OpenAI、脆弱性検証モデル「GPT-6 Cyber」発表|攻撃成功率48.5%へ向上

画像の出典:OpenAI公式X

ソフトウェアの脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を見つけても、本当に攻撃に使えるかを確かめるには専門家の手間がかかります。OpenAIは2026年11月5日、この検証作業に特化したモデル「GPT-6 Cyber」を発表しました。

本記事では、前モデルからの性能の伸び、決められた範囲を守る仕組み、誰が使えるのかを解説します。

前モデルから何が伸びたか

脆弱性を突く試験の成功率は48.5%

GPT-6 Cyberは、指定した脆弱性を実際に悪用できるかを測る試験「ExploitGym」で48.5%を記録しました。8月に投入された前モデル「GPT-5.6 Cyber」は32.1%で、OpenAIは相対で51%の向上としています。

既知の脆弱性を仕込んだGitLab・PostgreSQL・Jenkinsなどを相手にする新しい試験「RemoteExploitBench」では、通常モデルのGPT-6 Astraが「Daybreak Blue」の設定で全件を断ったのに対し、GPT-6 Cyberは95%をやり遂げました。OpenAIは社内の安全区分(Preparedness Framework)で、このモデルのサイバー能力を最高の「Critical」に分類しています(前モデルは一段下の「High」)。

決められた範囲の外を攻撃しない割合は99.93%

セキュリティ用のAIで心配されるのは、任された対象以外のサービスまで攻撃してしまうことです。OpenAIは範囲を守るための専用の訓練を行い、攻撃しやすい周辺サービスをわざと置いた試験で確かめました。範囲の外を攻撃しなかった割合は、安全用の指示なしで99.93%(前モデルは94.49%)、指示ありでは100%でした。

実際のソフトウェアで出た成果

Linuxで948件、Firefoxで81件

OpenAIの研究者はGPT-6 Cyberを使い、Linuxカーネルの脆弱性1,724件を再現し、そのうち948件で実際に動く攻撃コードを作りました。同じ条件で前の世代のモデル(GPT-5.6 Sol)が作れたのは166件で、5倍以上にあたります。重大な304件は、修正案を添えてLinuxの開発者に報告しています。

Firefoxでは、開発元のMozillaが高深刻度と分類した未知の脆弱性を81件見つけ、修正案とともに報告しました。Mozillaは報告を受けてまもなく修正の反映を始めています。

セキュリティ企業も利用を始めている

Cisco、Calif、CodeRabbitのセキュリティチームが、脆弱性の調査やコードの点検に使っています。Firefoxの技術者は「何世代ものモデルで固めてきたあとでも、未知の高深刻度の脆弱性を見つけた」とコメントしています。

誰が使えるのか

まずは承認された一部の「Daybreak Red」利用者から

GPT-6 Cyberは、OpenAIのサイバー防御サービス「Daybreak」のうち、攻撃コードの開発や認可されたテストを担う「Daybreak Red」で提供されます。まずは承認を受けた一部のDaybreak Red利用者に、APIとCodex(OpenAIの開発支援AI)から使える形で始まり、近くDaybreak Redの全利用者へ広げる予定です。料金は発表に書かれていません。

悪用を防ぐため、Daybreak RedのAPIは既定で接続元のIPアドレスを限定する設定(許可リスト)が必要です。利用者の権限に見合った操作かどうかの監視も加えています。

重要インフラを守る側には10億ドルの支援

発電所や水処理施設などの重要インフラを守るチーム向けには、Daybreak Redの中に専用の枠「Daybreak Red for Critical Infrastructure」を新設しました。政府機関など予算の限られた組織には、10億ドル規模の助成プログラム「Daybreak for Frontline Defenders」で利用料を補助します。

まとめ

  • OpenAIが脆弱性の検証に特化した「GPT-6 Cyber」を11月5日に発表
  • 脆弱性を突く試験の成功率は48.5%(前モデル32.1%)
  • 決められた範囲の外を攻撃しない割合は指示なしで99.93%
  • Linuxで948件の攻撃コード、Firefoxで81件の未知の脆弱性
  • 提供はまず承認済みの一部「Daybreak Red」利用者から。料金は未公表

💡 編集部の見解

OpenAIが、脆弱性を本当に攻撃に使えるか確かめる作業を任せられるAIを、審査を通った専門家向けに出しました。通常のGPT-6 Astraが断る作業を引き受ける代わりに、使える人と接続元を絞っています。

  • 通常モデルが断る作業を担う:遠隔の攻撃を試す試験では、GPT-6 Astraが全件を断り、GPT-6 Cyberは95%をやり遂げました。脆弱性の確認や修正の手伝いはAstraでもでき、実際に攻撃を組み立てる段階をCyberが受け持つ分担です。
  • 前モデルはRedの全利用者へ:8月に投入された前モデルGPT-5.6 Cyberは、今回Daybreak Redの全利用者に開放されます。新モデルが一部の利用者に限られる間も、Redの利用者は前モデルで同じ種類の作業を続けられます。

関連記事:OpenAIがサイバー防御サービス「Daybreak」を刷新|新モデルGPT-5.6-Cyberを投入

出典:OpenAI

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