【実録 第17話】毎朝、記事を自動で書くのを、やめた話

第16話では、深夜に自動で動いていた記事づくりの仕組みが止まってしまい、その原因を追いかけた話を書きました。「動いている」と「動き続ける」は別の話だ、と気づいた回です。
今回は、その続きのような話です。あれだけ手間をかけて整えた「毎朝、AIが自動で記事を書く」仕組みを、私は結局やめることにしました。壊れたからではありません。きちんと動いている状態のまま、自分の判断で止めました。
ひとつ先に断っておくと、AIに記事を書いてもらうこと自体をやめたわけではありません。今もAIに書いてもらっています。やめたのは、毎朝、人がいないところで自動的に量産していく「おまかせ」の部分です。
結論からいうと、たくさん作ることより、一本ごとの精度をとった、という判断です。その経緯を書きます。
毎朝、記事が3本できていた
朝には記事が待っている、が理想だった
このメディアの自動化を始めたとき、目指していたゴールはシンプルでした。書きたいテーマ(キーワード)をリストに入れておけば、朝起きたときには記事の下書きができている。そういう状態です。
第1話から第6話あたりまで、そのための仕組みを少しずつ積み上げてきました。テーマを決める、調べる、構成を作る、本文を書く、事実を確認する、画像を作る、下書きとして保存する。この一連の流れを、人が手を動かさなくても順番に進むようにしていきました。
実際、毎朝3本の下書きが並んだ
仕組みが整ってからは、毎朝5時に、リストの上から3本ぶんの記事が自動で作られるようになりました。私がやることは、朝に下書きを確認するだけです。狙いどおりに動いていました。
毎日3本。単純に計算すれば、1か月で90本です。数だけ見れば、十分な効率に見えました。問題は、その「数だけ見れば」というところでした。
そのまま出せない記事が増えた
テーマは合っていても、急所を外す
下書きを確認していくうちに、気になることが出てきました。記事自体はちゃんとした日本語で、構成も整っている。テーマからも外れていない。それでも「この記事を読みたい人が、本当に知りたかったのはこれだろうか」と引っかかる回が、少しずつ増えてきました。
読む人が困っている一番の急所を、わずかに外している。そういう「惜しい記事」は、そのまま公開しても期待した反応にはつながりません。
直すには、結局つくり直すことになる
惜しい記事を直そうとすると、表現を少しいじる程度では済みません。狙いそのものがずれているので、構成から組み直すことになります。自動でたくさん作っても、後から入れ直す手間が同じだけ増えていく。速く量産できているようでいて、手戻りが後ろに積み上がっていました。
本数は出ていました。けれど、狙いを外した記事が混じると、全体の手間はかえって増えていたのです。
量より、1本の精度へ
出しても刺さらなければ意味がない
ここで一度、立ち止まって考えました。毎日3本、1か月で90本。たしかに数は出ます。けれど、そのうち「読む人の急所をきちんと突けている記事」がどれだけあるか。正直に振り返ると、多くはありませんでした。
記事は、出した数より、届いた数のほうが大事です。狙いを外した記事を量産しても、検索した人の役には立ちません。数を追いかけること自体が目的になっていた、と気づきました。
数を捨てる決断
こうして、毎朝の自動生成を止めることに決めました。
自動生成を止めた
スイッチを切った
2026年の6月、毎朝5時に記事を自動で作る動きを止めました。一時的に休ませるのではなく、パソコンを再起動しても勝手に再開しないかたちで、確実に止めました。
毎朝動いていた仕組みを止めたので、翌朝からは下書きが自動では作られなくなりました。代わりに、ここからはテーマごとに、人が狙いを決めてからAIに書いてもらう形にします。一本ずつ、進めていきます。
朝の他の仕事は残した
止めたのは「記事を自動で書く」部分だけです。朝のうちに動いている他の仕事——その日のニュースの候補を集める、前日のアクセス状況を分析する、といった裏方の作業は、これまでどおり自動で続けています。
すべてを手作業に戻したわけではありません。人がやるべきところと、機械に任せてよいところを、あらためて線引きし直しました。
1本ずつ、つくる
まず骨子を一緒に決める
自動生成をやめた代わりに、新しい作り方にしました。私とNavで、記事を1本ずつ仕上げます。
いちばん変えたのは、いきなり本文を書き始めないことです。まず「この記事で、どんな人の、どんな困りごとに答えるのか」という骨子を一緒に決めます。ここで狙いを固めておけば、できあがる記事も大きくは外れません。これまでの「惜しい記事」は、この最初のすり合わせを飛ばしていたから生まれていた、というのが今の見立てです。
書いたあとは、これまでどおり事実を確認する
骨子が決まったら、その方針にそってNavが本文を書きます。そして公開の前に、料金・機種・サービス名・発表の時期といった具体的な事実を、公式に近い情報源で確認します。この確認は、自動で作っていたころからずっと続けている工程で、手動にしたあとも変わりません。変えたのは、作る数と、最初に狙いを固めるところです。
こうして作るので、本数は1日に2〜3本ほどです。毎朝3本にくらべれば数は減りましたが、一本に対する納得感は大きく上がりました。
やめて、わかったこと
自動化は手段、目的は品質
振り返ると、いつのまにか「自動化すること」そのものが目的になっていました。本当の目的は、読む人の役に立つ記事を届けることだったはずです。自動化はそのための手段の一つにすぎません。手段を磨くことに気を取られて、目的を見失いかけていました。
自動化は便利な道具です。でも「自動だから良い」わけではありません。何のために自動にするのか。そこがぶれると、速く、たくさん、的外れなものを作るだけになってしまいます。
「おまかせ」より「一緒に作る」
もうひとつ感じたのは、AIに全部おまかせするより、要所で一緒に作るほうが、自分には合っていたということです。骨子のすり合わせ、構成の手直し。人が関わるべきところに関わると、できあがるものの質が変わります。
第16話の終わりに、私は「確認するだけでいい状態になった」と書きました。今回はそこから一歩進んで、「確認するだけ」から「一緒に作る」へと、関わり方を変えました。後退に見えるかもしれませんが、私にとっては前進です。
まとめ
- 毎朝3本を自動で作る仕組みを、きちんと動いている状態のまま、自分の判断で止めた。
- 理由は、量産だとテーマの「急所」を外す惜しい記事が増え、直す手間(手戻り)が後ろに積み上がっていたこと。
- 「自動だから良い」のではない。自動化は手段で、目的は記事の品質。
- 新しい作り方は、1本ずつ。先に骨子をすり合わせて狙いを固め、AIに書いてもらう。公開前に事実を確認する工程は、自動のころから変えていない。
- 本数は2〜3本に減ったが、納得感は大きく上がった。止めることや、人が関わる工程を残すことは、後退ではなく前進になりうる。
次回は、ある気づきからアクセスが伸びた話です。「エラーで困って検索する人」をきちんと狙ったら、思った以上に読まれるようになりました。その経緯をお届けします。
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