【比較検証】生成AIアプリ診断サービス7選|チャットボットの脆弱性を専門家に検証する方法


【比較検証】生成AIアプリ診断サービス7選|チャットボットの脆弱性を専門家に検証する方法

生成AIを組み込んだチャットボットや社内文書検索(RAG)を公開する企業が増える中、「AIが機密情報を漏らさないか」「悪意ある入力で制限を破られないか」を、公開の前に専門家に確かめたいという声が増えています。

本記事では、生成AIを組み込んだアプリを診断する専門サービス7選を、同じ観点で比較します。それぞれの診断対象や進め方の違いを整理し、自社に合った依頼先を選ぶ手がかりにしてください。

診断以外も含めたAIセキュリティ対策の全体像は AIセキュリティ企業一覧(カオスマップ付き) にまとめています。

なぜ生成AIアプリに専門の診断が必要なのか

従来のWebアプリ診断では見つからないリスクがある

生成AIを組み込んだアプリには、悪意ある指示でAIの制限を回避させるプロンプトインジェクションや、AIに与えた内部の指示(システムプロンプト)の漏えい、大量の入力によるサービス停止や従量課金の高額請求といった、特有のリスクがあります。これらはAIの応答の中身に関わる問題のため、従来のWebアプリケーション診断だけでは見つけきれません。生成AI特有の攻撃手法を知る専門家による検証が重要です。

「診断」にも種類がある

当メディアのAIセキュリティ カオスマップでは、AIの診断サービスを「何を主な対象として診断するか」で2つの区分に分けています。

生成AIアプリ診断(本記事)

チャットボットや社内文書検索(RAG)など、生成AIを組み込んだアプリを主な対象とするサービスです。本記事ではこの区分のサービスを紹介します。

AIエージェント・MCP診断

生成AIアプリに加えて、AIエージェントが自律的に動くときの権限の逸脱やツール連携の悪用、MCP接続の診断を、独立したメニューか主な対象として公式に掲げているサービスです。この区分の会社も生成AIアプリを診断できます。AIが外部のツールを呼び出すなど自律的に動く構成なら、こちらも確認してください。
(AIエージェント・MCP診断の7社:CoWorker、GMO Flatt Security、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ、ChillStack、サイバーセキュリティクラウド、NRIセキュアテクノロジーズ、クラウドエース)
関連記事:【比較検証】AIエージェント診断サービス7選|脆弱性を専門家に検証してもらう方法

生成AIアプリ診断サービス比較一覧

会社名 サービス名 特徴 提供元
PwCコンサルティング AIレッドチーム 疑似攻撃で脆弱性とリスクを特定 国産
ラック 生成AI活用システム リスク診断 対話型AI組込システムの診断 国産
三菱総研DCS 生成AI利用システムセキュリティ診断 敵対的プロンプトによる擬似攻撃診断 国産
ステラセキュリティ LLMアプリケーション診断 手動中心でLLMアプリを検査 国産
GSX AIプロンプト診断 API組込型の生成AIアプリを診断 国産
EYストラテジー・アンド・コンサルティング エンドツーエンドAIレッドチーミング 利用の流れ全体を攻撃者視点で検証 国産
セキュアエッジ LLM診断 ホワイトハッカーによるLLMアプリ診断 国産

各社の詳細解説

PwCコンサルティング(AIレッドチーム)

PwCコンサルティングの公式サイトトップページ

出典:PwCコンサルティング 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

AIセキュリティに精通したエンジニアが、AIサービスに対して攻撃者の視点で疑似攻撃を行うサービスです。AI特有の脆弱性やビジネスリスクを能動的に特定し、具体的な改善アドバイスを提供します。サービスのリリース前や運用中に実施することで、インシデントの未然防止を支援します。

診断の範囲・進め方

診断の範囲はAIサービス全般を対象としています。現状把握から脅威分析、テスト計画の策定、専門エンジニアによる疑似攻撃の実施、結果の報告、そして具体的な対策の定義までを段階的に進めます。各ビジネスユースケースに応じたリスクシナリオを設計してテストを行う点が特徴です。

