NTTデータ先端技術が「Microsoft 365 Copilot Cowork」で営業事務を自動化

画像:AIエージェントナビ編集部

生成AIの導入が進む中で、単なるチャットボットによる回答支援から、業務プロセスそのものを自律的に完遂する「エージェント型AI」への移行が加速しています。

本記事では、NTTデータ先端技術が取り組む「Microsoft 365 Copilot Cowork」を活用した営業事務の自動化事例を通じ、企業が実務でAIエージェントを運用するための要諦を解説します。

エージェント型AIによる業務自動化の最前線

問い合わせから帳票作成までを自律遂行

NTTデータ先端技術は、2026年6月に一般提供が開始された「Microsoft 365 Copilot Cowork」を導入し、営業事務の効率化に向けた社内実証を開始しました。同社は2026年4月の早期アクセスプログラム段階から先行して検証を重ねており、単発の質問応答にとどまらない、多段タスクの自律実行に焦点を当てています。

具体的には、顧客からの問い合わせ対応や、それに付随する帳票作成といった一連の業務フローをAIが自律的に処理する仕組みを構築しています。これにより、これまで人間が介在していた事務作業の工数を削減し、より付加価値の高い業務へリソースをシフトさせることを目指しています。

専門エンジニアと現場の協働モデル

本プロジェクトの大きな特徴は、AIの構築・開発を担う専門エンジニアと、実際に業務を行う現場担当者の役割分担が明確化されている点です。専門エンジニアがAIの基盤となる手順整備や開発を担当する一方で、現場担当者は自然言語を用いてAIの運用や改善の指示を行います。

この体制により、AIの専門知識がない現場担当者でも、業務の変化に合わせてAIの挙動を継続的に改善できるサイクルが確立されています。現場主導で運用を回すことで、AIが実務に即した形で最適化され、属人化の排除と業務プロセスの標準化が同時に進行しています。

費用対効果とガバナンスの両立に向けた設計

従量課金制を見据えた実用的なコスト設計

2026年7月から本格化する従量課金制(Copilot Credits)を見据え、同社は費用対効果を最大化するための運用モデルを検証しています。AIの利用頻度や処理内容に応じてコストが変動する環境下では、無駄な処理を省き、必要な業務にのみAIを適用する精緻な設計が不可欠です。

同社は、実証を通じて得られた知見を基に、コストとパフォーマンスのバランスを最適化する運用ルールを策定しています。これは、AI導入を検討する多くの企業にとって、予算管理と生産性向上の両立を図るための重要なベンチマークとなるでしょう。

組織全体への展開を見据えた再現性の確保

今回の取り組みは、単なる営業部門の効率化にとどまりません。NTTデータ先端技術は、実証を通じて確立した「AI活用プロセス」を他部門へも横展開可能なモデルとして整備しています。AIの導入において課題となりがちなガバナンス(統制)についても、専門エンジニアによる手順整備と現場の運用ルールを組み合わせることで、安全かつ再現性の高い運用体制を構築しています。

今後は、これらの知見を顧客への生成AI活用支援サービスへ還元し、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる方針です。

AIエージェント導入の成功に向けた指針

現場主導の改善サイクルを構築する

AIエージェントの導入において、エンジニアだけで完結するシステム構築は現場との乖離を生むリスクがあります。NTTデータ先端技術の事例が示すように、現場担当者が自然言語で運用・改善に関与できる環境を整えることが、AIを実務に定着させる鍵となります。

ガバナンスとコストの可視化を徹底する

今後、多くのAIサービスで従量課金制が標準化される中で、AIの利用状況を可視化し、費用対効果を厳格に管理するガバナンス体制の構築が急務です。企業は、AIの利便性を享受しつつ、コストを制御する「実用的な設計」を早期に確立することが求められます。

まとめ

  • NTTデータ先端技術は、Microsoft 365 Copilot Coworkを活用し、営業事務の多段タスクを自律自動化する実証を開始しました。
  • 専門エンジニアが基盤を整え、現場担当者が自然言語で改善を回す協働体制により、実務に即したAI運用を実現しています。
  • 従量課金制を見据えたコスト設計とガバナンスの両立を図り、他部門や顧客への展開を見据えた再現性の高いモデルを構築しています。

AIエージェントの導入は、単なるツール導入ではなく、業務プロセスそのものの再設計です。まずは自社の定型業務の中から、多段タスクを伴う領域を特定し、スモールスタートで運用モデルの検証を開始することをお勧めします。

💡 編集部の見解

AIエージェントは「実験」から「実務」のフェーズへ移行しました。NTTデータ先端技術の事例は、専門家と現場の協働体制こそが、AIを組織に定着させるための不可欠な要件であることを示しています。

  • 役割分担の明確化:エンジニアによる基盤構築と現場による運用改善を分離することで、AIの精度と現場の業務適合性を両立させています。
  • コスト意識の先行:従量課金制への移行を前提とした運用設計を行うことで、AI投資の費用対効果を厳格に管理する体制を構築しています。

今後は、AIの導入効果を測定するKPIを明確にし、コストと成果を可視化するガバナンス体制を早期に構築しておくことが、DX担当者には問われそうです。

出典:PR TIMES