FDEの契約形態は?国内45件の公表内容と発注前の確認点

FDE(フォワードデプロイドエンジニア)は顧客の現場に入ってAIの実装まで担う職種で、決まった契約の種類があるわけではありません。当メディアのFDE企業一覧に掲載している国内45件の公式ページを確認したところ、契約の種類を明記していたのは2件だけでした。誰とどんな契約を結ぶかは、伴走・開発会社、人材紹介、製品前提、認定パートナーという依頼の経路で変わります。本記事では各社の公表内容と、発注前に確認する4点を整理します。

FDEは契約の種類の名前ではない

種類の明記は45件中2件

当メディアのFDE企業一覧に掲載している45件(企業40社・人材マッチング型4件・認定パートナー制度1件)について、2026年9月15日に各社の公式ページを確認しました。国内の全数調査ではありませんが、このうち契約の種類を公式に書いていたのは次の2件です。

コマースロボティクスが運営するGlobal AI Labの公式サイト(導入手順の記載):

03 契約(準委任契約)

DeFactoryの事業紹介ページ:

完成型準委任による事業成果にコミットする開発支援事業となります。

どちらも「準委任」です。「請負」と明記した会社は、確認した範囲では見つかりませんでした。残る43件は契約の種類を公式ページに書いておらず、FDEを名乗っているかどうかから契約の種類は読み取れません。

経路で契約の相手が変わる

契約の種類より先に決まるのが、誰と契約するかです。掲載45件を依頼の経路で分けると、契約の相手は次のように分かれます。

経路 契約の相手 契約の形の公表例
伴走・開発会社 支援会社 月額(INSIGHT LAB)/フェーズ単位の発注(renue)/成果連動(AX Boost)
人材紹介 採用するFDE本人(紹介会社には紹介の費用) 採用決定時のみ費用が発生(ライトアップ)
製品前提 製品の提供会社 ソフトウェア利用料+成果連動報酬(ヘルシーパイレーツ)/初期開発費+月額運用費(favy)
認定パートナー 認定を受けた各社 Salesforceが認定した国内9社に発注

同じ「FDEを頼む」でも、経路が違えば契約書を交わす相手が違います。掲載企業は区分ごとに一覧で確認できます。

関連記事:FDEとは?意味とFDE企業一覧|Forward Deployed Engineer

伴走・開発会社と結ぶ契約の形

伴走・開発会社に直接依頼する場合も、公表されている契約の形は1つではありません。月額、フェーズ区切り、成果連動の3つに分かれます。

図解:伴走・開発会社と結ぶ契約の形

月額で結ぶ形

INSIGHT LABはお知らせで、単発の開発ではなく月額の契約だと明記しています。

「本サービスでは、スポットの開発依頼ではなく、月額での伴走型契約を採用しています。」

株式会社SAIもFDE伴走開発のページで「月額制で、課題の規模と関わる体制に応じて決まります。ご相談し放題の顧問型から、エンジニアの実働を含む伴走型まで幅があります。」としています。同じ月額でも、相談が中心なのか実装まで含むのかで中身が変わるため、月額に何が含まれるかを確認する必要があります。

フェーズで区切る形

renueはサービスページで、発注を段階に分ける形を掲げています。

  • 「フェーズ単位の発注。各フェーズ完了時に継続・中断を判断可能」
  • 「合意したフェーズ内は追加請求なし」
  • 「常駐メンバーの月額固定でスモールスタート。最初から金額が大きくならない」

アンドドットは、本契約の前に無償の期間を設けています。サービスページには「本契約の前段として、最大3日間のキックオフ合宿を無償でご提供します。」とあり、「※ 合宿の結果、本契約に進まない判断をされても問題ありません。」と添えています。どちらも、最初から長い契約を結ばずに、区切りごとに続けるかを決められる形です。

成果に連動する形

成果に応じて報酬が決まる契約を用意している会社もあります。

  • AX Boost(KI Strategy):「固定のコンサルフィー、成果に連動する成果報酬型、あるいはその組み合わせから選択可能。」(公式サイト)
  • renue:コンサルティング・受託開発について「レベニューシェア型で顧客と利益を一致させた本気の支援を行います。」(公式サイト)
  • 株式会社SAI:新規事業をまるごと請け負う「自責〜JISEKI〜」について「報酬は成果連動のレベニューシェア型で、ご一緒できる事業を見極めるための審査制です。」(サービス一覧)

SAIの成果連動は、FDE伴走開発ではなく別サービスの条件です。成果連動を希望する場合は、どのサービスが対象か、何を成果として数えるかを契約前に確かめてください。

紹介・製品・認定の経路の契約

支援会社に業務を任せる以外にも、FDEを確保する経路があります。この3つの経路では、契約の相手や中身そのものが変わります。

人材紹介は採用の契約

ライトアップは、FDEに特化した人材紹介サービスを2026年8月1日から提供しています(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-305366)。プレスリリースが示す費用の形は次のとおりです。

