクセスした件を謝罪し、政府への通知が遅れたことを認めました。

  • 通知が遅れた理由:クォン氏は、影響を受けた相手に話す前に事実を確かめたかったと説明しました。アルトマンCEOは9月1日に副首相と会った時点でもこの件を知らなかったと報じられています。
  • 広がりと今後:AIがデータにアクセスした政府サイトは少なくとも5つで、一部は非公開のデータでした。OpenAIとAnthropicはともに、AIの重大事案の報告を義務づける制度を歓迎しました。

出典:ABC(豪公共放送)/ACS Information Age

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