できること・具体的な活用例

業界標準のフレームワークに基づき、最新の脅威を模したテストを実行できます。AIの不正利用に伴うリスクの特定だけでなく、入出力のフィルタの実装アドバイスや、MLOpsの高度化、AIガバナンスの整備といった設計から運用まで広範な改善提案が可能です。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。依頼後は現状把握から始まり、脅威分析やテスト計画の立案を経て、専門エンジニアが疑似攻撃を実施します。最後にはテスト結果の報告とともに、改善に向けた具体的な対策のアドバイスまでを一貫して受けることが可能です。

こんな企業におすすめ

・AIサービスのリリース前や運用中にリスクを特定したい企業
・最新の攻撃手法に基づいた専門的な診断を求める企業
・AIガバナンスの構築を具体的な対策レベルで進めたい企業

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ラック(生成AI活用システム リスク診断)

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出典:ラック 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

本サービスは、対話型AI機能を組み込んだWebシステムを攻撃者の視点から診断します。AIを欺くために設計された敵対的な攻撃など、特有のセキュリティ課題を専門家が調査することが特徴です。自社サービスにAIを組み込む際の、重要情報の漏えいや高度化した攻撃手法に対する不安を第三者の診断によって解決します。

診断の範囲・進め方

診断対象は生成AI自体ではなく、AIを利用するWebシステムです。工程はヒアリングから始まり、診断、分析を経て、対策案を含む報告書の提出と報告会まで実施されます。利用環境や連携機能に合わせてカスタムメイドのリスク分析を行い、制限回避の抜け道の有無や安全策が施されているかを精査する流れです。

できること・具体的な活用例

プロンプトインジェクションによる機密情報の流出や、システムプロンプトの不正窃取といったリスクを特定できます。不適切な回答を防ぐフィルタリングの有効性や、DoS攻撃によるサービス停止の可能性も確認可能です。診断後は、5段階評価や推奨対策をまとめた診断結果報告書をシステムの改善に活用できます。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。依頼後はヒアリングを通じて要望や予算に合わせた診断内容を決定し、専門の診断員による調査が行われます。診断結果の報告会では問題点の解説や対策の優先順位付けが実施されるほか、報告書の提出日から3カ月は、改善に向けた問い合わせにも対応します。

こんな企業におすすめ

・チャットボットから重要情報や内部設定が漏えいしないか確認したい企業
・プロンプトインジェクションなどAI特有の攻撃への耐性を診断したい企業
・自社サービスに組み込んだ生成AIシステムの安全性を第三者に評価してほしい企業

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三菱総研DCS(生成AI利用システムセキュリティ診断)

三菱総研DCSの公式サイトトップページ

出典:三菱総研DCS 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

GPT等のLLMを利用したアプリに対し、敵対的プロンプトを用いた擬似攻撃でリスクを可視化します。情報漏洩やフィッシング出力といったAI特有の脅威に対応する診断を実施します。豊富な脆弱性診断の知見を活かし、最新の攻撃事例に基づいた高度な調査を行うことが特長です。

診断の範囲・進め方

診断対象はAIそのものではなく、AIを利用するシステム本体です。予算やレベルに合わせて、ライト、ベーシック、アドバンスドの3つのプランから選択できます。診断員がアプリに合わせて100項目のパターンから内容を判断し、設定検査や手動診断を組み合わせて進めます。

できること・具体的な活用例

プロンプトインジェクションへの対策に加え、ホワイトボックスでの設定診断やWebアプリ特有の脆弱性を組み合わせた評価が可能です。GPTやGemini、Claudeなど多様なLLMに対応し、診断結果はレポートとして提供されます。これにより、アプリに潜むリスクを具体的に把握できます。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。まずは問い合わせ窓口から要件を相談し、個別に見積もりを受ける流れとなります。詳細な資料請求も可能なため、サービス内容を詳しく把握した上で導入を検討できます。

こんな企業におすすめ

・生成AIを活用したシステムのセキュリティリスクを評価したい企業
・サービス内で活用している生成AIの設定が適切か診断したい企業
・最新の攻撃事例に基づいた高度な診断を実施したい企業