「成果報酬型(採用決定時のみ費用が発生し、固定費を最小限に抑えた設計です)。」

この経路では、外部の会社に業務を任せるのではなく、FDEを自社の社員として雇う形になります。

製品前提は利用料と一体

自社のAI製品の導入を前提にFDEが伴走する会社では、支援の費用が製品の料金と一体で示されています。ヘルシーパイレーツはサービスページで「ソフトウェア利用料+成果連動報酬のハイブリッド。」とし、よくある質問で「最低契約期間は6ヶ月です。」と答えています。

favyはプレスリリースで「料金:初期開発費(要件により個別見積)+ 月額運用費」と公表しています。支援だけを切り離して契約できるかは両社の公表からは読み取れないため、問い合わせで確認してください。

認定パートナーは各社と契約

Salesforceは2026年6月8日、Agentforceの実装を加速する「Forward Deployed Engineering(FDE)Partner Network」を日本で本格展開すると発表しました。国内の初期パートナーは、アクセンチュア、NTTデータ、グローバルウェイ、テラスカイ、デロイト トーマツ、電通総研・電通デジタル、PwCコンサルティング、富士通、フレクトの9社です。

この制度で発注する先は、認定を受けた各社です。Salesforceと直接FDEの契約を結ぶ形ではありません。

常駐か訪問かも会社で異なる

記載があるのは10件

掲載45件のうち、現場への入り方を公式に書いているのは10件でした。残る35件は記載がありません。

会社 公表されている現場への入り方
デジライズ 常駐(週1〜5日)
アンドドット 常駐(週4日)
Neurosphere 常駐(基本2名体制)
AXISTA 常駐
DAIJOBU 週1日の常駐+オンライン
みんなシステムズ 訪問
INSIGHT LAB 訪問
株式会社SAI 初期は訪問・以降はリモート中心
本質 常駐不要・必要に応じて訪問
グリーンウォーターズ 継続常駐を前提としない

「常駐」と書く会社でも、日数は週1日から週5日まで幅があります。Neurosphereは「コンサルタント(BizDev人材)とAI駆動開発エンジニアの基本2名体制が、顧客の現場に常駐します。」と人数まで示しています。

反対に、グリーンウォーターズは「当社の継続常駐を前提とせず、組織自体の自律的な解決力を養います。」としています。常駐の有無は、会社ごとの支援の考え方によって分かれています。

「派遣」という言葉の幅

ECUはサービス開始のお知らせで「ECUではこのFDEを企業に派遣するサービスを提供いたします。」と書いています。一方でアンドドットは「個人を派遣するのではなく、このユニット単位でお受けします。」と、個人の派遣ではなくチーム単位で引き受けると説明しています。

発表文の「派遣」が契約の種類を指しているのか、人を送り出すという意味で使っているのかは、どちらの公表にも書かれていません。言葉だけで契約の種類を判断せず、契約書の名前と中身で確認してください。

関連記事:FDEとSESの違いは?客先常駐でも分かれる3点と国内43社の実態

発注前に確認する4点

ここまでの公表内容から、問い合わせの段階で確認しておきたい点は次の4つです。

契約の種類と相手

契約の種類を公表していた会社は45件中2件でした。見積もりを依頼するときに、契約書の種類と、契約の相手が支援会社・紹介会社・製品の提供会社・認定を受けた会社のどれにあたるかを書面で示してもらうと、経路の違う会社どうしも比べやすくなります。

期間と区切り方

最低期間の決め方は会社ごとに異なります。

  • ティースリー:「※最低契約期間3ヶ月〜、以降1ヶ月単位で自動更新」(プレスリリース)
  • グリーンウォーターズ:「契約期間: 3ヶ月単位のご契約」
  • ヘルシーパイレーツ:最低契約期間は6ヶ月
  • コマースロボティクス:「1か月からご利用いただけます。」「最低3名からご利用いただけます。」
  • 株式会社SAI:「期間は案件ごとにご相談します。」

短期間で試したいのか、半年以上かけて実装まで進めたいのかを先に決めておくと、条件の合う会社を絞れます。

関連記事:FDEの費用相場は?国内43社の公開料金と見積前の4条件

稼働の形

週に何日、どこで作業するかに加えて、社内に残す役割も確認します。DAIJOBUはプレスリリースで「何を自動化するかの判断と、成果物の検収は導入企業側に残る設計で進めます。」としています。任せる範囲と自社で判断する範囲を分けておくと、稼働の日数も決めやすくなります。

成果物の権利

作ったものの権利がどちらに帰属するかを公式ページに書いていたのは、確認した範囲で次の2社でした。

コマースロボティクス(Global AI Lab):

著作権・開発成果物は貴社に帰属。

renue:

ソースコード・ドキュメントは顧客に帰属

ほかの会社は公式ページに記載がありません。記載がないことは発注側に帰属しないという意味ではないため、見積もりの段階でコードや設計書、ドキュメントの扱いを確認してください。

まとめ:経路から契約を選ぶ

FDEという名前から契約の種類は決まりません。掲載45件で契約の種類を明記していたのは2件、成果物の権利を明記していたのも2社でした。経路ごとの契約の違いは次のとおりです。

  • 伴走・開発会社:月額/フェーズ区切り/成果連動
  • 人材紹介:自社の社員として採用
  • 製品前提:製品の料金と一体
  • 認定パートナー:認定を受けた各社と契約

まず自社に合う経路を決め、そのうえで契約の種類と相手、期間と区切り方、稼働の形、成果物の権利の4点を問い合わせで確認してください。

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