Anthropic、ナスダックへ上場申請|上半期売上163億ドル・日本でも公募

画像:AIエージェントナビ編集部

Claudeを業務に使う企業にとって、提供元がどれだけ稼ぎ、どんな仕組みで経営されているかは、これまで外から確かめにくい情報でした。

Claudeを開発するAnthropicは2026年10月26日、新規株式公開(IPO)のための登録届出書「Form S-1」を米証券取引委員会(SEC)に公開提出し、売上や顧客数、統治の仕組みを初めて公式書類で示しました。

本記事では、S-1に書かれた上場申請の中身と財務、法人顧客の規模、統治の仕組みを解説します。

ナスダックに銘柄「ANT」で上場を申請

6月の非公開申請から、書類の公開段階へ

Anthropicは、ナスダック・グローバル・セレクト市場にClass A普通株式を上場するよう申請しました。銘柄コードは「ANT」です。同社は2026年6月に非公開でのドラフト提出を発表しており、今回はその書類が一般に公開された段階にあたります。

公開価格と発行株数はS-1の中で空欄のままで、調達額もまだ明らかにされていません。引受証券会社にはGoldman Sachs、Morgan Stanley、J.P. Morganなど22社が名を連ねています。

日本も公募の対象に

S-1によると、今回の公募には米国のほか、オーストラリア、カナダ、欧州経済領域の一部の国、日本、スイス、英国での公募が含まれます。ただし、これらの国の取引所にClass A普通株式を上場する予定は現時点でないとしています。

上半期の売上は163億ドル

売上は前年同期の12億ドルから大きく伸びた

2026年1〜6月の売上は163億ドルで、前年同期の12億ドルから大きく伸びました。同期間の営業損失は6億9,300万ドルで、前年同期の21億ドルから縮んでいます。

純損失807億ドルの大半は会計上の損失

一方、同期間の純損失は807億ドルにのぼります。その大半は、転換社債などの公正価値の変動による約724億ドルの損失で、現金の支出を伴わない会計上の処理によるものです。同社は書類の中で、将来も黒字化を達成・維持できない可能性があるとリスクを記しています。

年10万ドル以上払う顧客は11,900超

大口顧客の数

2026年9月30日時点で、直近12か月に10万ドル以上を支払った顧客は11,900超でした。前年の同じ時点の950超から増えています。100万ドル以上の顧客は1,900超、1,000万ドル以上の顧客は約250です。

米国の大企業の半数超が顧客

米Fortune誌の売上上位500社(Fortune 500)の50%超と、世界の大企業2,000社(Global 2000)の30%超が、年10万ドル以上を支払う顧客に入っています。

創業者が議決権の50.1%を持つ統治の仕組み

Founder LLCと長期利益信託

上場後は、共同創業者7人がメンバーとなる「Founder LLC」が議決権の50.1%を持ちます。同社は、AIの安全性という使命を守るための仕組みだと説明しています。

また、2023年に設けた長期利益信託(LTBT)が、取締役会の過半数を選任・解任する権限を持ちます。同社は公益法人(PBC)として、株主の利益と「人類の長期的な利益のための先進的なAIの責任ある開発と維持」の両立を義務づけられています。

一般の株主の発言力は限られる

TechCrunchは、議決権が創業者の経済的な持ち分に比例しないため、一般の株主が経営に実質的に関与できる余地は小さいと指摘しています。

まとめ

  • Anthropicが2026年10月26日にSECへS-1を公開提出し、ナスダックに銘柄「ANT」で上場を申請した
  • 2026年1〜6月の売上は163億ドル、営業損失は6億9,300万ドル
  • 年10万ドル以上を支払う顧客は11,900超(9月30日時点)
  • 公募は日本も対象だが、日本の取引所には上場しない予定
  • 創業者のFounder LLCが議決権の50.1%を持ち、長期利益信託が取締役会の過半数を選ぶ

💡 編集部の見解

Claudeを開発するAnthropicの上半期の純損失は807億ドルですが、大半は転換社債などの評価替えによる会計上の損失です。本業の赤字は前年同期の約3分の1に縮んでおり、赤字の額だけで「経営が危ない会社」と判断するのは早いと編集部は見ています。

  • 日本も公募の対象国:S-1は公募の対象国として、オーストラリア、カナダ、欧州の一部の国、スイス、英国とともに日本を挙げています。一方で日本の取引所には上場しない予定のため、売買の場は米国のナスダックになります。
  • OpenAIより先に財務を開示:当メディアは2026年9月13日、OpenAIのアルトマンCEOが2026年内の株式公開を否定したと報じました。Claudeと競合する主要なAI提供元のうち、財務を公式書類で示したのはAnthropicが先になりました。

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出典:Anthropic(公式発表)/TechCrunch/米証券取引委員会(SEC)提出書類「Form S-1」

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