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ステラセキュリティ(LLMアプリケーション診断)

ステラセキュリティの公式サイトトップページ

出典:ステラセキュリティ 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

攻撃技術への深い知見を持つ専門家が、手動診断を中心にLLMアプリケーションを検査します。診断のメインは手動診断で、ツールは手動診断の補助として使います。仕様や技術スタックに応じて診断内容を設計するのが特徴です。単なる脆弱性の指摘にとどまらず、現場環境に即した実効性のある対策の提案まで行います。

診断の範囲・進め方

LLMを組み込んだアプリケーションを対象に、ヒアリングを経て最適な診断プランを決定します。診断は事前合意した日程で実施され、リスクが大きい脆弱性が検出された場合は即座に報告が行われる体制です。納品後も、脆弱性が修正されるまで手厚いサポートが提供されます。

できること・具体的な活用例

プロンプトインジェクションやシステムプロンプトの漏えいなど、LLM特有のリスクを検出します。また、認可制御の不備やファイルのアップロード機能の不備など、アプリケーション全般の脆弱性も確認できます。事業の文脈を踏まえ、攻撃されやすい箇所や重要機能を特定して優先的に診断できます。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。問い合わせ後のヒアリングを経て、見積もりや日程が決定する流れです。納品後3か月以内の無償再診断が含まれるほか、10万円(税抜)の有償オプションで報告会の実施も選択できます。

こんな企業におすすめ

・専門家の手動診断でLLM特有のリスクを洗い出したい企業
・予算に応じて重要機能に絞った柔軟な診断を検討している企業
・報告後の無償再診断など、納品後のサポートを重視する企業

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GSX(AIプロンプト診断)

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出典:GSX 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

ChatGPT APIなどを組み込んだWebアプリに対し、AI特有の脆弱性を診断するサービスです。OWASP LLM Top 10に基づく8つのカテゴリでリスクを可視化し、実践的な対策を提案します。20年以上の診断実績を活かした手法で、AI環境を取り巻く脅威を網羅的に検査します。

診断の範囲・進め方

診断対象は自社のWebアプリにAPIを組み込んでいるケースで、SaaSの直接利用は対象外です。ヒアリングを経て診断を実施し、結果分析、報告書の作成、専門エンジニアによる報告会まで行います。改修後に脆弱性が解消されたかを確認する、アフターケアとしての再診断も実施可能です。

できること・具体的な活用例

プロンプトインジェクションや機微データ漏洩など、AI特有の攻撃手法への耐性を検査できます。経営層がリスクレベルを把握できる4段階の総合評価に加え、現場が即座に修正アクションへ移行できる具体的な対策を提示します。多層防御フレームワークに基づき、システム全体での安全な運用を支援します。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。まずは診断対象の構成をヒアリングし、範囲や期間を決定した上で見積書を作成します。発注後は診断内容の調整やアクセス環境の確認などの準備を経て、OWASP LLM Top 10に準拠した診断が行われる流れとなります。

こんな企業におすすめ

・自社アプリに生成AI APIを組み込んで独自のサービスを提供している企業
・OWASPのグローバル標準に基づき、AI特有の脆弱性を網羅的に診断したい企業
・経営層へのリスク報告と開発現場での具体的な対策を両立させたい企業

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EYストラテジー・アンド・コンサルティング(エンドツーエンドAIレッドチーミング)

EYストラテジー・アンド・コンサルティングの公式サイトトップページ

出典:EYストラテジー・アンド・コンサルティング 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

生成AIやLLMを組み込んだアプリを、攻撃者視点で検証するサービスです。不正利用やコンプライアンス違反を想定したシナリオに基づき、AI特有の脆弱性を洗い出します。アプリの利用の流れ全体(エンドツーエンド)を評価し、実運用上のリスクやビジネスへの影響を可視化するアプローチが特徴です。

診断の範囲・進め方

LLMアプリに加え、RAGパイプラインやデータソース、エージェント型ワークフロー、API連携までが診断範囲に含まれます。OWASPやMITRE ATLAS等のフレームワークに基づき、スコーピングから脅威モデリング、シミュレーション、検証の順で進行します。対策後の再評価も可能です。

