デジタル庁、政府職員18万人向けにAIエージェント環境を提供開始

画像:AIエージェントナビ編集部
業務効率化のためにAIの活用を検討する際、セキュリティと利便性のバランスをどう取るかは、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。このたびデジタル庁が発表した政府共通基盤でのAIエージェント環境の導入は、組織全体で安全にAIを使いこなすための新たなモデルケースとなるものです。
本記事では、今回提供が開始された2つの利用環境と、あわせて策定された安全基準の詳細について解説します。
政府職員18万人を対象としたAIエージェント環境の展開
デジタル庁は2026年10月20日、政府職員向け生成AI環境「ガバメントAI 源内」において、約18万人の職員を対象とした新たなAIエージェント利用環境の提供を開始しました。デジタル庁の調査によれば、AIコーディングエージェントに相当する高度なAIエージェント利用環境を、専門職員に限らず一般の職員も日常業務で使える政府共通基盤として約18万人規模で導入する取り組みは、世界初の試みです。
源内では、2026年5月から全府省庁の約18万人を対象とした大規模実証が進んでいます(2027年3月まで)。今回の発表は、この源内にAIエージェントを作って動かせる環境を加えるものです。
手軽に利用できるエージェントチャット
今回導入された環境の一つである「エージェントチャット」は、手軽にAIエージェントを作成・実行できる環境です。発表日の10月20日から、各府省庁等へ順次導入が進められています。
高度な構築を可能にする源内工房
もう一つの「源内工房」は、高度なAIエージェントを構築・実行できる環境です。デジタル庁は、自然言語の指示にもとづいてコードの生成・修正、ファイル操作、コマンド実行、テストなどを自律的に進める「AIコーディングエージェント」に相当する環境と説明しています。導入は令和8年(2026年)12月頃までを目指しています。
安全な活用を支える「源内基準」の策定
大規模なAI導入にあたり、デジタル庁はAIセーフティ・インスティテュート(AISI)の協力を得て「源内基準」を策定・公表しました。これは、AIエージェントを安全かつ適切に活用するためのガバナンス(統治)指針です。
利用者・管理者・開発者の責務を明確化
「源内基準」では、AIエージェントに関わる関係者を「利用者」「管理者」「開発者」の3つの立場に分類し、それぞれの責務や遵守事項を明確に定めています。AIエージェントは従来のAIアプリより機能が高度で複雑なうえ、実行できる処理の範囲も広がります。そのため、セキュリティやガバナンスを確保しながら職員が主体的に使えるルールが必要になった、というのがデジタル庁の説明です。
地方公共団体や民間への波及効果
デジタル庁は、この「源内基準」を政府内のみならず、地方公共団体や民間事業者にとっても参考となるモデルケースと位置づけています。基準の本文(PDF)は、発表ページから誰でも読むことができます。
今後の展開とOSS公開の予定
「エージェントチャット」と「源内工房」は、地方公共団体や民間事業者等でも幅広く使えるよう、だれでも利用・改変・再配布ができる「源内OSS(オープンソースソフトウェア) Ver.2.0」として、令和9年(2027年)2月頃を目途に公開される予定です。
源内は2027年度に、大規模実証の結果をふまえて本格的な利用が始まる計画です。
関連記事:源内(GENAI)とは?ベンダーロックインを回避するAI内製化の道
まとめ
- デジタル庁が政府職員約18万人を対象に、源内でAIエージェント利用環境の提供を開始。「エージェントチャット」は10月20日から順次導入。
- AIセーフティ・インスティテュート(AISI)の協力により、安全利用のための「源内基準」を策定。
- 「源内工房」は12月頃までの導入を目指し、OSS版「源内OSS Ver.2.0」を令和9年2月頃に公開予定。
- 一般の職員も使える政府共通基盤として約18万人規模で導入するのは世界初の試み(デジタル庁の調査)。源内基準は地方公共団体や民間事業者の参考になるモデルケースと位置づけ。
💡 編集部の見解
デジタル庁が、政府職員約18万人が使う生成AI環境「源内」に、AIエージェントを作って動かせる環境を加えました。あわせて、使う人・管理する人・作る人それぞれの決まりごとを定めた「源内基準」を公表しています。
- 源内そのものは新しくない:源内は2026年5月から全府省庁の約18万人で大規模実証中です。今回新しいのは、AIエージェントの利用環境2種類と「源内基準」の2点です。
- 民間も読める・使える:源内基準は発表ページで公開されており、デジタル庁は民間事業者にも参考になると説明しています。2つの環境も2027年2月頃にだれでも使えるOSSとして公開される予定です。