できること・具体的な活用例

プロンプト操作やRAG汚染、エージェントの誤動作など、AI特有のリスクを具体的に把握できます。検証後は、優先順位付けされた経営層向け要約や、具体的な是正策を含む技術詳細レポートが提供されます。法務部門や経営層とリスク情報を共有し、意思決定に役立てられます。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。依頼後は、対象システムの定義や制約条件を確認するスコーピングから開始します。その後、設計されたシナリオに基づき検証を行い、改善提言を含むレポートが報告されます。オプションで、対策実施後のリスク低減を確認する再検証を依頼することも可能です。

こんな企業におすすめ

・自社開発のRAGやエージェントの脆弱性を検証したい企業
・診断結果を経営層の意思決定に活用したい企業
・AI特有の攻撃シナリオに基づいた実践的な評価を求める企業

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セキュアエッジ(LLM診断)

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出典:セキュアエッジ 公式サイト

サービスの概要・アプローチ

高度な知見を持つホワイトハッカーが、LLMを活用したアプリやシステムに潜むリスクを検証するサービスです。標準的な評価に留まらず、LLMの特性や用途に応じた固有の潜在的リスクまで踏み込んだ網羅的な診断を行います。豊富な実績に基づく体系的なアプローチにより、安全なAI活用の推進を支援します。

診断の範囲・進め方

診断範囲はLLM本体だけでなく、RAGやエージェント、外部ツール連携までカバーしています。事前ヒアリング後にホワイトハッカーが診断を実施し、高リスクな脆弱性は速報で共有されます。診断後は詳細な報告書が作成され、オプションにて報告会の実施も可能です。

できること・具体的な活用例

プロンプトインジェクション耐性の確認や機密情報の漏えい検査が可能です。また、エージェント連携における意図しない操作の実行や、RAGの検索範囲が利用者権限と整合しているかといった点も評価します。指示の上書きや悪性文書混入による回答改変など、具体的な悪用可能性を検証できます。

料金・依頼の流れ

料金は問い合わせで確認します。依頼の流れは、まず仕様のヒアリングを通じて見積もりやスケジュールを調整し、診断を開始します。報告後3カ月以内であれば、無料で再診断を受けられます。

こんな企業におすすめ

・ホワイトハッカーによる精度の高い診断を希望する企業
・AIエージェントや外部ツール連携の安全性を検証したい企業
・RAGにおける権限管理や情報漏えい対策を強化したい企業

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自社に合った診断サービスの選び方

問い合わせ前に整理しておきたいチェックリスト

・診断してほしい対象(社外向けのチャットボットか、社内向けの文書検索か、APIで組み込んだ自社アプリか)
・AIが自律的に動く部分(外部ツールの呼び出し・MCP接続)があるか
・診断のタイミング(公開前か、運用中か)
・扱うデータの機密度と、想定している予算感・スケジュール

相見積もりを取る際のポイント

・各社に同じ条件(対象・タイミング・機密度)を伝え、比較できる状態にする
・報告書の形式、報告会や再診断の有無と条件も確認する
・料金を公開している会社と個別見積もりの会社があるため、各社の「料金・依頼の流れ」で前提を確認しておく

関連記事:AIセキュリティ企業マップ|診断・シャドーAI対策からランタイム保護まで全44製品

まとめ

生成AIを組み込んだアプリは、従来のWebアプリとは違うリスクを抱えています。公開の前や運用中に、生成AI特有の攻撃手法を知る専門家に確かめてもらうことが安全な運用につながります。

・プロンプトインジェクションやシステムプロンプトの漏えいなど、生成AIアプリ特有のリスクは専門の診断で確かめる
・診断サービスは「何を主な対象として診断するか」で分かれ、AIが自律的に動く構成ならAIエージェント・MCPの診断を掲げるサービスも確認する
・各社に同じ条件を伝えて、報告書の形式や再診断の条件まで比べる

まずは自社のアプリの構成と診断してほしい範囲を整理し、気になる数社へ見積もりを依頼することから始めてみてください。

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